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『舌骨下筋群』の機能解剖からの治療アプローチ

こちらは、2021年3月17日に嚥下ナイトセミナーの『舌骨下筋群の機能解剖からの治療アプローチ』のセミナーレポートになります。

 舌骨下筋群は、嚥下障害の嚥下反射遅延を改善させる為、そして姿勢や呼吸の治療アプローチがどれだけ嚥下と繋がっているのかを優先順位づけする為にも重要な筋肉であるとおもっています(^ ^)だからこそ、皆さんの担当している嚥下障害を呈する患者様の為にこのレポートを読んでみてください!

 このセミナーレポートでは、講義の中でお伝えした内容や、皆様が臨床に戻ってから少しでも学んだことを活用して頂き、臨床の手助けになれば幸いです。

この簡易版レポートは嚥下セミナーの概要についてセミナー内で話す内容を簡単にまとめたものです。より細かい部分に関しては是非下記の復習用動画をご覧ください(一部無料公開中)。なお、レポートに関しては、無断での転記等はご遠慮いただきますよう宜しくお願い致します。

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 皆さんが臨床で嚥下障害を呈する症例を担当するときに一番困る現象として
 *嚥下反射遅延している
 *ムセてしまう
 *ゴロゴロと咽頭残留障害がある
                   という事は多く経験しませんか?

 今回は、嚥下反射を改善させるために重要な筋肉である『舌骨下筋群』にフォーカスを当ててお伝えしていきます!!舌骨下筋群とは?その個々の筋肉の役割を中心に復習していきましょう👍

舌骨下筋群とは?(復習)

舌骨の上にあるのが『舌骨上筋群』
舌骨の下にあるのが『舌骨下筋群』
舌骨下筋群は胸骨舌骨筋・胸骨甲状筋・甲状舌骨筋・肩甲舌骨筋で構成されており、まずこの解剖学的位置や視覚的な解剖イメージが評価・治療において大切なポイントになります。

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 臨床上での触診のポイントとしては、まず『舌骨』のエッジを正確に触診できることです。舌骨の位置が正確に確認できるからこそ『舌骨上筋群』『舌骨下筋群』の解剖学的な位置関係の大枠が把握できます!そこから、個々の筋肉の視診・触診をしていきましょう。下図の臥位・座位での違いをみて一度練習してみてください。

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舌骨下筋群の役割とは?

 舌骨下筋群への評価・治療を進めていくには、『役割』を知ることが大切です。今回は嚥下における舌骨下筋群の役割を3つに絞ってお伝えしました。

①開口時に舌骨を固定する(舌骨上筋群の補助)
②嚥下反射時に甲状軟骨(喉頭)を挙上する
③舌骨を元の状態に戻す(ブレーキ:遠心性収縮)

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 この中でも一番知って欲しい③舌骨を元の状態に戻す(遠心性収縮)についてお伝えしていきます。

舌骨を元の状態に戻す(遠心性収縮)とは?

 舌・舌骨・喉頭(甲状軟骨)・食道はすべて繋がっており、舌・舌骨上筋群によって舌骨・喉頭は吊り下げられている構造になっている。この構造は、人の進化の過程から日常生活上で呼吸・咀嚼・嚥下・会話などの運動を実現する為に 、自由自在で連続的に『舌骨』を上下に移動することで可能になっている。そこで大切になるのが、運動後に素早く元の状態に戻り『準備』する機能が重要である。嚥下においてそれを担っているのが『舌骨下筋群』であると自分は解釈して臨床をしています!

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 嚥下時の筋電図の特徴としては、舌骨上筋群が先行して活動した後に舌骨下筋群が活動する。すなわち、舌骨上筋群の求心性収縮があることに対して、『舌骨下筋群』の遠心性収縮があると考えられる。舌骨上筋群は素早く反射的に収縮、舌骨下筋群は筋紡錘が多く長さ・速さの変化に応じた筋緊張変化を自由自在に変えれることが特徴です。

嚥下反射で『舌骨下筋群』の機能を見るべきポイントとは? 

 嚥下反射の中で、よく皆さんが評価するのは、甲状軟骨の喉頭隆起に手を当てて挙上範囲を評価することをしませんか?この評価は、舌・舌骨上筋群の活動を評価する上では重要な指標です。
 それとプラスして、挙上した舌骨・甲状軟骨がどのように戻るのか?すぐに元の位置に定位して『準備』することができるのかも是非評価・観察してみてください。下図に嚥下時における舌骨の運動様相についての文献を紹介させていただいております。

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この文献から解釈できることは、嚥下時には舌骨の運動は
*舌骨挙上開始時は、舌骨は後方挙上 →舌の送り込み
*急激な舌骨挙上          →舌骨上筋群
*舌骨前上方位           →甲状舌骨筋
*舌骨急速下降           →舌骨下筋群

*安静時(元に戻る)  

 このように嚥下時の舌骨は三角形の運動様相をとります。自分自身も臨床上でもこの運動を詳細に評価・観察することが『舌骨下筋群』の評価としては重要です!上記の文章で記載したように、舌骨の運動詳細を評価できる触診技術があれば、舌?舌骨上筋群?甲状舌骨筋?胸骨舌骨筋?など嚥下反射を阻害している筋肉レベルまで思考できると思って臨床に向かっております!

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 皆さんの是非、嚥下反射を舌骨の運動に意識して触診し、挙上だけでなく舌骨の戻り『準備』も評価して『舌骨下筋群』の機能を評価してみてくださいね!セミナーでは、個々の筋肉の触診や実際の治療アプローチまでお伝えしてますのでご覧くださいね!

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今後も皆さんに自分自身が嚥下障害の方に対して、日々臨床で愚直に知識と臨床を思考して明確になったことや気づきなどもこのnoteを通して発信していきますね( ^ω^ )
 次回のナイトセミナーは、4月21日『臨床につながる嚥下機能の評価・アプローチ〜舌骨・甲状軟骨のアライメントから考えられる原因追求〜』を開催します。
 臨床で舌骨・甲状軟骨のアライメント・触診からここまで原因追求ができるのかを講師の臨床での思考をお伝えします。また皆さんにセミナーでお会いできることを楽しみにしております👌

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今後も摂食嚥下障害で苦しむ方をサポートする為に! 皆さんの臨床で役立つ摂食嚥下の情報を発信していきますので、宜しくお願いします!