アスペルガー彼女が解説するアスペルガー彼氏・夫の理解できない7つの言動

わたしの彼氏はアスペルガー、そしてわたしも同じアスペルガーです。

同じアスペルガーなので、今では理解しあえる部分も多いのですが、やはりそれぞれ違います。

出会ったばかりの時には、「なんで?」「なんで?」の連続でした。

そんな彼氏の言動をアスペルガーの視点から分析してきて、解読できるようになってきたので、今では対処法もわかります。


ですが、アスペルガーではない彼女さんや奥さんの場合なら、理解できずに悩み続けることもあるだろうと感じます。

実際、通称「カサンドラ症候群」と言われるものが知られるようになり、自分はカサンドラだと訴える人も増えているようです。

カサンドラ症候群とは、アスペルガーの人のパートナーが、コミュニケーションがうまくいかないことによるストレスのために抱える心身の不調のことです。

そのような不調を引き起こさないために、アスペルガー彼女の視点でアスペルガーの彼氏・夫にありがちな言動について解説してみたいと思います。


アスペルガー彼氏・夫の理解できない7つの言動


1.なぜ何も聞いてくれないんだろう?


せっかくの週一回のデートなのに、わたしばっかり質問したり、自分のことを話したりしてる。

なんで彼は何も聞いてくれないんだろう?

会ってない間、わたしがどうしてたか気にならないのかな?

わたしから話題をふらないと無言の時が流れて、何だかつまらない。


アスペルガー彼女が解説!

彼は繊細なので、付きあってからしばらくはあなたといる間緊張してしまいます。

過去に変わり者扱いされた経験があると、自分に自信が持てず、

「俺がさっき言ったことは変じゃないか?この子内心引いてないかな?」

「仕草が不自然になっていないかな?」

などと心配して、話すことに気が回らなくなります。


また、「話さなきゃ!」と思っても、何が適切な話題なのか悩んでしまい、口に出せなかったりします。

そのため、あなたが話題をふってくれることでとても救われています。

付きあいが長くなって、あなたが彼を嫌わないということがわかってくると、自分の言動を心配することは少なくなります。


ただ、もともと無言が気まずいと感じなかったり、誰かといる時は話した方がいいと思っていない場合もあります。

その場合、自分から質問したり、おもしろいことを話したりして会話を盛り上げようとすることは少ないかもしれませんが、それはあなたにこころを許しているからです。

彼は会話しなくても一緒にいる時間を楽しめるのです。


同じアスペルガーの人でも、相手に口を挟ませず一方的に話してしまう人もいるので、人それぞれではあります。


2.あれ、今考え中じゃなかったの?


デートの行先を決めるときや、仕事の予定を確認したいときに、質問したら「うーん…」と言って考え中になる。

ずっと待ってるけど、そのまま返事がなく終わる。

「うーん」って言ってるから聞こえてないわけじゃないし、これっていったい何なの?


アスペルガー彼女が解説!

会話中、彼の頭の中では関係ない考えが巡っていることがあります。

その考えにとらわれている間は、あなたの声は耳に届いていても「保留中」の状態になってすぐに処理されません。

そして考えが巡るうちにどこかへ追いやられてしまいます。

これはあなたに興味がないからではなく、自分では制御できないことなのです。

なので、怒らずにもう一度聞き直せば答えてくれます。


また、「わたし来週の土曜日空いたんだけど…」のような質問型ではない言い方をすると、彼は自分が答えを求められていると気づかないこともあります。

そういう時は、「来週の土曜日は会える?」のように聞き方を変えればOKです。


3.今、「うん」って言ったよね?


二人で分担して何かするときに、「じゃあ、わたしこれやるから、それをお願いね!」って言ったら、彼は「うん!」って言ったのに、一向に動かない。

あれ、たった今相談して、取りかかる流れになったよね?なんで?


アスペルガー彼女が解説!


彼は自分の中で決まった予定や手順を持っています。

会話の上ではあなたに合わせて「うん!」と言いながら、頭の中では「まずこれをやって、これをやって、その後にやろう」と考えています。

それならそう言ってくれればいいのに、と思ってしまいますが、彼は自分の役割を果たすつもりでいるので、あなたにいつやるか伝える必要があるとは思いつきません。

自分のペースでやってくれるのにゆだねるか、「いつやる予定だった?」と聞いてしまいましょう。


4.なぜぼーっと突っ立ってるの?


食事の準備や後片づけをするときに、わたしがやってるのを眺めてるだけのことがある。

他にもたくさんやる作業があるのに、どうしてぼーっと突っ立っているの?


アスペルガー彼女が解説!


