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「完全版 科学小説 熱力学的エントロピーの正体」その3 ひーろまっつん 松尾浩一

 また、私は、前回の作品の中で、エントロピーの発現には、2通りあるということも述べた。

 一つは、電流が電線を流れる時に、熱と磁界による磁力(吸引力)を発生する現象と、もう一つは、ボイラー缶内等、水蒸気発生機械の内部で、ボイラー缶内の温度が下がることによって、負圧を生じる現象の、二つの現象が起こることを、私は述べたと思う。

 そして、これら二つの場合の熱力学的エントロピーの発現は、物質の状態(気体、液体、固体)の違いによって、エントロピーの発現形態も変化しうるということであろうと私は考える。 

 例えば、「金属などの個体物質の場合と、水蒸気等の気体物質においては、発現しうる熱力学的エントロピーの形態も異なる。」ということに他ならないと私は考えるのであるが、これに関して言えば、例えば、同じ金属でも、鉄とタングステンでは、エントロピー発現の形も違ってくると思われる。鉄においては、熱と磁界による磁力(吸引力)をより発現し易く、タングステンでは、熱の発生が主なエントロピーの発現であると言えよう。

 つまり、熱力学的エントロピーの発現形態に関しても、その物質の状態や、物性に関係して、エントロピーの発現形態も変わってくると言えると考える。

 そして、物質の状態によって、エントロピーの発現の形態も変わるということは、エントロピーというエネルギーがしうる仕事の形態も、変化するということになる。

 それは、エネルギーとは、物理的な仕事をしうる力のことであり、エネルギーと仕事には、原因と結果という関係があるため、エネルギー的に考えると同等であると考えられることになる。

 つまり、すべてのエネルギーが状態量であるとすれば、仕事自体も、状態量であると言えることにつながることになる。

 例を挙げると、物質の持つエントロピーに起因して熱量は発生するのであり、その経路に依存して発生するのでは決してないと言えるのであるから、熱量自体も状態量であると言えることからも、熱量のしうる仕事自体も状態量である。つまり、熱量の単位と仕事の単位が等しいのは、この理由からきちんと証明される。

 これまでは、物理的な仕事自体も、その経路が関係するために、状態量ではないと言われ続けてきたが、エネルギー的に考えるならば、エネルギーも仕事も同等であることから、物理的な仕事自体も、状態量であると言えることになるのである。

 そして、エネルギーが基となり、物理的な仕事は起こりうるのであるから、その関係は、原因と結果の関係であると言える。

 しかし、エネルギー=仕事ではない。なぜなら、エネルギーは原因であり、仕事は結果であるためであるが、その大きさは、等しいということが言えるということになる。

 つまり、|エネルギー|=|仕事|という関係になるわけである。

 つまり、状態量とは、その経路に関係するものではなく、物質の状態を表し、その絶対値が必ず等しい関係にあるならば、状態量であると言える物理量のことを指すのである。

 そして、この事実は、エネルギーの単位と仕事量の単位が等しく表されることと決して矛盾していないことも、そしてエネルギーの保存則をも、証明できることにも、つながる結果となりうるのだ。







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