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「走りのアピールポイント」について考えてみた 2020/05/29

先日、地元の富山県で発行されているスポーツマガジン誌の取材を受け、その際に受けた質問について考えたことを今回は書いていきたいと思います。

(富山県が誇る新聞社のひとつ、北日本新聞社が発行するスポーツマガジン誌『ティーズシーン』に掲載させて頂きました。大関朝乃山は高校の後輩です。)


毎年ベースボールマガジン社をはじめ、各出版社が発行する箱根駅伝特別号の雑誌に選手プロフィールが掲載されます。

(毎年発行されている大学駅伝の雑誌 ベースボールマガジン社より引用)

(誌内での選手プロフィール ベースボールマガジン社より引用)

ここで、毎年12月に入ると選手プロフィール作成のために各大学の選手それぞれにはアンケート用紙が配られるのですが、その際に書く項目で

んー、どうしよう
なんて書けばいいのだろうか‥

とロダン作『考える人』くらい考え悩める質問がありました。(個人的に)

(オーギュスト・ロダン作『考える人』上野の国立西洋美術館にもあります)


もう10年近く前なので、
今ではその質問はないのかもしれないですが、
その質問の内容はズバリ、
『自分の走りのアピールポイント』
です。

走りのアピールポイントかあ‥
なにか特筆してこれといったところが自分には見当たらない…
なんて書こうか‥

と苦悩している自分がいました。
冒頭で紹介したスポーツマガジン誌の取材においても、この質問に対して自信を持っては答えられなかったと思います。


例えば、
僕が個人的に思う『走りのアピールポイント』がある選手は

上野裕一郎選手(現:立教大学陸上部監督)=スピード
スピードキングとも呼ばれるくらい走りにインパクトがあり、尚且つ度々みせるパフォーマンスがすごい。

(毎日新聞より引用 都道府県駅伝のゴールシーン)

川内優輝選手=スタミナ
不屈の闘志で観る人にもそのガッツが一目でわかる。無尽蔵なのではないかと思えるくらいスタミナがあるイメージ。

(毎日新聞より引用 レース中険しい顔ながらもゴールまで足取りをキープする川内選手)

中本健太郎選手=安定感
どのマラソンレースもきっちり安定して走る、ベテランらしい玄人が好む走りをする選手のイメージ。

(スポニチより引用 どのレースでも勝負所で存在感をみせる中本選手)

こういう選手たちが既にいる中で、
例えば僕がスピードと書いても

え?お前がスピード?笑
そんな選手だっけ?笑

と思われることは間違いないかと思います。
(現にそう言われたことはあります)

人と比較することがそもそもいけないのかもしれないのですが、やはりアピールできるポイントというのは自分の強み的な要素もあるわけで、人と比較した場合にそれなりに秀でてないといけない気がします。

話が少しそれるかもしれないのですが、
よくあるスポーツマンガではそれぞれの登場人物において強烈な必殺技(アピールポイント)があります。
(ただ言いたいだけ)

□キャプテン翼
反動蹴速迅砲
名前でもう勝てる気がしない
こういうアピールポイントがあるとすぐ選手の名前を覚えられそう

(キャプテン翼より引用 相手のシュートを倍にして返す強力な技)

□テニスの王子様
手塚ファントム
相手の打球を全てアウトにする
さすがマンガと思わせる技
錦織選手もびっくり

(テニスの王子様より引用 相手の打球が全てアウトになるチート技)

紹介した必殺技(アピールポイント)はマンガなので、少し誇張しすぎ感は否めないですが、
こういうアピールポイントがあるとすごく武器になると感じています。
やはりなにかしらインパクトまた特徴のある選手は覚えてもらいやすい、しかしその特徴をどう自分で作っていくかは中々難しいと感じています。
(もちろん作っていく努力は必要なのですが)

また自分なりに『走りのアピールポイント』についてもう少し細分化してみたのですが、細分化してみても現在これにすごく該当するといったものはありませんでした(切実に)。

