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大川浩子の人生の軌跡

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親になるということ②

親になるということ②

還暦をすぎた今だから
わかること、思うこと。

【 親になるということ 】

は、人生において
とても素敵なことだと。

新生児である最初の1年間、
この期間に「親と子」としての
これからの体験が凝縮されていると思う。

不規則な夜泣き
突然のウンチ
突然の発熱

ことばが話せない分
親として
感じること、見守ること、考えること…

おなかがすいたよぉ〜
オムツかえてよぉ〜
気分が悪いよぉ〜
眠い

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親になるということ

親になるということ

あいかわらず
ひろこの平熱は37.5℃

けだるさを感じながら
妻として
嫁として
義姉として
母として
義父の営む会社の事務員として、
忙しすぎるくらいに
毎日をすごしていた。

常に私の心の中は
「産後、寝たきりで迷惑をかけた分
 がんばらなきゃ!」だった。

しかし1人で何役もこなしていると
「ねばならない」の呪縛に
押しつぶされそうになる。

そんな中
唯一の癒しのときは
息子との時間だっ

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初節句

初節句

端午の初節句

両親が初孫のために、
五月人形の初陣兜を
大川家へ届けてくれた。

私もまだ本調子ではなく
寝たり起きたりの生活の中、
ささやかな宴を
催すこととなった。

着替えて宴の部屋に行くと

「じいちゃん(義父)ところにこい!」

「いや!ジジちゃん(実父)においで!」
 

なんと!
宴の場で初孫をめぐって火花が…

目に見えぬ「男同士の争い」を
目の当たりにして戸惑った。

どちらの

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育児ノイローゼからの脱出②

育児ノイローゼからの脱出②

お乳が張る!
今ごろ泣いていないかな?
オムツは濡れてないかな?

ソロバンをはじきながら
うわの空…

集中して仕事をしていないから
まちがいだらけ!

とうとう 
「よき嫁」の暴動がはじまった。

「義父さん!
 お願いですから
 せめて保育園か幼稚園が決まるまで
 家にいさせてください。
 子供のことが気になって気になって
 仕事が手につきません。
 申し訳ありません。」

大川家に嫁いで初

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育児ノイローゼからの脱出①

育児ノイローゼからの脱出①

毎日が不安の連続だった。

「これでいいのかな?」

「さっきオムツを替えたばかりなのに
 なんで泣くの?」

「さっきおっぱいあげたのに
 また泣いてる!?」
 
「なんで! なんで?なんで!?」

自身の検温も
気がつけば1時間おきにしていた。

「熱が下がらない!なんでなの!?」

家族に相談をしても
「気にしない!気にしない!」と返答。

…いま思えば、
こんな“うつ状態”のお嫁さんが

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特別編〜お雛様のに日〜

特別編〜お雛様のに日〜

いつものように
morning house(clubhouse)を
聴き終わると弟から電話がはいった。

「ばばちゃん(母のニックネーム)の
 容態が急変したから病院へきて」

数週間前から誤嚥性肺炎で
救急搬送されて入院中だった。

病室にはコロナなので
入室規制があり面会はひとりづつ。

ベッドの上には、
やせ細って息が苦しそうな
母が横たわっていた。

思わず駆け寄り
「規ママ、ありがとう

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長男誕生④〜育児ノイローゼ〜

長男誕生④〜育児ノイローゼ〜

お正月を大川家に戻って迎えた。

体温は38℃
あいかわらずの寝たきり生活。

「嫁なのに寝てばかり
 家事もできない、
 洗濯物も義母さんに任せきり…
 早く良くならなきゃ!」

気ばかりが焦って、熟睡できず。

オマケに
庭先で義母さんとご近所さんの
井戸端会議の声が、
いやおう無しに耳へ入ってくる。

「ウチの嫁、まだ熱があるのよぉ〜!」

「あんたも家事、大変だねぇ〜!」

そうだよね。

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長男誕生③〜産後〜

長男誕生③〜産後〜

「ただいま」

久しぶりの実家。

生まれて3ヶ月の息子と
産後体調のすぐれない私は、
すぐに夫と義父母のいる家へは戻らず
1ヶ月間は実家のお世話になることに。

とにかく 
だるい…眠い…横になりたい…。

しかし息子は容赦なく

泣く 泣く!
グズる グズる!
ねない ねない!

