Photo by tubumaru65 【百科詩典】<短歌・俳句><歌詞・詩><小説など> 8 吉田寛生 @香港🇭🇰でピアノ弾き語り🎹&ドラゴンボート🛶 2024年9月3日 10:42 日常の眺め方が優しくなるのならの50音順短歌・俳句穴自分をたづぬるために孔を掘り、孔ばかりが若し残ったら若山牧水『みなかみ』あなた・君おめでとう わたしはわたしを祝いたい きみと出会えた でかしたわたし仁尾智『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』付録息手をのべてあなたとあなたに触れたきに 息が足りないこの世の息が河野裕子『蝉声』海足のつくことに戸惑うこれまでは溺れるだけの海だったから木下龍也『あなたのための短歌集』エスカレーター唐突にやさしくされると怖いんだ 平らに変わるエスカレーター谷口菜月エレベーターエレベーターが地上におりてチンというさびしいさびしいと衣ずれの音戸田響子『煮汁』老い老害にならないようにするなんてずうずうしいにもほどがあります枡野浩一貝ひっそりと想いを秘めて沈む貝 あなたに響く海鳴りの底茉亜階段迅速に一人子は育ち独りなり階段を傘で叩いて昇る川野里子『太陽の壷』永遠に上りつづける階段のだまし絵のなかの勤め人たち丸山卓也『フイルム』かろうじて上るねむたい階段の半ばに気難しい段がある中沢直人『極圏の光』かき氷かき氷屋の前にだけ人口がある木下龍也髪その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな与謝野晶子キスまぐかつぷかつんとふれてしまつたな、としかいひやうのない口づけだつた小田桐夕『ドッグイヤー』キッチンキッチンへ近づかないで うつくしいものの怖さはもう教へたよ山木礼子『太陽の横』きのこいい人、と姉はきのこの毒の有無みたいに言って写真を見せた葉村直唇くちびるが激しく動くそのひとのこゑではなくて湿りがこはい小田桐夕『ドッグイヤー』閉じたままのピアノも少しずつ狂う 口紅の輪郭整える川口慈子『Heel』コーヒーなにか夢を叶えたらしい友達の缶コーヒーのお金も払う虫竹一俊『羽虫群』魚婚姻色の魚らきほひてさかのぼる 物語のたのしきはそのあたりまで齋藤史『秋天瑠璃』うなぎの顔の尖りつつ泳ぐさびしさだ 嵐のあとを人ら混み合ふ澤村斉美『galley』水中では懺悔も口笛もあぶく やまめのようにきみはふりむく工藤玲音『水中で口笛』木枯らしや目刺しに残る海の色芥川龍之介死こはきもの失せたるときに髪の毛を三つ編みにして死が立つてゐる山田富士郎『商品と夢』霜かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば 夜ぞ更けにける中納言家持『百人一首』6番白春過ぎて夏来にけらし 白妙の衣ほすてふ天の香具山持統天皇『百人一首』2番新年おはようとおめでとうが交差して年の初めはくすぐったいぞ鈴木麦太朗『日時計の軸』新しき年のはじめのめでたさや栗きんとんから栗が見つかる虫竹一俊『羽虫群』砂いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ石川啄木東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる石川啄木スマホそれぞれの秘密を抱えてテーブルに 3つのスマホならべる真昼小川ユキ蝉八月に私は死ぬのか朝夕のわかちもわかぬ蝉の声降る河野裕子『蝉声』青淵にひぐらしの声ふるがごとし声の真下をわが舟は過ぐ佐佐木信綱『椎の木』玉くす玉がひらいたままだおめでとう実にしずかなフロアーである工藤吉生「塔」2014年11月号誕生日おめでとう 誕生こそが死に至る病そのものなのだとしても佐々木あららショートケーキを箸もて食し生誕というささやかなエラーを祝う内山晶太『窓、その他』地下地下道を上り来りて雨のふる薄明の街に時の感じなし土屋文明『山谷集』路上より地下へと潜り込むくるまテールライトが炎をあげつ篠弘『司会者』月氷嚢のような満月 そこならばどんな怒りも鎮まりますかナカムラロボ月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど大江千里(23番) 『古今集』秋上・193清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき与謝野晶子露秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ天智天皇『百人一首』1番手錠剤を乗せないほうの手のひらをいつでも握っていてあげるからミナガワテレビ笑い声の足されたお笑い番組にわたしの笑い声が消される三月とあ銃殺の夢より醒めて足元にリモコン白く転がつてをり濱松哲朗『翅ある人の音楽』トラック豚を乗せ工場へ向かうトラックが法定速度でわが前を行く飯田英範鳥金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に与謝野晶子白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ若山牧水爆心地のタイルの上を歩みゆく裸足の鳩は上滑りして大辻隆弘『つるばみと石垣』あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む柿本人麻呂『百人一首』3番ネクタイおおらかな父の秘密を知った後ネクタイの柄が気になっている鈴木るい年賀状おめでとうという言葉は暴力と思えば年賀状が大好き橋爪志保「短歌研究」肌やは肌のあつき血汐にふれも見で