見出し画像

孫の中学校入学その1

先週に孫息子が中学校に入学した。

生まれてから12年。早いもんだ。

12年前の夏、私は娘の出産に立ちあった。娘たちを不安にさせてはいけないので平然を装いながらも内心はオロオロしかなりの難産の上にやっと無事に生まれて来てくれた孫にご対面した。うちの子供たちはただ一人として簡単に普通に生まれなかったので、孫もその伝統をしっかり受け継ぎ大変なデビューを飾った。

先生や看護婦さんたちに私達家族は足を向けて眠れない。出産だけでなく色々な事で多くの素晴らしい医療関係者の方々に巡り合い助けて頂いた。彼らはまさにエンジェルだ。本当に有難うございました。

お医者さん、看護婦さんは24時間人の命を預かる大変な仕事だ。でも看護婦さんのお給料は少ない。だからもし私が国の大統領になることがあったら一番に看護婦さんと教師のお給料を上げたい。話はそれてしまったけど、今の医療の水準は素晴らしい。私たち家族がもし100年前に生きていたら、私を含めみんな確実に出産時に死んでいたから、今の時代に生きていられて本当にラッキーだ。

孫は大きくて中々出て来れなくて、結局バキュームを頭に着けて引っ張り出したのだが、その時にとんがりコーンのように頭の形がかなり伸びてしまって、新米パパは真っ青な顔をして先生に”こっこれ大丈夫なんですか!?”と今にも倒れそうにショックで声も出なくて蚊の鳴くような小声で言った。

先生は女医さんでその日は看護婦の人数が足りず、うちの娘の出産時は沢山の事を一度に看護婦なしの一人でしなければならず、今思い出しただけでも頭が下がる。うちの孫が生まれたと思ったらやっと看護婦が一人駆けつけてきて、その先生は色々な処置をした後急いで他の妊婦さんの所に行った。大きな病院だったから、一度に出産が重なると大変なんだなと感じた。

私はその夜精神的にも肉体的にもクタクタになって娘の小さなアパートに戻った。まさに漫画のひとコマのように玄関を入ったら、そのまま大股で5歩歩いて寝室のベットにバッタリと倒れ込み、気が付いたら朝だった。ひょっとしたら靴も履いたままだったかもしれない。私は通常神経質なので、慣れないところでは眠れないし、きちんとお風呂に入り歯を磨いてパジャマに着替えないとリラックスできないし眠れない。その私がである。こんな事は前にも後にもその時一回切りだ。自分も何度も出産はしたが、自分の娘の出産の立ち合いは全然違う経験なんですねこれが。それも難産。私は自分の子供たちになると強いけど同時にメンタルが弱い。それがよくわかりました。

朝起きてシャワーを浴び、準備をしてすぐに面会に行くとなんともう退院だそうだ。まだ24時間も経ってないよ生まれてから。本当に大丈夫なのかい?ママも赤ちゃんもあんなに大変だったのに。いつも思うが外国は日本とこういう所が本当に違う。いずれにせよ、幸い孫の頭のとんがりコーン度はだいぶ良くなっていた。

若いパパとママは看護婦さんたちに挨拶をして病院を後にした。新米パパは新米ママに綺麗なお花と可愛い大きな風船をプレゼントし、赤ちゃんと娘の乗る車いすを押して私の車に連れてきた。私はなぜかわからないのだが、今でもその風船がふーわふーわ揺れている光景を忘れられない。

娘たちの住むアパートに着くと、サプライズで娘たちのお友達たちが玄関から家の中まで赤ちゃんの誕生おめでとう!と風船や素敵な飾りで飾り付け、お花を活けて、冷蔵庫の中も美味しそうな食べ物で一杯にしてくれていた。その頃娘たちはまだ若くみんな学生だったので、みんな決して沢山お金があったわけではないのに、一生懸命それなりに工夫してくれたんだんだなあと私はじーんときた。私達が帰宅した時はみんな気を使ってか誰もいなかった。こういう人の優しさに触れる事の出来る場面に遭遇すると、人間って良いなあと思う。

オランダには素晴らしいお産のヘルパーさんの制度がある。自宅に赤ちゃんとママを助けてくれる特別な看護婦さんがやってきて1週間ぐらい、朝に来て毎日8時間ぐらい居て、赤ちゃんの世話の仕方を教えてくれたり、ママの健康管理、家事、買い物、上に子供が居たら学校の送り迎えから子供の世話、ご飯を作ったりしてくれる。これは健康保険でカバーされていて誰でも受けられるサービスである。本当に素晴らしい!赤ちゃんが生まれる前にどの人に頼むかを決めておくんだけど、赤ちゃんっていつ生まれるかがはっきりしないので、時に指名した人が来れなくなる時もあるけれど、でもなるべく要望に応えれくれるようにはなっている。

看護婦さんが来てくれて、まだ圧倒されている新米パパも含めうちの子達が大事にされているのを見届けて、私は今度は自分の子供たちを迎えに主人のお母さんの所へ急いで向かった。今回の長女の出産の為に預かってもらっていたからだ。その時次女は3歳、末っ子はまだなんと1歳。そうなんです、うちの末っ子と孫息子は1歳しか違わないのです!

私は今回孫の中学校の入学の事を話したかったのですが前置きが長くなってしまったので続きはまた今度にします。あしからず。

とにかく、難産でとんがりコーンの頭になって生まれた孫息子も12年たった今は、元気で明るくカッコイイ、で、優しい良い子に育ってくれて、おばあちゃんの私は嬉しく有難いの一言なのです。

ちなみにとんがりコーンの頭はちゃんと治りました。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?