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Moon Sick Ep.4

思い返してみれば、世の中は平等ってわけじゃないってことに気付き始めたのは、病院へ俺だけが連れて行かれた頃からだった。

姉は、小学生の頃から成績も良く、受け答えも大人びていたせいか、総じて大人受けが良かった。一方、俺はといえば、学校の成績は良くもなく悪くもない中の中の辺りをウロウロしていたし、人見知りのせいか思ったことを口に出さずに飲み込むことも多い子どもだった。

愛情に差があったとまでは思わないが、異なる意見を言う子どもたちのどちらの意見を信じるかと問われた時、そうした常日頃の行いが影響することに気付いたのは、祖父母の家に預けられることになった時だった。

高校に進学するにあたって、この家に戻ってくることになった俺は、相変わらずの人見知りではあったが、自分の発言が、他人にどう受け止められるかということに気を使う程度には、成長していた。

実際、この地球上では、思ったことを思ったまま発言しても許されるのは、限られた王国に君臨することを許されている王様くらいのものだろう。そう思うようになっていた。

【御礼】ありがとうございます♥