アスペルガーでない人は適当に自分のやることを見つけて動くのが得意ですが、アスペルガーの彼にはそれがむずかしいです。

・他に何の作業があるかわからない

・何の作業があるかはわかっていても、どの順番でやればいいのかわからない

・あなたの好きなやり方があるかもしれないから、自分がやっていいのかわからない

・何をしたらいいかやどうやってやったらいいかを、あなたに聞いてもいいのかわからない

と、いくつものわからないことで頭がいっぱいになり、何もせず突っ立っているだけのように見えてしまうのです。


実は、本当にわからないというより、相手の意図に合わせようとして身動きがとれなくなっているだけで、一人で自分のやり方でやる時にはスムーズにできたりします。

やる気がないわけではないので、何をどういうふうにしてほしいか伝えると安心してやってくれます。

「自分で考えてやってほしい」とイライラしてしまうかもしれませんが、これは最初だけのことです。

彼は決まったやり方や役割分担があれば、迷わずに自分から動くことができます。


5.自分でわからないの?


「ゴミ袋ないけど、これどうしたらいい?」

どうしたらいいって、ゴミ袋を出してそれに入れるに決まってるでしょ。

わかってることをあえて聞いてくるのは、わたしにやってくれっていう意味なの?


アスペルガー彼女が解説!


あなたには一つしか選択肢のない明らかなことに見えていても、彼の頭にはいくつもの可能性が浮かんでいて、自分では断定できません。

特に、彼は規則性や一貫性を重視するので、あなたの言うことが都度変わったり、例外があったりすると混乱してしまいます。

「この場合はこうだと思ってたけど、昨日は違った。今日の場合はどうなんだろう?」

とわからなくなり、都度あなたに確認することになります。

やり方を決めて、毎回同じようにやるようにすれば、彼も迷わなくなり、あなたに確認しなくても済むようになります。


6.片付けてくれってこと?


気がつくとキッチンのテーブルにスーパーの袋が置いてあったり、彼の洗面用品が置いてあったり、郵便物が置いてあったり。

何も言わずに共有の場所にわざわざ置くのは、わたしに片づけてくれってことなの?


アスペルガー彼女が解説!


どこに置いたらいいかわからないものがあると、取りあえず無意識に自分の邪魔にならないところに置いて、そのまま忘れてしまうことがあります。

他にも気になることがいっぱいで、頭の中からこぼれ落ちてしまうのです。

あるいは、自分の中では後で処理しようと考えていて、それをあなたに伝える必要があると思っていない場合もあります。

そこに置いてあるとあなたが困るだろうから言っておこう、という考えが浮かびません。


たしかに、面倒だからあなたがやってくれたらいいな、と思っている可能性もあります。

ですが、たいていは後でやろうと思っているか無意識に置いているだけなので、深読みして怒ったりせず、「こうしてほしい」と伝えれば、次回から気をつけてくれます。


7.「ありがとう」じゃないんだよね


「デートの行き先を考えてくれてありがとう。」

「お店を調べてくれてありがとう。」

「予約してくれてありがとう。」

うーん、一つ一つ気づいて感謝してくれるのはいいんだけど、

「今度ここ行かない?」

「俺が予約しておくよ。」

とか、たまには言ってほしい。


アスペルガー彼女が解説!


アスペルガーの中には受動型というタイプがあって、彼は受け身が基本スタイルの人なのかもしれません。

もしくは、

・どんな場所がデートにふさわしいのかわからない

・相手の好みの店ではないかもしれない

・高すぎても困るだろうし、安すぎても軽く見てると思われちゃうし、どれくらいがいいのかわからない

・やってくれるって言われたら、否定せずお願いした方がいいのかもしれない

などといろいろ心配し過ぎて、提案できないでいる可能性もあります。

アスペルガーの人には、せまい交友関係を大切にする人が多いです。

いつも決まった人としか会っていないと、一般的によしとされているものがわからなかったり、こういうタイプの人はこういうものが好きだろうというイメージが湧かなかったりします。


自分からやってくれることを期待するのはやめて、「次回はおすすめの場所に連れて行って!」「所要時間や予算はこれくらいで」「○○や△△が好きだな」などあなたからリクエストすると、彼も選択肢が絞られて動きやすくなります。

もちろん、アスペルガーでも積極的な人や交友関係の広い人もいるので、みんながそうというわけではありません。


察することを期待しない


相手がアスペルガーであろうとなかろうと、勝手に相手に期待せず、してほしいことやしてほしくないことをちゃんと言葉にして伝えることは大事です。

特にアスペルガーの彼氏さんや旦那さんの場合、一般的な人とは違う感覚で生きてきているため、「普通はこうでしょ」とあなたが思っていることとは違った常識を持っていることが多いです。

そして、あいまいな表現や皮肉、むっとした態度や悲しげな表情で伝えようとしても、そういうものの解釈の仕方が他の人たちとは違うので、あなたが思った通りには伝わりません。


ですが、それは彼があなたのことを大切に思っていないからではないのです。

ただ、違うというだけのことです。

もしあなたが彼の気づかないうちに怒ったり、悲しんだり、がまんしたりしていたら、彼は悲しいのです。

だから、そういう自分の気持ちに気づいたら、言葉にして伝えましょう。

きっと、伝えてくれたことに感謝して、行動を変えるように努力してくれますよ。


(この記事は2018年に書かれたものです)

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