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サステインノルディック 持続可能な「北欧」を発信

(2019年3月3日のブログ記事から転載、編集したものです)

The Nordic Report #1

北欧の持続可能な生産と消費事例を世界に向けて発信する目的で2015年に始動したのが「サステインノルディック(SUSTAINORDIC)」プロジェクト。

プロジェクトは北欧閣僚理事会からの資金を受け、スウェーデンの建築デザインセンター とフォームデサインセンターがまとめ役となりデンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランド各国のデザインセンターとの共同で進められている。

2018年から2020年の3年間は、17ある国連の持続可能な開発目標の12番め「つくる責任、つかう責任」を中心として3冊の「北欧レポート (The Nordic Report)」 がまとめられる予定だ。レポート第一弾の発行記念パーティでプロジェクト責任者に話を聞いてきた。

「北欧レポート」を5+1ヶ国語でまとめる

レポートは12項目からなるマニフェストで始まり、各項目をリードする人物へのインタビューと項目コンセプトが具現化された現象、製品、アプリ、コミュニティを紹介する形でまとめられている。

例えば、マニフェストの第1項目は「北欧的価値」で、世界的に有名なスウェーデン人のコミュニケーションデザイナーのヤーコブ・トロールベックへのインタビューに続き、スウェーデンのエンブラ(Embla)やノルウェーのイート (EAT)とブライト(BRIGHT)、デンマークのスペース10 (SPACE10) といった企業が取り上げられている。語られているのは今の世界における「北欧」の持つ意味だ。

レポートの構成も「北欧」的でおもしろい。文章はそれぞれ母国語と英語で書かれている。例えばヤーコブ・トロールベックはスウェーデン人なのでスウェーデン語と英語で、SPACE10の説明はデンマーク語と英語で書かれているといった具合だ。

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北欧の「北欧マーケティング」

北欧といっても、それぞれの国は成り立ちも現在の政策も違うし、言葉も文化も違う。競合状態にあることも(密かにいがみ合っていることも)ある。それでも北欧の各国が大人なのは各国同士で戦うよりも「北欧」というブランドでこれからの世界をリードするイノバティブな事例を発信する点だ。

グローバルな視点ではそれぞれの国が小さすぎて大きなインパクトをもった発信ができないとうこともあるだろうが「北欧」でまとめるのはそれなりに難しいはずだ。例えば、大阪と京都、兵庫、奈良、和歌山が「関西」として提言を行っていく感覚に近いのではないかと思う(この比喩がわかりにくかったらすみません……。私は関西人ですw)。

国ごとの強みもわかる

事例で気になるものはいくつもあるが、私の一番のお気に入りはコペンハーゲンのど真ん中でおしゃれな北欧コーヒー屋からでるコーヒーのカスでヒラタケを栽培しているBeyond Coffee

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この他にもデンマーク人は産業団地で各工場からでる廃棄物を相互利用してみたり、今流行りのビールの絞りカスで食用コウロギを養殖してみたり、これまで捨てられていたものをそのままうまく再利用するリサイクルがお得意のようだ。

スウェーデンでは同じ再生利用といってもそこになんらかの技術革新を入れることが多いような印象を受けた(Re:newcellSimlis Algなど)。

58の事例が取り上げられたこのレポートはこちらからダウンロードできる。

「北欧」がどこへ向かおうとするかを掴むためには各項目の有識者インタビューが参考になるはずだ。ヤーコブ・トロールベックのインタビューが巻頭を飾っていることを先に書いたが、彼の事務所はこの本の編集と装丁も担当している。

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リリースパーティでは、トロールベックが国連の持続可能な開発目標のキャッチコピーやビジュアルデザインをどういうふうに創り上げていったかの興味深い話を聞いた。その後トロールベックは東京でも講演しており、こちらから日本語のサマリーが読めます。 すばらしい! ぜひどうぞ!


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