マネジメント観点でのオンラインコミュニケーションについて

大変な状況の中、今いるLINE社も在宅勤務推奨になっており、3月の後半ぐらいから自宅に引きこもって仕事してます。
プロダクトマネージャーとしてプロダクトをマネジメントする立場でも、組織をマネジメントする立場としても、全てのコミュニケーションをオンラインで行う必要があるわけですが、オンラインならではノウハウがあるなと思います。

この記事では、マネージャーの立場として、私がオンラインでのコミュニケーションで気をつけていることを書いてみたいと思います。

ポリシーを明文化して共有する

"気をつけていること"となると、How-to的なTipsを書きたくなるのですが、ポリシーなくHow-toだけ実行しても効果が薄くなってしまいますし、時には誤解を招くことすらあるように思います。

プロダクトマネジメントでも、組織マネジメントでも、そのチームをマネジメントする上で根底にある哲学、つまり、どういうマインドセットを持っているのかを明文化してチームと共有すること、これが一番大事だと考えています。

私のマネジメントに対する哲学的なものは、こちらの記事に詳しく書いておりますが、抜粋すると3つのポリシーを持っています。
a) あらゆる立場の人へのリスペクト
b) 透明性
c) ユーザーファースト

なぜ、ポリシーを大事にするのか。それはオンラインでのコミュニケーションの場合、チャットであれビデオ会議であれ、実際に対面で会うよりも、伝えられる情報量がどうしても少なくなってしまうからです。

対面でのコミュニケーションは、言葉で伝わる情報以外にもちょっとした表情であったり、空気感であったり、言葉以外にも多くの情報を含めることができます。情報が多いと、多少の誤解があってもその都度、軌道修正することができます。

しかし、伝えられる情報が少なくなってしまうオンラインコミュニケーションでは、細い軌道修正が難しいため、初期の段階で根本的な考えを明文化し、How-toの"Why"にあたる哲学を共有することがより一層大事になってくると思っています。

そのポリシーが共有された前提で、どうオンラインコミュニケーションをスムーズにするか、私が意識しているHow-toを書いてみます。

可能な限り早レス、できれば即レス

メンバーからの相談であったり、上司から何か飛んできたり、ちょっとした質問であったり、特に自分にToで送られてきたメール、メンションはなるべく早くレスします。

当たり前の話しとして、マネージャーやリーダーが誰かの仕事を止めちゃだめ、という理由ももちろんあります。それ以前に、早いコミュニケーションはシンプルに気持ちいいですよね。

それが誰から来たとか、どんな内容かとかは特に気にせず、すべての問いかけに対して基本的にすぐ返信する事を心がけます。もちろん、答えに迷う投げかけも多々ありますが、わからなければわからないと伝えますし、多分こうかな?と思ったらとりあえずその内容を返します。

素早い"わからない"の返答は、時間をかけたいまいちな回答よりもはるかに良いと思います。(ユーザー対応における、"不満への早い対応は、結果的に満足へと転換する可能性を生む"、と同じですね)

そして、早レス/即レスを普段から実践していくと、オンラインコミュニケーションでありがちな、プレゼンスがわからないことで相手をもやもやさせることが減らせます。どういうことかというと、"いつもはすぐに返事が返ってくるから、返事がないということは何か理由があるんだな"、と思ってくれるようになり、結果的に顔が見えなくてもプレゼンスを伝えられようになります。

また、早レス/即レスを続けていくと、コミュニケーションコストが低い人と認識され、ちょっとした相談や、FYI的な情報も伝えてもらえるようになります。そうなると、フォーマルではない情報やアイデアも流れてくるようになり、いろんなリスク、ネガティブな状況にもいち早く気づけるようになります。これは、マネジメントにとってとても重要な要素だと思います。

表情を文字にして伝える

大昔から言われていますが、文字でのコミュニケーションの場合、必要な情報だけを書くととても冷たい印象を与えます。特に、社内でのコミュニケーションで冷たい印象を与えて良いことは一つもありません。逆に、マネージャーやリーダーであれば、オンラインでも話しやすい雰囲気を作るために、わざとくだけるぐらいがちょうど良いと思います。

例えば、 "おはようございます" と書くよりも、 "おはようございます!" だったり "おはようございますー" 。これは初めの第一歩ですw
その他、分からないことを伝える場合でも単に "わかりませんでした" と書くよりも、"うーん、すみません、ちょっとわかりませんでした。。。" と書いてみたり。