「もう!イヤになっちゃう!」

と、心の中で叫び続けるひろこ。

「私のお乳は出ているの?」
「微熱なのに…お乳は

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長男誕生②〜産後〜

長男誕生②〜産後〜

出産後
ほどなくして特別個室へ。

下腹の痛みをかんじつつ
ウトウトとお昼寝⋯

バタン!!

個室の扉が勢いよく開くと
そこには満面の笑みを浮かべた
義父が立っていた。

「ひろこ!ようやった!
 跡とり産んでくれたなぁ!
 この勢いであと3人くらいいけ!」

…私はニワトリか!?笑

まぁ、
喜んでくださっていることは
よーく分かった。

せっかくなので
その当時の手帳を見返してみる。

実母

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苦行のはじまり②〜出産前〜

苦行のはじまり②〜出産前〜

出産予定日は9月末。

私のお腹は
風船のように突き出していた。

「五体満足で、健康に生まれてきてね。」

と、毎日お腹をさすりながら出勤した。

くる日もくるも、
脚のむくみも感じながら
台帳の数字とにらめっこ!

苦手だった算数と地理に
今さら苦労する羽目になるなんて…

専業主婦志望だった私が
義父の経営する運送会社へ
強制連行されてから出産までの5ヶ月間。

「箱入れられすぎ」娘は、

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苦行のはじまり編①〜出産前〜

苦行のはじまり編①〜出産前〜

専業主婦になる約束で嫁いだはずの
「箱入れられすぎ」娘だった私。

新婚旅行から帰ってきた翌日より、
義父の営む「運送会社」へ
強制連行されることになった。

そのとき、妊娠5ヶ月…
まぁまぁ身重である。

「専業主婦でいいよ」と
約束してくれた愛しの主人は、
義父から私を守ってはくれなかった。

くる日もくる日も
慣れない台帳とにらめっこをしながら
ソロバンの玉を弾く。

出勤して15日が経った

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新婚編③〜結婚詐欺⁉︎〜

新婚編③〜結婚詐欺⁉︎〜

ボンッと目の前に出された
初めて見る決算書

黒い「▲」が付いていたこと
指で0を数えたら「億の桁」だったこと…

そのとき初めて 
何の苦労もなくサラリーマン家庭で育った
「箱入れられ過ぎ」娘が、
商売の荒波を知りました。

「オマンみたいな役立たずの嫁を
 連れて来やがって
 先が思いやられるわ!」

と、義父が息を引き取る2日前まで
毎日つぶやかれるとは
その当時ひろこは知るよしもなかった。

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新婚編②〜結婚詐欺⁉︎〜

新婚編②〜結婚詐欺⁉︎〜

私は「箱入れられ過ぎ」娘だった。

「義父さん、私…
 電卓しか触ったこと無いんですど⋯」

「かまわへん!
 ワシ(義父)がソロバンしこんだる!」

「ひぇぇぇ〜!
 またまた聞いてないよぉ〜!」

それから毎日、特訓が続いた。

来る日も、来る日も、
足し算、引き算、かけ算、わり算…
事務所で四則計算の玉弾き。

やっとものになってきた1週間後、
目の前に台帳がボンッ!と置かれた。

「1ヶ月

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新婚編① 〜結婚詐欺⁉︎〜

新婚編① 〜結婚詐欺⁉︎〜

新婚編① 〜結婚詐欺!?〜

当時、私は親心が分からなかった。

「なぜ私たちの結婚を、
 ことごとく反対するの?」と…

しかし、
新婚旅行から戻った瞬間に
私はその親心を理解することになる。

「おい!明日からオマエ
 会社にワシと出勤やからな!」

と、義父の声。

「エッ?聞いてないよ!?
 専業主婦でいいよ〜って
 言われていますけど?」

と、私は心の中で呟いた。

だってその頃
主人

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