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イ・チャンドン監督「バーニング 劇場版」を観てきた。

昨日映画「バーニング 劇場版」鑑賞しました。
昨年末テレビ版を観てとても気になってたのだけど、映画版、観てよかった。いろいろカットされたテレビ版より数段おもしろいです。

この映画の原作は村上春樹「納屋を焼く」です。これ少々変わっていて、主人公とその彼女の前に「納屋を焼くのが趣味」という謎めいた男が現れて、彼がよい納屋を見つけたと主人公に告げると彼女が失踪してしまう、でもその謎は解決されず、納屋は焼かれず、曖昧なまま終わり、そのモヤモヤした読後感がまた「味」の不思議な小説なんですね。

映画「バーニング 劇場版」は、そんな村上春樹が残した謎の、イ・チャンドン独自の解釈が提示された作品です。ネタバレは本意ではないので細かくは書かないけど、その解釈は大筋「妥当」と感じました。

また映画の映像がきれいで魅せられました。特に夕闇の場面、自然光だけで撮ったみたいだけど、暗いなりにしっかり写っていて驚きでした。NHKの4Kか8Kかそんなカメラで撮ったと思われますがすごい技術。キューブリックがこれ観たら、ろうそくの光だけで撮ったという映画「バリーリンドン」を撮り直したくなるのでは。

この映像の美しさは映画館の大画面で観ると全然違いますすね。加えて音楽も良いです。マイルス・デイビスの曲の場面は大変印象的。またヒロイン演じたチョン・ジョンソ、これが映画デビュー作というのもびっくり。

それから原作でも映画でも米国作家フォークナーの名が出てくるんだけど、ずばり「納屋が燃える」という彼の短編があるんですね。映画の主人公とその父の設定、この短編からのオマージュ感じました。

映画「バーニング 劇場版」、原作や独自の設定などなど、いろいろ深読みできて楽しいかもです。静謐ながら映像的に映画館でみる醍醐味を感じた作品でした。

読んでいただきありがとうございます。ここでは超短編小説、エッセイ、読書感想などいろいろ書いていく予定です。よろしくお願いします。