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金沢のありえないレストラン

2019年10月、金沢にすごいレストランがオープンする。その名は、A_RESTAURANT。

つくったのは、金沢在住の起業家、宮田人司さんが率いるOPENSAUCE(オープンソース)というスタートアップだ。宮田さんはだいぶ前にiモードの着メロで大成功したり、iPhoneのアプリストアが登場した早々に「memory tree」などのアプリをつくったりという連続起業家で、とにかく面白い人だ。宮田さんを紹介してくれたのは、林信行さん。私が約1年の産休・育休から復帰して浦島太郎状態になっていた10年前、ツイッターと並んで宮田さんのmemory treeのようなアプリでいかにこれから時代が変わるかを教えてくれたのがきっかけだ。

その宮田さんが昨年、金沢で食をテーマにしたOPENSAUSEを立ち上げた。さらに今度は、孫泰蔵さんが創業したスタートアップの支援組織、mistletoe(ミスルトゥ)の代表にも就任し、同社は金沢に本拠地を移すことになった。

そんな宮田さんが作るレストランを見てみたい!ということで、金沢までプレス発表とレストランのお披露目に駆けつけた。

このレストラン、世界中から名だたるシェフがやってきて料理を作って振る舞うというのがコンセプト。お披露目では、宮田家に伝わる家庭料理から、国内外のシェフの料理が織り込まれたコース料理が出された。

ここからは夕食会で出たお料理の数々。OPENSAUSEという名前だけあって、レシピはwebで公開されている。
https://a.restaurant.co.jp/creative_global_kanazawa/list_ja.html

使われている食器は、これもまた金沢を拠点とするsecca(雪花)というスタートアップが作る素敵な食器だ。

宮田家に伝わる「謎煮」。謎というけれど、とってもおいしい椎茸の煮物。

今英之シェフの「三平汁」

長崎料亭「春海」のはとし

野岸広之シェフのタコス デ カルニタス

今橋英明シェフのブータンブラン/牡蠣/セップ

銭屋の高木慎一郎シェフののどぐろの柚庵焼き

今英之シェフの納豆ソースのハンバーグステーキ

Matteo Albertiシェフのかぼちゃのリゾット

パティシエ平瀬祥子さんのヘタ紫なす/ショコラ/柚餅子

ペアリングで出されたお酒もソフトドリンクもおいしすぎて飲みすぎて、色々忘れていることも多いのだけれど、このレストランがありえないくらい素敵なのは間違いない。下世話な私は採算が取れるのだろうかと心配になるくらいだ。

でも、時代はこういう手間ひまかかった素敵な物を求めているのかもしれない。

孫泰蔵さんは記者発表会の冒頭で、「人間は効率化や分業を進め、行きすぎた資本主義によって格差が生まれ、自分で生きていく力が落ちている。これからは新しいコミュニティ、新しいテクノロジー、イノベーションで人間中心の社会を再構築したい」という話をしていた。A_RESTAURANTは空間も料理も、合理的なチェーンレストランと対極にある。misletoeや宮田さん、孫泰蔵さんが向かう未来を表したのがこのA_RESTAURANTなのかもしれない。今度聞いてみよう。


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