さびしからずや道を説く君与謝野晶子肌着ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる岡野大嗣『サイレンと犀』花火赤き玉とろりとできてこぼさなかつた泪のやうな線香花火梅内美華子『真珠層』星一つ残して落つる花火かな酒井抱一母たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず石川啄木死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる斎藤茂吉『赤光』ピアノ毎日しめきりに追われるような毎日はいつかの僕が夢みた暮らし枡野浩一マンションタワマンの部屋の明かりが消えてゆく ジェンガであれば右に倒れる西田浩之水あるといいけれどめちゃくちゃこわいよね飲むとよく眠れる水道水伊舎堂仁『トントングラム』紅葉奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋は哀しき猿丸大夫『百人一首』5番山大空を牽きてザイルのくれなゐの色鮮やかに懸垂下降本多稜『蒼の重力』UFO未確認飛行物体次々に雲間から降る春となりゆく谷岡亜紀『ひどいどしゃぶり』雪いくたびも 雪の深さを 尋ねけり正岡子規田子の浦に打出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ山部赤人『百人一首』4番夜ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。 ハロー カップヌードルの海老たち。穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』歌詞・詩雨雨は斜めの点線 ぼくたちの未来を切り取っていた 窓の板ガラスへと "自由"って言葉を書いては消した 松本隆『いつか晴れた日に』紙真っ白な気持ちは書いた分だけ黒くなる白紙の海泳ぐ黒い線にいつか 真っ赤な花が咲くその日まで~尾崎世界観『破花』言葉一生に一度、花のひらくようなよい言葉が語りたいという願いを持たなくてはならないかなしき人々のひとりなのでありました。立原道造黄昏たそがれは風を止めて ちぎれた雲はまた ひとつになる〜小田和正『秋の気配』手キミがぼくのだいたいを知って 魔法は少しずつ現実へ それでもふたり手を握って 重ね合わせる運命線~斉藤和義『いたいけな秋』母はじめての子を持ったとき 女のくちびるから ひとりでに洩れだす歌は この世でいちばん優しい歌だ~新川和江『歌』昼寝海からあがる潮風 絵葉書で見た晴空うたたねのために数えるのは 羊ではなく思い出~槇原敬之『うたたね』未来輝かしい未来は胸の中で咲く花のよう そこで揺れたものは魂のゆくえと呼ばないかくるり『魂のゆくえ』虫土蟻が蝶の羽をひいて行くああヨットのやうだ三好達治小説など川私は川がある街というものに自分がどれだけなじみやすいのかを知った。そして、カフェにすわって人々を見ていることは、川の流れを見ているのと全く同じだということを知った。それは、歴史のある都市でなくてはならない。古く重く恐ろしい色や形をした建物の前を、現代の人々が流れていく、その様子こそが川なのだ。そして、私は知った。川の恐ろしさは、時の流れのはかりしれなさ、おそろしさそのものなのだと。よしもとばなな『あったかくなんかない』木それから海岸沿いにたくさん生えているガジュマルの神聖な姿。ただ生えているだけなのに、まるで巨大な彫刻のように美しく見えた。複雑にからまり合った枝の下で憩えばまるで充電されるように、抱かれているように落ち着いた。並んでいるとまるでいろいろな精霊が語り合っているような雰囲気があった。〜よしもとばなな『海のふた』厳しい本物の冬が再び腰を据えようとしていた。ケヤキの枝先が、警告を与える古老の指のようにひからびた音を立てて震えた。〜村上春樹車マンションの地下の駐車場から車を出したとき、三月の冷ややかな雨はまだ音もなく降り続いていた。プジョーのワイパーは老人のかすれた咳のような音を立てていた。〜村上春樹『騎士団長殺し』12月空からゆっくり降ってくるのは、今年を締めくくる優しい光。走り抜けながら、味わう暇もなく包まれるのがいい。吉本ばなな『BANANA DIARY』誰かが言いました肉まんすごく寒い時は自分が肉まんの具になっていると想像するの。 ダウンロード copy #詩 #短歌 #歌詞 #百科詩典 8