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【著作権】フリー素材のアップロードってやっていいの?

 フリー素材のアップロードってやっていいのでしょうか?

 たまたま見つけた以下の文部科学省作成のYouTubeの啓発用の動画で問題になっていました。
 
 簡単にまとめると、高校生がネット上のフリー素材を用いたポスターを作成して配布したほか、SNSにアップロードしたというものです。

 ポイントは以下の通りです。3つあります。

①フリー素材は著作物になりうる。
 
 フリー素材、つまり写真とかイラストとかには著作物に当たる可能性があります。
 
 可能性があるというのは、創作的な表現と言えれば著作物として保護されるし、いえなければ保護されないところ、最終的には裁判所の判断で著作物か否かが決まることから、裁判所の判断がない段階では著作物の可能性があるというのが正確なため、そのように説明します。

②使用の許諾の範囲はフリー素材による。

 フリーというのは自由に使用して良いというものですが、このフリーというのが誤解を与えかねない表現で、何をやるのがフリーなのか、何をやるのがダメなのかについて、その素材を作成した者がどこまで使用させるかについて許諾でき、その範囲がフリー素材つまり著作者によって異なるからです。

③非商用利用を許諾するという場合でも例外があるか確認する。

 非商用利用は許諾するということになっていたとして、その場合であっても、例外の定めがあることがあり得ます。

 例えば前記動画のようにSNS等のネット上でのアップロードまでは許諾していないという場合です。

 印刷するという複製までは許していてもネット上にアップロードするという公衆送信までは許していないということです。

 印刷するという複製はそのために費用がかかるでしょうからその費用の発生による歯止めがかかると思います。

 しかし、ネット上のアップロードではどれだけの人がネット上にアップロードされた著作物にアクセスして閲覧しても、何ら費用はかかりませんので、歯止めはかからないことになります。

 このような歯止めがかからない態様であるネット上のアップロードは許すわけではありませんという場合があるということです。

 前記動画の場合、ポスターとして印刷するという複製するまでは許諾されている範囲内と思われますのでそれにとどめて置けばよかったと思いますが、それ以上にネット上にアップロードするという公衆送信まで行ったことから、これについては許諾が必要だったということになります。

 では、フリー素材を用いるのをやめて、自分でイラストを描いてポスターを作成して配布した後で、他人がそのイラストを用いてポスターを作成していた場合、どうなるのでしょうか。

 動画の最後の場面にありました。

 この場合、次の通りに整理できます。

①自分のイラストは著作物に当たる可能性がある。

②その場合、自分のイラストの利用は自分が許諾を他人に対してしない限り著作権法に反した態様での利用は他人はできない。

 前記動画の場合、イラストを作成した高校生はイラストを自分で作成していますので、これは著作物に当たる可能性があります。

 その場合、前記のフリー素材の場合とは異なり、この高校生は何も許諾していません。

 そのため、他人が無断でイラストを複製した場合は複製権の侵害となりえます。

 その場合、差し止めを求めることができますし、損害があれば賠償請求することができます。

 現代の高校生などの学生にありがちな事例であり、考えさせられるいい啓発動画と思いました。

 ただ、見ただけでは一体何がダメなのかなど著作権法との絡みが明らかではないので、解説いたしました。

 今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。

 

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