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型にはまることの心地よさってある 《コンビニ人間》

友人からおもしろいと教えてもらって、読みはじめた「コンビニ人間」。冒頭からこの世界の見方が独特すぎて、めちゃくちゃいい。

この小説は、コミュニケーション能力と呼ばれるものを、他の人へすべて分け与えてから、この世に生まれてきたんじゃないかと思うぐらい不器用な主人公がコンビニで働く話。

コンビニでは、ありとあらゆることがマニュアル化されていて、何がどうなっていたらいいのか、変じゃないのか、全部提示してくれる。それに従って生きていれば、周囲から浮いたり、変な目で見られることはない。だから、主人公はコンビニで働きはじめて、ようやくこの世界の部品のひとつになれたと思ったそうだ。

なんか就職活動のときのことを思い出した。一体誰が決めたのか、みんな黒のリクルートスーツに、白のシャツをきて、髪型はひとつくくりで、同じ格好をしている。コンビニのおにぎりみたい。

私はそれがすごくイヤだった。強制的に型にはめられているような窮屈さがある。将来どうなりたいの? ってよく面接で質問されたけど、こんな型にはまったような人間にはなりたくないなって思っていた。

じゃあ、リクルートスーツを着なくても、私服で受けられるところだけ受けたらいいやん、就活活動なんかしなくてもいいやん、って思うけど、型を破る勇気はなくて。留年してたこともあって、みんなと同じ就職活動をやっている自分に安心感を覚えていたな。

こういうのって、意識していないだけで、めちゃくちゃある気がする。人と違うことをするのって、ものすごく勇気がいる。もし、次への一歩が出ないなら、まずは型にはまってみて、自信を取り戻してからでもいいのかも。主人公の気持ち、わかるなあ。

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