朝食(2020.6.29)
灰色の磨りガラスの向こう
朝食が整えられたテーブル
席につく人は消えてしまった
いつかの幽霊船
消えてしまった人びとと共に
わたしは朝食の席につく
冷たいミルクを
熟れたくだものを
見知らぬことばで交わされた
いくつかのやり取り
もう揺れることのない船で
わたしは朝食の席につく
湯気の立つスープ
火を通した肉
生まれる前から知っている
すりきれた音楽
見えないテーブルの
見えない皿に
見えない人びとが手を伸ばす
灰色の磨りガラスの向こう
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