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パブリッシャーの新しい時代

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新聞、雑誌、書籍とニュースの、2019年以降のデジタルなお話
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#スウェーデン

オーディオブックのビジネスモデル論争

オーディオブックのビジネスモデルといっても、ここにまとめたのはユーザーにどのような料金プランを提供するかの話ではなくて、スウェーデンの出版社とオーディオブックサービスの間のビジネス闘争の話だ。 伸びているオーディオブック・サブスクリプションスウェーデンでは「本を聴く」ことはCDの時代から人気があった。 書籍と書店のビジネスは縮小を続けたこともあったが、書籍出版全体の売り上げはここのところは横ばいで、さらにオーディオブックと電子書籍のおかげで、2018年は前年から5%伸びてい

ニュースメディアの新しいビジネスモデル − スウェーデンから 4 <組織と広告>

先鋭的なビジネスモデルで世界の一歩先を行くスウェーデンの大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル。今回はデジタル時代の組織の作り方と広告について 将来性のない仕事ジャーナリストは日本のハローワークに相当するスウェーデンの労働斡旋機関が「将来性のない仕事」とした、今は需要が減っている仕事だ。 米国と同じく、小さな地方の新聞や業界誌や組合誌の経営状況がどんどん悪化していったスウェーデンでは、それまで新聞社や雑誌社に雇用されていたジャーナリストが次々に人員整理されていった。 地方紙の

ニュースメディアの新しいビジネスモデル − スウェーデンから 3 <ジャーナリズム>

先鋭的なビジネスモデルで世界の一歩先を行くスウェーデンの大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル。今回はデジタル時代のジャーナリズムについて。 高品質ジャーナリズムとはなにか? 高品質ジャーナリズムを掲げデジタル課金読者獲得に成功したスウェーデンのダーゲンス・ニュヘテル。SNSや無料のニュースサイトではなく、人々がお金を払ってまで読みたい内容とはなんだろう? ペーテル・ヴォロダルスキは新編集局長に就任した2013年、「事実として信頼性の高いニュースを伝えるだけでなく、今後は出来事

ニュースメディアの新しいビジネスモデル − スウェーデンから 2 <変革>

先鋭的なビジネスモデルで世界の一歩先を行くスウェーデンの大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル。今回は「課金モデル、決済方法、チャーンの改善」について。 今でこそ北欧の成功したビジネスモデルとして取り上げられるダーゲンス・ニュヘテルだが、たどってきた道はかなり激しい。まずは500人の社員を180人減らす話からはじめよう。 2010年の人員削減スウェーデンを代表する大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテルが現実から目をそむけることができなくなったのは2010年。広告売り上げが激減し、20

ニュースメディアの新しいビジネスモデル − スウェーデンから 1 <はじめに>

セコイア・キャピタルのパートナー、マイケル・モリッツもその先鋭的なビジネスモデルが世界の新聞社の一歩先をいくことを認めた、スウェーデンの大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル。 2013年にわずか34歳で編集局長となったペーテル・ヴォロダルスキが推進してきた数々の施策で確実にデジタルへと軸足を移し次世代のビジネスモデルの構築をすすめる。彼のフェイスブックやアップルといったプラットフォーマーへの態度もユニークでかつ一貫しておりモリッツが注目するのも不思議ではない。 これから4