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「経済力学」新しい学問構築に自ら挑む その13

§10. 失われた30年と言われる、バブル崩壊後の日本経済における経済力学エントロピー的考察(その1)

 失われた30年と言われる、バブル崩壊後の日本経済における経済力学エントロピー的考察を始めたいと思う。

 この失われた30年の始まりは、バブル崩壊であった。そして日本はデフレ状態に陥り、この30年間はデフレ状態が日本経済の象徴にもなったと思う。そしてその間、約20年間に渡って、日銀は、ゼロ金利政策をとり続けた。金利がゼロということは、お金が全く自己増殖しないことになるが、このお金が全く増えない状況というのは、デフレ経済下での日本経済にどのような影響をもたらしたのか?を経済力学的に考察することにする。

 まず、ゼロ金利下では、お金が全く金利によって増えないのであるから、金利によってお金のする仕事は、ゼロということになる。そして、デフレ下でのゼロ金利というのは、物価が安い状況で、お金自体がまったく増えていかない状態を日本経済にもたらしたことになる。その結果、国民の賃金も下がり続け、日本経済は大打撃を受けたのである。つまり、日本経済は、デフレ不況に完全に陥っていった訳である。そして、この20年間の間、消費税の3%から5%へ、5%から8%への二度の消費税増税もあった。その結果として、個人消費も完全に落ち込み、日本経済が経ちいかなくなった原因となったのである。

 ゼロ金利でお金が全く増えない状態でありながら、消費税だけがこの間だけで5%も値上がりしたのであるから、人々の心理的な消費に対する抵抗もさらに大きくなったと思う。

 ここまでの考察からわかると思うが、デフレ下で物価が安い状態であっても、国民の所得が下がり続けて、お金が全く増えない状況で、その上、消費税の5%アップという国の行為そのものが、大きな原因となって、日本経済が衰退してきたということが、十分すぎるぐらいわかると思うのである。

 つまり、これまでの日本の政府と日銀の双方の経済政策が原因となって、日本経済がデフレ不況に陥ったと言っても、まったく過言ではないのだ。


 そして、ここから、経済力学的指標である、経済力学エントロピーを用いて、この失われた30年間のうちの20年間についてを考察していくことにする。

 まず、金利がゼロの状態においての経済力学エントロピーはどのように表せるのかを示したいと思う。

 ⊿edS = ⊿WM / G

において、お金のする仕事WM、つまり、金利のする仕事がゼロの状態である。式で表すと

 ⊿edS = 0 / G =0

となる。つまり、この経済力学エントロピーがゼロの状態というのは、お金の流れが、全く生まれない状態であることを示している。つまり、ゼロ金利という状態は、経済に対する経済効果が全くない状態を表しているのである。つまり、その結果、経済というお金の流れを止める効果しかないことがわかる。そしてそれは、経済力学エントロピーの定義式において右辺は、お金自体の価値を表していることから、お金の価値がゼロであるということになるのである。つまり、もう一つのお金のする仕事である、経済物理学的な取引における価値しか持たないことを表している。

 つまり、経済におけるゼロ金利の効果は、お金の流れを止める効果しかない。そして、デフレ下での経済物理学的な取引は、物の価格が安いために、利益自体も減少して、その結果として、経済力学エントロピー自体も小さくなり、経済のお金の流れが縮小していく結果をもたらすことになるのである。

 そして、この失われた30年のうちの最初の20年間の日本経済の衰退の原因は、日本政府の消費税の増税政策と、日銀のゼロ金利政策という、日本経済におけるお金の流れに対する抵抗をより大きくする経済政策によって、もたらされたと言えるのである。

 そしてまた、日本政府と日銀の、このような間違った消費税増税と経済政策によって、今日の日本経済が経ちいかなくなる礎を、日本政府と日銀が自ら築き上げてきたのだと言えよう。






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