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『ゴーストブック おばけずかん』感想

映画館でポスターを見かけ、なんとなく気になるなーと思ってみることにしました。神木隆之介くんがついに大人の側に来た、というのも気になったところ。
原作はベストセラーとなっている児童書で、怖いけど面白い、と評判のようです。
それにガッキーも出るので、きっとかわいいだろうな、と思いつつ。
というくらいで、あとは予告で見た以上の情報は入れずに見てみました。

ガッキー演じる葉山瑤子はお祖母ちゃんの家に下宿中。そこからほど近い小学校の産休臨時教員として新たな一歩を踏み出します。
瑤子が担任をすることとなったクラスにいるのが主役の男の子三人組。一樹、太一、サニー。
いつも仲のいい3人組で遊んでいるようですが、彼らはなかなか一筋縄でいかないみたい。問題児というわけではないのですが、物怖じせず相手が誰でもはっきりものを言う太一、おじいちゃんおばあちゃん世代に大人気のサニー、そうして主人公の一樹の3人です。
その3人は学校帰りにとある祠へ向かいます。願いが叶うというその祠で3人は必死に願ったその晩、一樹は不思議な影を見ます。
「願い事を叶えたいか?」
小さなお化けのような白い何者かに聞かれた一樹は、叶えたい、と答えたのです。
目が覚めた彼は変な夢を見た、と思いましたが、彼だけではなく一緒に祠に行った太一、サニーも同じ夢を見たのです。
3人が祠に向かうと、そこには昨日は無かった古本屋が建っていました。
そうっとその中に入る後ろ姿を瑤子が見つけ、後を追い……。

前置きが長くなったけど、そうして3人と瑤子は不思議な冒険に巻き込まれることになったのです。

この古本屋の中がそりゃあもう好みで好みで!!!
古本屋と言うよりも、不思議な本や見たことのないものが集められ、並べられているココデハナイドコカの博物館といった感じ。このお店に行ってみたい。このお店の展示物の図録がほしいです、マジで。
それに外から見た本屋の大きさと中に入ってから感じる広さがまるで違うというところも好き。進んでも進んでも奥につかないし、天井の高さも外から見ていたのとはまるで違う。
この建物の中は時間も空間も外とはまるで違っていて、そういうところに今も憧れる私には彼らが羨ましくてしょうがなかった。

そうしてこの古本屋の店主が、神木隆之介くんです。彼が持っているゴーストブックを男の子たちに渡し……というか、まぁともかく彼らの手に渡り、そして彼らは願いを叶えるためにそのゴーストブックの試練に立ち向かうのです。
が、彼らが具体的に何をしなければならないのか、店主が伝える前に彼らは店を出てしまったため、いろいろと試行錯誤することになります。
まず店を出たら、そこはもう前と似ているけれど違う世界。大人どころか彼ら以外に人はいないけれど、それについての説明はないまんま。
巻き込まれた形となった瑤子ももちろん意味がわからない。
他の人たちの存在が消えてしまったその街で、彼らは一人の女の子に出会います。3人の友達だけど、古本屋には入らなかったはずの湊です。
でも彼女もどうしてここに来たのかわからない。
ともかく、ここにずっといるわけにはいかないので、何とかここを脱出しなくちゃ、と5人は力を合わせてここを出ようと努力するのです。

試練というのが少しばかり子供っぽい……もちろん児童書が元なので当たり前と言えば当たり前なのですが、いまひとつ迫り来るものがあまりないままさらっと試練をこなしていく感じがあったなぁ。一つ一つはそれなりに大変なんだけど、割と狭い世界なんですよね。
閉じ込められた世界での話なので狭い世界なのは当然ですが、たとえば移動の描写を入れるだけでも違うのかな。移動する描写がほとんどないせいか、せっかくの冒険が家の前、家の中、裏山、学校、と徒歩で通う小学生がいつも目にする徒歩十数分の範囲の狭い世界に感じてしまう。
古本屋でどきどきわくわくしたのに、冒険自体がさらっとしてるの。おばけを倒した後の余韻や、次のおばけについてのドキドキ感が足りない。

だけど出てくるおばけは好きでした。もともと妖怪だのなんだのが好きなのもあるけれど、おばけの造作やキャラ設定も良かった。言葉遣いもお化けによってちがっていて。
それにしてもお化けたちみんないい声だなぁ、と思っていたら、スタッフロールでびっくりしました。とんだ有名声優揃いじゃないですか!
私が見て名前知ってるくらいだからそりゃあ有名どころですよ。

そして彼らが最後の試練に立ち向かう前に、いろいろと彼らが語らなかったことが明かされます。
このあたりが大好きでした。初恋のきゅんきゅんするような感じや、小学生ながらも男の友情の熱さや、大人になってこその逡巡や、そういったものが混ぜこぜになって迫ってくるの。元が児童書でこの映画自体も子供向けではありますが、この辺は特に大人でも思うところがいろいろとあるのではと思います。

先が楽しみなのは子役たち。
特に気になったのは太一役を演じた柴崎楓雅くん。気になって調べてしまいました。
他の子たちも、今後どうなっていくのかなぁと楽しみです。

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