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小さな晴れ舞台に向けて、いま、ふたたび外郎売

ういろうはいらんかね~♪

地元のFM放送局主催の、朗読セミナーの募集案内が目にとまりました。
春、新しい季節。新しいことに挑戦してみたくて、申込むことにしました。

さて、4月某日のセミナー初日。
ほとんどの方が、リピート受講だといいます。
アナウンサーの女性講師の、マスク越しに聞こえるお声はとても美しく、アクセントや鼻濁音も完璧です。優しいお人柄が伝わる、温かくて丸みのある響き。そんな先生に憧れている受講生が多いのですね。

授業では毎回、滑舌の練習として、最初に「外郎売(ういろううり)」を全員で読みます。

「外郎売」を初めて知ったのは、20年近く前、滑舌が悪いだけではなく、声にコンプレックスがあった20代の頃でした。
「外郎売」の練習では、滑舌改善どころか、いくら頑張っても一向に進歩を感じられませんでした。そんな自分自身に失望して、やめてしまいました。

そんな過去があって、また外郎売りか…トホホ。というのが正直な気持ち。効果を感じられなかった失望感が、ふたたびよみがえります。

でも、いつまでもそんな弱気でいては、もったいない。
まず最初の段落を、一息で読む練習から始めました。一息はまだできませんが、今では言葉に詰まることは、ほとんどなくなっていました。
冒頭のういろうの効能、そして締めくくりでは、歌舞伎役者を真似て、朗々と響かせる余裕も生まれていました。流れるように大きく響かせると、不思議とリズムと共に、文章が身体によく入っていきます。

この外郎売、300年程前に成立し、代々の市川團十郎が得意としていた作品、歌舞伎十八番の一つです。現代も存在している、さまざまな地名が登場します。熱海は湯治場、そして、お伊勢参りも流行っていたのですね。

さて、7月3日のセミナー最終回は、全員が思い思いの文章を選んで、かわさきFMのラジオ番組で披露する予定です(14時~16時頃の予定)。

他の受講生の方々は、朗読の名人ばかりです。
そんな先輩方に紛れて、初心者のわたしも出演します。
読む作品は、普段ボイストレーニングスクールで教えている教材から選びました。

持ち時間は5分。
小さな晴れ舞台に向けて、今日も外郎売りを練習しています。
https://www.kawasakifm.co.jp/listening/

画像出典:国立国会図書館ウェブサイト(春仙似顔畫集)より

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