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【教育】学校が賠償責任を負う場合

 学校が賠償責任を負う場合っていうのはどんな場合でしょうか。

 学校が県立だったり市立だったりの場合、地方公共団体の学校なので、国家賠償法が適用されます。

 以下の法律です。

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

国家賠償法

 例えば教員が故意に児童又は生徒に損害を与えるというのは全くないとは言い切れないですがほとんどないでしょう。

 大抵問題になるのは過失です。

 過失というのは不注意です。

 過失が認められるのは2段階の検討が必要です。

 ①予見が可能だったか

 ②回避が可能だったか

です。
 
 毎朝の登校の際に教員が旗振りして交通整理していたケースを考えてみます。

 旗を出したから児童が横断歩道を渡ろうとしたところ、道路の端を走行してきた自転車と衝突して負傷したとします。

 教員が旗を出したとき、その自転車はまだ路地裏の見えない位置にいて道路上にいなかったとします。

 流石に路地裏で見えない位置にある自転車がくるかどうかを予見することはおそらく不可能でしょう。

 この場合、予見が可能ではなかったとして過失を問うことはできません。

 では、仮にその路地裏からは頻繁に通勤、通学の自転車が出てくるようなケースはどうでしょうか。

 この場合、予見は可能とされると思います。

 ではそうであったとして、回避が可能だったかを検討します。

 例えばそこの路地裏から出てくる自転車は、横断歩道が近いから速度を出さないで走行するのが注意喚起する看板などにより常態化していたとします。

 なので自転車が路地裏から出てくることが予見はできますが、みんな速度を出さずに自転車を走行してくるので仮に出てきた自転車があったとしても、旗振りの教員が制止して事故を回避することは可能なのが通常だったとします。

 しかし、その時たまたまその路地裏を初めて通ってきた通学を急いでいる学生が猛スピードで路地裏から出てきて横断歩道を渡ろうとした児童と衝突したとします。

 この場合、その速度や位置関係から事故の回避が可能だったとするのはおそらくできないでしょう。

 この場合も過失はないということになります。

 このように、ある負傷という結果が起こったことについて、結果を予見することが可能であったのか、結果を回避することが可能であったのかを検討することになります。

 学校の教職員のみなさんも、こうした観点で考えられると、学校に過失があったかどうかの自分なりの検討ができることと思います。


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