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新しい睡眠のルール

毎日気分よく暮らすためのルールを、エビデンスの国・スウェーデンで紹介されている最新科学や統計などを拠り所として確認していく連載です。

でもその科学的な裏付けから浮かびあがるのは、たぶんちょっと不便で、のんびりゆったりしたサイエンスな暮らしデジタル生活食生活運動に続いて今回は、だれもが気になる睡眠について。

今回のキーワードは「毎日集める睡眠ポイント」です!

眠れる北の人

スウェーデンに引越してきて結構すぐに「どうやらこの国の人たちはよく眠るようだ」と気がつきました。みんなよく眠るようだし、眠ることに対する熱意もあるようだし、睡眠を大切にする社会的コンセンサスもあるようです。

その熱意は、新居の家具を買いにいった店に並べられているベッドが、日本の感覚よりも高額であったことからも感じられました。週末の新聞はベッドの広告が満載です。そういえば日本でも人気の寝具、テンピュールもスウェーデン発の製品です。

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一方、平均的な人の睡眠時間が世界でもとても短いことで有名な日本。眠れないだけに眠りについての関心は高いのか、数年前に『スタンフォード式 最高の睡眠』がベストセラーになりました。

スウェーデンでも2018年末に『眠り、睡眠、眠ること(仮訳)(原題 Sönm, Sömn, Sömn)』が出版されました。ウプサラ大学睡眠研究所の研究者クリスチャン・ベネディクトが手掛けたこの本は、スウェーデンでの「睡眠本の決定版」といっていいでしょう。

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『スタンフォード式 最高の睡眠』が忙しい日本人の生活の中で、いかに効率よく最高の睡眠をとるかに焦点があてられているとすれば、スウェーデンの本は基本に戻り「最高のパーフォーマンスをもたらす睡眠とは?」を追求したものです。

本の副題に「あなたの眠りと、記憶、免疫力、体重、集中力と感情との関連性」とあるように、自分のパフォーマンスを高めクリエイティブな暮らしを送りたいのなら、質のいい睡眠時間を確保することをまず決めてから生活設計をすることも視野にいれなければいけないと書かれています。

眠りとは、毎日あなたが作る成果物

医師が説明する真面目な内容にチャーミングなイラストが印象的なこの本。「眠りとは何か?」の説明にはじまり、眠っている時に体で起こっていること、そして、私たちの心身のあり方と日中のパフォーマンスへの睡眠の影響が簡潔にまとめられたわかりやすい本です。

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本の中で印象に残った文章がいくつかあります。その1つが「眠りとは、あなたが毎日、1日かけて作る成果物」というもの。

多くの人が夜にはぐっすり眠りたいと思っていますが、よい眠りはベッドにはいる瞬間にお願いしてもやってきません。朝起きた瞬間からその日一日をどのように過ごしてきたかで、その夜の眠りが決まる。

よい眠りのためには、日中どれくらい頭と体を使ったかが大きく関わってきます。

移動は徒歩や自転車で。(可能であれば午前中に)ジョギングなどのトレーニングで体を動かし、仕事以外にも読書やクロスワードパズルなどで頭を使う。そして、友人と会ったり趣味の集まりに参加するなど日中行った社交的な活動が、その日の夜の深い眠りにつながっていきます。

それはまるで、毎日よい眠りのためのポイントを集めるゲームに参加しているようです。

「今日はジョギングのポイントも獲得。本を20ページ読んだし、前から話してみたかった憧れの人とも話せた。筋肉が疲労から回復するためだけでなく、頭で吸収したことも多かったのでしっかり眠ることで脳は情報の整理をしたいはず。今日の睡眠ポイント85点くらいかな? ぐっすり眠れそう」といった感じでしょうか?

後は、寝る前にスナック菓子をバカ食いしたり、午後の遅い時間以降にコーヒーを飲んだりするとせっかく集めたポイントが当然のごとく減点されていってしまうので、何を食べるかや食べるタイミングにも注意しなければいけません。

本によると「朝は王様のごとく、昼は皇太子のように、そして夜は貧乏人のように食べる」ことを心がけると眠りの質もあがるそうです。

北欧で気づく眠りのためのよい習慣

冬は日の短い北欧では、日中どれくらい日光を浴びたかがその日の眠りに大きく関わってきます。でもこれは一日中ほとんどオフィスから外にでることなく働いている日本の会社員も同じ状況ではないでしょうか?

曇っていて太陽がでていなくても、屋内から外にでるだけで体に浴びる光量は驚くほど変わってきます。オフィスにいる時間はできるだけ窓の近くに座ること、休憩時間は可能な限り外にでることを心がけると、睡眠ポイントが大幅アップします。

また、スウェーデンに引っ越してきてからは冬でもセントラルヒーティングで家の中が年中20度くらいで快適だわー、と思っていたのですが、本によると寝室の温度は実はもう少し低い18度くらいが最適なのだとか。

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(ICEHOTELはよく眠れる?credit Hans-Olof Utsi/imagebank.sweden.se)

『スタンフォード式 最高の睡眠』でも深い眠りと体温の関係について詳しく説明されていましたが、睡眠と体温、室温の間には強い関連性があります。少し前までは人類は断熱も暖房もされていないところで暮らしていたのですから、太陽の動きに伴う気温の変化に睡眠と覚醒が連動しているのは当たり前といえば当たり前。

