見出し画像

令和のぼくたちのストリートスナップ

FUJIFILM X100Vのプロモーションによる写真家 鈴木達朗氏のストリートスナップ撮影風景の動画が大炎上してしまった件について。

僕はストリートスナップを主に撮影はしていませんが、写真に身を捧げている身として、自分なりにも考えてみました。

アレは“盗撮”だ!でも犯罪ではない?!
肖像権・プライバシー権の侵害について
撮影における道路使用許可や許諾がいるいらない

これらは各所で展開されているので、ここでは広げません。
そもそも、上記についてはずっと昔からストリートスナップとは切に切れないことだし。問題についても多くの判例もある。

結局のところ、撮影者(責任者)と被害者との民事間で解決でしかない。

でも、なぜ今回はこうも顕著になったのか。
これからはどうすべきなのかなど考えたい。

根本的に大きな要因は“今の時代”つまり「情報化革命が起きた社会」というのがネックで、実は10年20年生きているだけだと気付きにくいのだけど、僕らはとてつもなく凄い時代に生きています。

何が凄いかと言うと、社会が変わる間を我々は生きているってこと。なうだよ!!
約20年前ぐらいに情報化革命が起きたことによって、社会が変わった・変わっていて(現在進行中)、この変革の時期にいるわけです。

これまで、人類は農業革命産業革命という大きな2つ波を経てきています。
それぞれを細々と説明するととてつもない量になるので、ばっさりとまとめます。

今日、明日生きられるかを心配して食糧を採っていた狩猟時代。
やがて畑や水田技術など技術を産まれたことにより、食べることの心配が無くなった。これが農業革命です。そして、土地や誰の穀物なのかなど争いごとを無くすために、封建社会が生まれました。

そして、やがて機械や輸送など工業の開発発展し、つまり科学というものが世に現れました。それにより会社や雇用、いわるゆる経済が確立されていきました。結果的に、社会は民主主義と経済主義になっていきます。

政治は選挙という投票制、モノから円やドルといったお金の単位に換算する定量化によって資本経済社会が長年続きまます。

それから時が流れ...まさに2000年時代あたりから、今度はインターネットというものが広がっていきました。これにより、資本経済が徐々に崩れ始めました。そう、このネットの誕生こそが3つめの波。情報化革命です。

インターネット、SNSで新たな世界が構築されました。これにより今度は評価経済へと移行しています。これにより社会の印象や状況が変化していきました。

簡単に言うと、ひと昔前まではお店や製品、アーティストの評価基準が「今最も売れている」とか「年収や視聴率」といった、売上に直結するような数字でしたが、今は「ネットでも最も見られている」「いいね数が何十万」といった、個々のフォロワーの規模の数字になってきました。

1000万円持っているより10万人のフォロワーを持っている方が驚異といえる時代です。これでなんとなく今の時代が分かったと思います。
資本経済社会が評価経済社会へと移行しはじめました。(お金がいらなくなるよってことではない)

冒頭でも言っていました、この革命の時代に生きているって凄くて面白いですよね!!
移行フェーズをずらして言ったら、狩猟時代から農業時代に変わるときにいるみたいなことですよ?!

さぁさぁ...話がだいぶ長くなってきましたが....。
いよいよ繋がってきます。

評価経済ということで、フォロワー(ファン)がどのくらいいるのか。どれくらい評価されているのかというのが今日おいて非常に重要です。

自分でも製品でもお店に行く時でもレビュー数が多くて、評価スコアも高いかどうかを見て決めることが多くないですか?
高いからいい商品、売れているからいい商品という判断基準だけじゃやっていけない。

ネットが生まれて、評価つまりレビューなどが具体的に見れる、表せることが可能になったことにより、当然我々自身への評価も無視できない時代になってきました。

公開するコンテンツがネットで多くの人によって認識、判断/評価されます。
そして、良くも悪くもその評価も同様に多くの人の目に触れます。

さて、今回の動画もネットを通じて拡散されました。
そして反響はFUJIFILMの想いと異なる多くの不評が寄せられてしまいました。

写真自体は悪くなく、とても興味深い写真と思っております。ただ、その撮影法の公開が今日の時代において失敗となってしまいました。

今回のプロモーションは新機種で撮影した写真とインタビューだけであったらこうはならなかったでしょう。

世の中、知ってほしくない。見せる必要がないものというのは遥か昔からあります。仕事でもプライベートでもそうです。

例えばマジックで隣の観客がマジシャンとグルだったり、レストランで料理はとても美味しいけどその厨房は汚くて衛生面に難があったりと。
ダメなことですが、世の中そういうのが蔓延しているのが常です。

バレたらもうダメなんです。
※バレなきゃ何したっていいということじゃないからね!

マジックのネタ披露や料理だったらレシピや調理法といったものが、ネットでは多く展開されていますがそれとは違います。

今回のFUJIFILM動画で鈴木氏の撮影法は上記の例えでいうネタ披露、レシピ公開ではなかったのです。
“ネタがバレた。レシピが漏れた。”という印象です。

鈴木氏の撮影はネットが普及していていない昔からずっと続けてきたものでしょう。リスクを抱えての撮影。トラブルも何回かあったはずです。しかし、それを経て確固たる作品が生まれていたわけです。受賞するほど優秀な写真です。ただ、それよりはるかに撮影法がしかもマイナス面で拡散してしまったのです。

技術進歩と情報化革命において。当事者間でない人がコンテンツに容易にアクセス、干渉することができるようになりました。
ネットにおいてもう一つの特性として、匿名で意見することもできます。
これにより、指摘や批判をはじめ誹謗中傷と過度な反応も多くなったと思います。

今回の動画はもしかしたら通行人はエキストラだったかもしれません。
撮影後にすぐに声をかけて許諾を得ていたかもしれません。

でも、削除して弁明が無かったということで悪いところは悪いというのが露呈しまいました。謝罪するしかないのです。
さらに鈴木氏は今後、同様な撮影・写真で世に出ることは厳しいかもしれません。

ストリートスナップを撮影するにはこれからどうすべきなのか。
特に人を自由に撮ることは是か否か。
許可を経てストリートスナップ“風”に撮ればいいのか?でも、それはストリートスナップと言えるのだろうか。

僕の見解は結局のところ、昔と変えずにというか変わらないのではないでしょうか。好きなように撮ることが本来、写真の醍醐味なはずです。
先も言いましたが、迷惑かけてとか不快にさせたり何しても良いということではないです。

ただ、ネットが普及したのでより細心の注意を払わなければいけないというのが事実です。
自身が意図している、または所持しているコンテンツを披露する時に限ったことではない。もしかしたら撮影中、第三者がその様子をネットで公開するかもしれない。

そんなことにもアンテナを張り巡らして、原則ネタがバレないようにしないといけません。

とはいえ、コンプライアンスと言われて肩身が狭い世の中を意識しすぎて、萎縮した撮影と写真になるのも寂しいと感じてしまいます。

勿論ケアとか配慮は必要なんですが、何か超えた先というのをどこか期待しちゃいます。
そんな令和の社会特性を受け入れつつ自由に撮って楽しみたいですね。

長文に目を通してくれてありがとうございます。
それではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?