なぜDX(デジタルトランスフォーメーション)のなかで経理DXが重要か?
DXレポートのなかで「データ活用等を通じて、スピーディな方針転換やグローバル展開への対応を可能に」とあります。では、DXを効果的に実現するためのデータ活用はどのように進めれば良いのか?なぜ、経理DXがそのなかで大事であるか?について書いてみます。
データの中でも重要度が高い経理データ
企業の状態を把握するのに、「経営指標」と言われているものがあります。本や人によっても指標が多少異なるのですが、一般的なものを載せてみます。
「経営指標」一覧
■収益性の指標
1. 総資産利益率(ROA)Return on assets
2. 資本(自己資本)利益率(ROE)Return on Equity
3. 投下資本利益率(ROI)Return on investment
4. 売上高売上総利益率 Gross income on sales、Gross profit rate
5. 売上高営業利益率 Operating Profit Ratio
6. 売上高経常利益率 ordinary profit ratio / current profit ratio / recurring profit ratio Return on Equity
■安全性の指標
7. 流動比率 Current Ratio
8. 当座比率 Quick assets ratio
9. 固定比率 Fixed ratio
10. 固定長期適合率 fixed long term conformity rate
11. 株主資本比率 Capital ratio, Equity ratio
12. 負債比率 Debt Equity Ratio
■資本効率性の指標
13. 総資本回転率 Total asset turnover
■成長性・その他の指標
14. 配当性向 Payout Ratio
15. 株価純資産倍率(PBR) Price Book-value Ratio
16. 株価収益率(PER)Price Earnings Ratio
17. 1株当たり純資産(BPS)Book-value per Share
18. 1株当たり純利益(EPS)Earnings per Share
この経営指標をみて頂いても、経理・会計に関するものがいかに多いかが理解できます。
データ活用して成果がでていない企業が33%
経理・会計に非常に多くのデータがあることが理解できると思いますが、もちろん、これ以外にもデータはある。
顧客情報、経理データ、業務日誌データ、POSデータ、eコマースにおける販売データ、電子メール、CTI音声データ、固定・携帯電話、アクセスログ、動画・映像視聴ログ、Blog/SNS等記事データ、GPSデータ、RFIDデータ、センサーデータ、交通量・渋滞情報データ、気象データ、防犯・遠隔監視カメラデータ、電子カルテデータ、画像診断データ、電子レセプトデータ
上記が総務省のまとめであげられている。
ガートナー ジャパンによると、半数以上の企業がデータを利活用しているものの、データを活用してビジネスの成果を十分に得ている企業は全体の1/3のだそうです。
経理を含めて、何らかのデータを蓄積している企業は多いです。
しかし、
- データ蓄積:分析できる状態で蓄積されてか?分析したいデータは蓄積されているか?
- データ分析:データする手法、能力があるか?分析した結果から結論が導きだせるか?
- 分析結果活用:結論から新しい討手を考えられるか?そしてその討手を実行できるか?成果はでるのか?
これらの箇所でつまづいています。
データの蓄積:具体的な分析・活動ができる粒度まで細かく
顧客全体の平均値や合計は個別の顧客を理解するのにあまり意味がありません。個別の顧客を理解するには、個別の顧客に関するデータをあつめる必要があります。
経理においても、この顧客がいつ購入しているのか?どんな周期でつぎの購買行動を起こしているのか?このあたりを把握するだけでも価値のあるデータになります。
SoR、SoEという言葉があります。
SoR: System of Records つまり「記録のためのシステム」
SoE: System of Engagement つまり「(顧客)接点のためのシステム」
経理・会計は従来はSoRの色合いが強かったです。ただ、CRM(顧客管理)等のSoEと組み合わせることで記録されたデータを活かすことができます。
SoRの上位概念としてSoEがあるのではなく、2つのITシステム設計概念は、互いサポートし合っている、というのが正しい解釈です。
データが分析可能な状態で蓄積されていないとそのあとの分析・討手・実施等は実現できません。
顧客・取引先そして社内の活動も管理会計で把握することができます。何を把握し、どのようにデータを蓄積し、どのように分析するか?をしっかり考える必要がありますが、多くのデータは経理・会計にあることから、経理DXがとても大事であることが理解できたと思います。
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