『走りのアピールポイント』の3つの要素

①走りのパフォーマンス
(例)スピードやスタミナ(持久力)、安定感

②走りの戦略
(例)クレバーさ、絶妙なタイミングでスパートができるなどのレース感がある

③走りの見た目、選手そのものの見た目
(例)なにかしらフォームに特徴がある
  外見的な特徴がある

(『走りのアピールポイント』については考えていく中で、パッと見たときの選手の識別のしやすさがひとつのポイントだと思いました)

そんな中、最近読んでいた本
『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』の中に、
『3つのVALUE』といったかたちで選手が高めるべき価値について記述があり、
それを読んでいるときに『走りのアピールポイント』とこれらのことを組み合わせることが大切なのではないかと思いました。

『3つのVALUE』

Player VALUE = 選手としてどれだけ試合の勝利に貢献できるか
→恐らく『走りのアピールポイント』はここに該当するのではないか
 もちろん下の項目に該当するものも含まれるが
概ねこの項目かと思われる

Market VALUE = 市場および社会から求められているか、影響力があるか

Story VALUE =選手が持つ文化的価値のことで、ファン・サポーターに共感を生み出せるか、Market Value を捕足する形で機能する

『高価値なアスリート』
=3つの VALUE を備えた状態

(「アスリートのためのソーシャルメディア活用術」より引用)

(表紙画像 最近SNS上でも話題に)

競技パフォーマンスがあるのはもちろん必須だと思いますが、
その競技パフォーマンスの中だけでは僕のように差別化できない選手も多いのではないでしょうか。
ただ、選手ひとりひとりみれば同じ人間がいないように、選手それぞれには個性があり、強みも違うかと思います。

その強みというのは今書いてきた走りに関してだけではなく、その選手が持つ性格であるとか、趣味嗜好、また生まれた地域なども含まれそうです。


僕は『走りのアピールポイント』を聞かれると、
落ち着いたレース運びと安定感が自分の持ち味だと答えるのですが、正直地味なことこの上ない‥


僕がほかの人だったと仮定したときに、
正直僕のことを覚えたり、認識したりしてもらえるのかなと思ってしまいます。
あとは、その落ち着いたレース運びと安定感がある選手は僕以外にも大勢いるわけで、アピールポイントなのだけど、アピールポイントにはなっていない、そう感じることもあります。

そういう質問をされた際は今後はもう少し気をきかせて、

『地元富山県にある五箇山合掌造りの景観を見たときに訪れる心の静けさのような落ち着いたレース運びと、雪が山頂部にかかりある晴れた春の日に見える雄大な立山連峰のような安定感が自分の走りの持ち味です』

くらい言うべきだなと今になって反省しています。
恐らく同じ落ち着いたレース運びと安定感が持ち味の選手でも、このコメントなり言葉が出てくるのは僕だけかなと思います。
(きっとそんなヤバいやつは他にはいない)

(「世界遺産の五箇山合掌造り」と遠くから眺める「ある晴れた春の日の立山連峰」の写真)

今書いた『走りのアピールポイント』はただ言葉で比喩表現を加えただけなのであまり解決策にはなっていないかと思いますが、少しは自分のことが人に伝わって、自分という選手(人間)を知ってもらえるのではないでしょうか。
先ほど紹介した本とその内容もそのツールのひとつかと思います。

とはいえ、『走りのアピールポイント』すなわち競技パフォーマンスに関する部分を磨いていくことは必須なので、今後僕の走りをみた方が、

あの落ち着いたレース運びは、
まるで五箇山合掌造りに訪れたときに感じるような心が落ち着いたレース運びだ。
あの走り、
雪が山頂部にかかり、ある晴れた春の日に見える雄大な立山連峰のように安定した佇まいをしているわ。

と言われるように今後精進していきたいと思います。
とりあえず、富山県民なのに立山の山頂にはまだ行ったことがないので、
機会を伺いつつも、行くことをこの場でお約束して今回はこの辺りで筆を置きたいと思います。
(タイピングなのに、筆を置くという表現は不思議ですよね)

(映画HPより引用 立山連峰のひとつである劔岳 上級者の登山コースなので、ここには挑戦せず安全な立山山頂に登頂することを目指す)

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