rei氏の「三色チーズ牛丼」記事のチェリーピッキングに突っ込む part1

(6/17追記・更新)
記事がなぜか消えてたので、追記・復活させました。ついでに、後続記事の内容を整理するなどする。

はてな匿名ダイアリーでrei氏の該当記事の内容の破綻にひたすら突っ込んでいる記事があって、そこでこの記事が引用されていたらしいのですが、この記事がアップロードされているのが6/14なので、この時点では前バージョンの記事が残っていたと思われます。

前verに「アスペ並感」という自虐表現があったのですが、筆者は障害者手帳二級の広汎性発達障害者です。おかしいのが気になるのはASD者の性です。誓って差別的な内容は無いですし、ちょっと心配なので(いつものぽんで消した可能性のほうが高いが)(私はお手本のようなADDなので凄まじく不注意です)、note事務局さんに問い合わせておこうと思います。

# 本題です

ということで、以下、rei氏の記事で引用している英語記事のひとつについて、実際に読むと記事で主張されている内容とぜんぜん違うじゃないか、という突っ込みを入れ続けるだけの記事です。

34か国の異性愛女性4483人のサンプルを使用して、社会的、生態学的、経済的変数が女性の顔の男らしさの好みをどのように予測するかをテストするかを調べた研究では、国の健康指数と人間開発指数が高い国でより強くなると報告された。男らしい顔に対する女性の好みは、子孫の生存率が高く、経済状況がより好ましい条件の下でより強いことを示している。
そして男らしい顔つきの男性は攻撃性、不正行為、自己中心的な衝動性、欺瞞、搾取的行動など「所詮この世は弱肉強食」マインドを持つ傾向があることが示唆されている。要は豊かで自由で安定した先進国になるほど優しい男性はモテなくなる傾向が存在するのだ。

上の文章は、下の記事の要約ということになっています。

中身を読んでみました。大筋の結論はrei氏が述べている通りなのですが、実は、記事内の統計を見ると、国別にけっこうな開きがあって、「日本に限ると」結論が違います。記事内のグラフを見てみましょう。

画像1

記事内にある「国の健康/開発要因と男らしさの好みの間の関連」が国別にプロットされています。縦軸が男性顔好みの高さ(上にいくほど男性的)、横軸が健康・経済の発展度合いです。はい、日本を探してみましょう。

画像2

日本人女性、かなりの中性顔好みです。

顔の男らしさに対する女性の好みは、健康指数が高く、病原体が低く、人間の経済的および社会的発展の指数が高い国ほど強い
https://www.nature.com/articles/s41598-019-39350-8

ただし日本は別、ということです。

具体的にいうと指数で0.41あたり、発展指数の高い国のなかではもっとも上位、比較された国の中でもかなり上位の中性顔好みと言えます。グラフ内、健康開発指数最下位のネパール(NP)とほぼ同指数です。ジャニーズの皆さんとか、宝塚人気とか、あとは……二昔前くらいの少女漫画に出てくる男を想像すればわかりますね。極端な話、面長にして肩幅を広くしただけですし。

というか、この記事、グラフ1の相関係数を小さく取り過ぎではないだろうか。健康開発指数上位の日本とネパールで縦軸の指数がほぼ同じなんですよね。以前は発展途上国ほど男性顔が好まれるという説が主流だったらしい(と書いてある)ので、反証という形でそうしたのかもしれませんが、アジア圏を無視するの、欧米中心的な社会観でよくないと思います(よくないと思います)。(※2)

豊かで自由で安定した先進国になるほど優しい男性はモテなくなる
何故、我々は三色チーズ牛丼顔なのか?

↑↓ ちなみに、引用論文内ではこのように書かれています。

私たちは、暴力性と文化全体の女性の男性らしい顔への嗜好との間に統計的に有意な関連を見つけられませんでした。
https://www.nature.com/articles/s41598-019-39350-8

まったく違う結論なのですが????

自分が知り合う機会のある人間がオタクばっかりなので、チーズ牛丼顔の件はどうでもいいのですが(チーズ牛丼顔、定義が曖昧だし、ウェイウェイしてる感じの知り合いは思い出すのが逆に難しい)、rei氏、出会い系アプリ・Tinder内の競争の激しさを論じたブログ(『最悪の出会い系』)から男女一般の話を引き出していた過去記事(私による突っ込み記事)でもそうでしたけど、

rei氏、引用する英語記事を中身まで読んでないのでは。

もうひとつの記事もおかしかったので続きを書いています。
発達障害男女の「過男性化」についての記事です。引用論文の内容がすごく面白いので(めちゃくちゃ曲げられていますが)、当事者の方にもお勧めです。それはそれとして、

結論ありきの記事の援用に適当な英語記事や統計をチェリーピッキングしてくるの、読者に対して不誠実だし、やっていることは有害な、いわゆる「疑似科学」です。多いに問題があると思います。とてもよくないです。

Twitterでこういう話もみた。

In keeping with previous work, there is also a clear and consistent dependence on ethnicity (15, 20), with Asian women and white men being the most desirable potential mates by our measures across all four cities.
https://advances.sciencemag.org/content/4/8/eaap9815

確かに、該当論文にはそう書いてある。引用ツイの回遊魚氏は、続くツイートで「アジア人女性が好まれるのは、男性の支配欲の現れであり、モンゴロイド差別の一形態であるとも言えると強弁できなくもないかもしれない」と指摘していますが(※3)、かように文化的背景が異なる米国のマッチングアプリからの分析で日本人女性の好みを演繹するのはやっぱり不可能なのではないか。

出羽守の人が日本sage欧米ageの話を引っ張って・よくTwitterで怒られていますが、これも似たようなもんではと思わなくもないです。自虐出羽守?

※1) ???「正論ならいくら投げ込んでも許されると思ってるのね、あなたってほんとアスペ……」って家人に言われるので
※2・3) こういうの見てると、どっちかっていうと欧米圏におけるアジア人差別の風を感じるとか感じないとか

下、投げ銭ゾーンです。

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