これに関しては、日本のあの寒~い寝室というのはよい眠りのためにはなかなかよい環境だったようです。

体の筋肉量の違いからか、私と夫の間では快適と思う室温にかなり違いがあります。寝室の室温を夫に合わせると寒い! と長年文句をいい続けていた私ですが、この本を読んでから寝室の温度は少し低めにして、寝る時はすぐに布団に潜り込むことにしました。

私もよりよく眠れるようになったように思うし、夫も文句を聞かなくてよくなりました。同じような問題(?)を抱えている人はぜひお試しください。

活動量計で睡眠測定してよかったこと

運動の回で書きましたが、私は去年『一流の頭脳』を読んで走りはじめ、しばらくしてからFitbitという活動量計を買いました。スマホなしで腕につけている活動量計だけで歩数や心拍数を把握できるのは便利ですが、Fitbitで一番ハマっているのはやはりこの活動計でわかる睡眠時間と質の計測です。

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(よくねてるなー、私)

使い始めた時から睡眠時間と睡眠レベル(深い、浅い、レム、覚醒)がわかる便利なものでしたが、Fitbitアプリはその後もどんどん進化して(Googleが買収したから?)、少し前から「睡眠スコア」がでるようになりました。

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それをすごい! と思っていたら、先週ぐらいからは「推定酸素飽和度」という寝ている間に起こる血液中の酸素飽和度の異常を提示してくれるようになりました。睡眠中に無呼吸などの呼吸障害が起きているかどうかを知る目安になるそうです。いびき、無呼吸が心配な人にはいい機能ですね。

私はそれまでは日中でさえ腕時計をしていなかったので、活動計を装着したまま眠れるだろうかと最初は心配でしたが、気になったのは最初の3日間くらい。驚くほど早くFitbitをつけていることが気にならなくなりました。

これまでの人生で腕時計を使ったことのなかった私の夫も、私が使っているのをみるうちに活動計が欲しくなったそうで、今では私以上に熱心に毎朝、睡眠のログを見ています。彼に至っては、装着初日から問題なく眠れていたようです。

(Fitbitは装着が腕時計よりも気になりません。個人の感想ですw)

様々な数字が毎日記録されていくのを見るのはそれだけで楽しいですが、眠りとの関係で活動計を買ってよかったと思ったことが2つあります。

一つは、夜中に目が覚めても嫌だなと思わなくなり、目が覚めて後、また寝入るのに時間がかかっても心配しなくなったこと。これはFitbitを使い始めて初めて知ったことですが、通常、人は夜中に何度も覚醒しているそうです。Fitbitアプリには以下のような説明がありました。

”睡眠段階に覚醒状態の時間があるのは普通です。研究によると、典型的な大人は一晩10-30回の間にしばらく覚醒状態になることがあります。特に一度の覚醒時間が2〜3分以内の場合、目覚めてすぐまた眠りに落ちた可能性が高いので、目覚めたことを覚えていないかもしれません。”

(Fitbitヘルプ・睡眠段階についての説明より)

夜中に目が覚めるのは普通で心配する必要はないと思えるようになったのはよかったです。また、夜中に目が覚めて再びすぐに寝つけないことがあっても全体としてみれば結構よく寝ていることがわかり心配しなくなりました。

そしてもう一つ、Fitbitを使い始めて初めて認識したのはこれまでは「睡眠時間8時間」といえば、寝入った時間から起床までの時間を考えていましたが、実際にはそのうちの1時間くらいは覚醒していること。私はよく寝るのですが、8時間寝たと思っていても実際の「睡眠時間」はそこからマイナス1時間の7時間くらいのことが多いことです。

だから、なんなのだ? ですが、私にはなんだか目からウロコで、そうか、そんなに連続して一心不乱に眠らなくても大丈夫なんだと、これも不安要因を取り除いてくれる結果となりました。

ちなみに私は昨日の夜は22時12時に就寝、5時47分に起床して、そのうち覚醒していたのが1時間5分で、睡眠時間は合計6時間30分。睡眠スコアは85点(すごくよい!)でした。

さて、ベッドをどうする?

というわけで覚醒時の行動の内容と夜の睡眠の質は表裏一体であることを知り毎日、運動、食事、創作、社交といった行動でせっせと睡眠ポイントを集める生活を送るようになった私ですが、最近気になり始めたことがひとつ。

冒頭に書いたスウェーデンに引越してきて、すぐにベッドを買いにいったのはもう20年近く前の話。このベッドが本当に快適で、出張や旅行から家に戻ると寝るのが楽しみで仕方ないほどこのベッドが好きだったのですが……

ベッドが古くなったのか? 私が古くなったのか? おそらくはその両方だと思いますが、最近なんだか「ベッドを新しくしたらどう?」と眠りの小悪魔が耳元でささやきます。

よい眠りにはベッドよりもジョッギング、とはわかっているし、それにベッドは結構高額なのでそうそう簡単に買えません。
でも、人生最後のベッドの買い物と理由をつけて、すっごーくいいベッドをちょっと買ってみない? ああ、悶々として物欲で眠れない……

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(先週泊まったヘルシンキのホテルのベッドもステキでした♡)


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スウェーデンと日本のビジネス開発コンサルタント、翻訳者、ブロガー。日本では電通、ディズニーでマーケティング。2000年からスウェーデンでIT関連ビジネス開発。ちょっと未来なスウェーデンのニュースブログを毎日更新中。https://swelog.miraioffice.com/
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