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本と交際しよう

読書は、まさに体ごとのエクササイズだ。

プラトンや空海の時代から「知の格闘技」で、そもそもが「全身アスリート」の体験世界なのだ。しかし、話し言葉から書き言葉へ、音読社会から黙読社会へ移行する中で、読みと書きが離別してしまった。

本を全身で受け止め、呼吸することも忘れてしまった。考えることが想起であって、本を読むことも想起だったことを忘れてしまった。

そこには認識のジェノタイプ(遺伝型)に対するに表現のフェノタイプ(表現型)とでもいうものが、鍵と鍵穴の関係のように「抜き型」になっている。

書物は黙りこくった紙の束や孤立したシステムなのではなくて、いつも躍動を待ちかまえている「記憶という書物」である。新しい交際を待っている本を育てなければならない。もし一週間の生涯なら、百年をも捧げるべきなのだ。

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