ー(のばし) !(びっくり) 。(まる)、なで感情を柔らかく文字にするようにします。英語スタイルの顔文字、:) や :D なども控えめに表情を伝えやすいのでよく使います。
LINEの場合、社内でのコミュニケーションでは、LINEアプリを使う場合も多いですが、スタンプもよく使います。Slackであれば、絵文字を使うことも多いです。(使いすぎると逆効果ですが)

事実を伝える時は徹底的に情報量を少なくしてシンプルに伝えることが大原則ですが、意見を言ったり議論をする場合は、多少冗長でも書いている時の感情が伝わるようにし、変に気を使わせたり、ネガティブな印象に誤解されないように気をつけます。

1つ前の早レス/即レスと同じく、これも実践していくと、オンラインでも話かけやすい雰囲気を作り、結果的に色々な状況に早く気づくことがでくるようになります。

コミュニケーションチャネルを使い分ける

3つ目は、コミュニケーションチャネルを使い分ける、です。
使い分ける観点は、2つあります。

一つは、非同期(チャット)、同期(電話/ビデオ通話)です。

信頼関係が強ければ、多少センシティブなやりとりでも非同期コミュニケーションで完結することができます。非同期コミュニケーションで済むのであれば、お互いの時間を拘束する必要がなくなり効率的です。
しかし、まだ信頼関係があまり強くなかったり、かなりセンシティブな情報であれば、同期コミュニケーション、しかもできれば相手の表情が見えるビデオ通話で伝えます。

言い換えると、伝えた後のリアクションが想定できないような場合は同期コミュニケーションで、伝えた後の感情が確実にわかる場合は非同期コミュニケーションで十分だと思います。

もう一つは、扱う情報に応じたツールです。

今の業務でも、文字でのやりとりは、LINE、Slack、メールなど多岐に渡ります(仕事のやりとりでもLINEをよく使います)が、それぞれのツールで向き不向きがあるなと思います。

LINEであればちょっとした情報共有であったり、カジュアルな相談をスピード感を持ってやりとりするのに向いています。リアルな職場でのやりとりで言えば、席の周辺での軽いディスカッションや雑談をするのと同じような使い方です。

Slackは、結論を出したい議論に向いています。スレッドで話題が流れないですし、過去ログも残ります。また例えば、リアクションで"意見の強さ"を図って、それを元にすぐに意思決定することもできます。リアルな場であれば、会議での議論と同じようなシーンで使います。

メールは、フォーマルな情報伝達や依頼事項ですね。全体会などで周知するのと同じイメージです。出番はあまり多くありませんが、ここぞという場面ではまだまだ必要です。

まとめると、相手と、期待する会話の"固さ"に応じてチャネルを使い分けるということになります。LINE/Slack/メールの使い分けは、今の部署における一例ですが、どのような場合でもチャネルを意識することは効果的だと思います。

ちなみに、同じポリシーでコミュニケーションチャネルを使い分けると、伝えたチャネルによって、言葉の裏にある意図も伝えられるようになります。例えば、LINEでメッセージが来たからカジュアルでクイックなやりとりを期待されているのだな、など受け取り手が想像してくれるようになります。そうすると徐々に"あうんの呼吸"に近づいていきます。

オンラインの会話からチームのコンディションを測る

これは副産物的な効果ですが、最後に記載したチャネルを意識したコミュニケーションをしていると、オンラインの会話のログを見るだけで、チームのコンディションがなんとなくわかるようになります。

良いチームは、得てして、雑談と議論と共有が、程よいバランスで流れています。最適解はその時のプロジェクトの状況にもよりますが、感覚的には、雑談が20%、議論が50%~60%、共有が20%~30%ぐらいでしょうか。

一方、バランスが悪いと何か課題がある可能性が高いです。もし雑談の量が少なければチームの信頼関係がまだ薄いでしょうし、議論が少なければ、方向性が定まっておらず議論に至らないことが想像できます。また共有が少なければ、組織の透明性が低い状態にあるかもしれません。

目に見える範囲にチームがいるときに、会話の雰囲気や表情をみて、なんとなく上手くいってるかいっていないのかを測るのと同じですね。会話のログを見ていると、チームの雰囲気がオンラインでもわかるようになります。

多くのプロジェクトや人数の多い組織をマネジメントする上で、解決すべき課題を発見することは、とても難しくとてもお大事です。その1つの方法として、会話のバランスを見ることは仮説を立てる有効なアプローチになりえるかなと思います。


以上、オンラインのコミュニケーションで日頃から意識している事を書いてみました。私のマネジメントスタイルに依存するHow-toのため、あまり汎用性はないかもしれません。また、色々書いておきながら何ですが、意識はしていても、まだまだ満足にできていないことも多いですが、少しでも参考になれば幸いです。


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