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『リバー、流れないでよ』感想

確か4月か5月あたりだったと思います。その日行ったシネコンで今度はなにを観ようかなぁとチラシを見ていたときに気になったのがこの映画。
いつ公開かははっきり書いていなかったのですが、6月に公開された地域と、遅れて7月に期間限定で公開された地域があるのですね。
私の住んでいるところは遅れて公開された地域。せっかく公開されたというのに忙しくてなかなか行けなかったのですが、期間限定で次の木曜日までと知って慌てて観に行きました。水曜あたりに台風が来そうなので、今のうちに。

舞台は京都、貴船の老舗の旅館ふじや。季節は冬。ふじやで働くミコトたちはあるとき強烈な既視感に襲われる。
「さっき、ここ片付けましたよね?」(台詞はうろ覚え)
旅館の番頭と二人で葵の間の片付けをしていたはずのミコトは、気づくと数分前に佇んでいた川縁に立っていた。首をひねりながら旅館へ戻ると、やはり不思議そうな顔をした番頭と顔を合わせ、二人で葵の間へ。既視感がすごいんですけど、と言いつつまたも葵の間を片付け始めるが、気づくとまたさっきの川縁へ。
何かがおかしいと気づいたのはもちろん二人だけではなく、他の従業員も、お客さんもみなどこかがおかしいとパニックになっていく。
どうやら時間はループしているが記憶や感情はそのままらしく、次第に感情を高ぶらせる者、逆に落ち着き受け入れる者、普通の状態なら絶対にしないような行動に出る者、なんとか抜け出せないかと原因究明に動く者など反応は様々。
二分が経ちループして元の時間に戻ると、全員が初期位置に戻るため、何か策を考えようとしてもなかなか進まないし、そもそもなかなか全員が顔を合わせることができない。それでも少しずつ巻き込まれた人たち全員が事態を把握し、少しずついろいろなことが変わっていく。
そんななかミコトは自分の行動がこのループに関係しているのではないか、と考えはじめ……。

二分間、確か11時だか13時だかの26:20頃から28:20頃がずっと繰り返されるのですが、記憶が続いているのでずっと同じことをやるわけじゃないんですよね。なので途中からは、二分間でいったいなにがどこまでできるのか?というのが楽しみになってきました。
どこまで話ができるのか。どこまで説得できるのか。どこまで考えられるのか。どこまで行けるのか。
その二分間の中で、これまでのことやこれからのこと、何を思っているか、何をしようとしているか、誰を想っているか。登場人物たちのいろいろな心の動きや行動が描かれ、世界は少しずつ変わっていきます。まるでそれに呼応するかのように、雪が降り出したり道路も凍結したり、明るく晴れたりと天気さえも変わっていく。
そうして明かされる二分間のループの原因と、その解決法とは。

二分間でリセットされるためか、小さなユニットがどんどん押し寄せてきて息をつく間もなくラストにたどり着いていた感じ。

狭い旅館の裏側を何度も何度も通るためか、撮影はハンディカメラなのかな。
臨場感あふれる映像ですが、正直私は途中で酔いました。
私はあんまり事前情報を入れずに映画を観るのですが、それくらいは調べておけば良かったなぁ。そしたら酔い止めを飲んでから観れたのに。
でも、酔い止めを飲んでから観れば良かったとは思えど、酔いそうだから観なくても良いかとは思わなかったです。だって面白かったから。

二度目に観ると、もちろん最初の驚きはなくなるでしょう。インパクトも当然薄くなる。
でもそのぶん細かなところに目が行くようになり、あ、ここでこういうことやっていたんだとか、ここに伏線があるじゃないとか、そういうことに気づくようになるでしょう。
そうして何度も何度も繰り返し観ても、そのたびに何か新しい驚きや発見がある。
『リバー、流れないでよ』はそんな映画だと思います。

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