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ビジョンでメシが食えるのか?ツクルバで実践する組織戦略を元にリンモチ麻野さんとディスカッションしてみた

まえがき

あえてちょっと煽り気味なタイトルにしてみましたが、要は「ミッション・ビジョン的なものってベンチャーやるのに必要なんでしょうか?」みたいな質問に対して考えてみました。
赤川さんのnoteほどボリュームなくてすいません・・・)

多分この質問が出る背景って「売上ないけど言うことが立派でメディア受けが良い企業」へのちょっぴり揶揄が含まれていたり、「壮大な志が無いとベンチャーやっちゃいけないの?意識たk(ry」といったふとした疑問からきていると思います。確かに、ベンチャーって売上無いとすぐ死ぬし説得力も無いから、チカラなきベンチャーのカタチだけミッションビジョンに価値はないとは思います。その前提で、前人未到の大きい課題に立ち向かい、長期で進化し続けるベンチャーをつくるために、どうしてミッション・ビジョンは必要になるのかを先輩であり友人であるリンモチの麻野さんとディスカッションしてみました。大変勉強になったので麻野さんの許可を得てメモを公開します。(メモなんで乱文ご容赦ください)

前提として

ツクルバでは組織・文化づくりに社をあげて徹底的に投資していく方針です。組織・文化づくりへの投資は長期で複利のリターンがあると思っていて、短期では成果が見えづらく軽視されがちですが、不可逆性があり後から良い感じにしようと思っても相当難易度が高いと思っています。

麻野さんとは?

リンクアンドモチベーション取締役/Vorkers取締役副社長。
もし読んでる方がベンチャー企業や近い業界で働いているとしたら、SNSなどで少なくとも一度は麻野さんの記事か写真を見たことはあるのではないでしょうか。それくらい人事・組織戦略の領域においては存在感ある人です。

***以下麻野さんとのディスカッションメモ***

そもそもこういう(経営陣は社員をどう扱うか的な)話を公開することをどう思うか?

自社の社員のリテラシーをどう思うか、経営のポリシーによるのでは
言葉を選ばず言えば、社員をバカとして扱うか、仲間として捉えるか
情報を出すと変に歪曲して理解される可能性もあるため、リスクはあるが
社員を仲間として捉えるのであれば公開してもいいのでは

組織戦略が優れている企業とは?

端的に言うと1つ、事業戦略と高度にリンクしているということ
組織戦略で最も大事なことは事業戦略とリンクしてつくること
組織戦略と事業戦略をブリッジするのは理念 メルカリでいうと3つのバリュー

ティール組織は是か非か?OKRは是か非か?という議論は意味がない
組織は絶対解ではなく最適解なので色んな解がある
組織は戦略に従う(チャンドラー)→メルカリタイプ
戦略は組織に従う(アンゾフ)→サイバーエージェントタイプ
戦略と組織は相互作用があるので有機的である

多くの組織でなんとなく社長の経験を理念にしがち
組織戦略、事業戦略、社長のキャラがリンクすると最高だが
必ずしも社長起源である必要はない
メルカリはCtoCのマーケットプレイス事業にリンクしたバリューを定義した

メルカリ経営陣は、理念が浸透したら業績が上がる、と思っている
だいたい理念を後回しにしがちなのは、そこがリンクしていない
業績に余裕ができたら理念をつくると形骸化するケースが多い

人材を惹きつける要素の4P

企業は人材から選ばれないといけない
人と惹きつける要素には4つのPがある
・フィロソフィー(理念)
・プロフェッション(仕事内容、成長できるか)
・ピープル(人・文化)
・プリビレッジ(給与評価)

良い会社はどこで引きつけるかハッキリしている
フィロソフィー ディズニー、ZOZO
プロフェッション マッキンゼー、DeNA
ピープル リクルート、サイバーエージェント

それぞれのPを選ぶデメリットもある
プロフェッション 仕事に飽きたら辞める
ピープル コミュニケーションコストかかる
フィロソフィー 事業展開、変更に制限がかかる
プリビレッジ 人が定着しない

スタートアップは色んな人種が集まるので、自社のスタンスを明快にする必要がある
どれを選んでも一長一短があるので、創業者や経営陣の意思が重要

注目する組織と事業の相互作用がうまくいっている企業は?

メルカリ 上記の通り
ユーザベース 理念でやらない事業の観点を4つ決めてる 事業展開の足枷にならないが立ち帰れる場所をつくる
ラクスル 経営トップ依存症 長期視点欠乏症 マネジメント不全症 といった組織課題を解決し、強い組織をつくっている

「成長は全てを癒す」は本当か

業績は事業×組織でうまれる

事業が強ければ組織はカバーされる(問題を無視できる)ことはある
ただし本当に圧倒的に強い場合に限る
現実には組織が弱い状態でも、そこまで圧倒的に伸び続ける事業を生み出せる企業は稀
両方ともあった方が強く長く繁栄する

日本企業は人事の考え方を変えていく必要がある

製造業、ハードビジネスは工場や設備が重要
HRは「員数管理」が中心
1人当たりのパフォーマンスにはそこまで大きな差がつかないから
人事の仕事は採用と労務管理がメイン

サービス業、ソフトビジネスは人材がより重要
HRは「員数管理」だけでない
1人当たりのパフォーマンスはかつては考えられないくらい大きな差がつく
人事の仕事は社員の「共感創造」や現場の「体験設計」も含まれる

そういう役割を持った人事が少ない
わかってる会社は人事部の名前が違う
ユーザベース カルチャーチーム
メルカリ ピープル&カルチャーチーム

グローバルで見ると当たり前のようにこういった人事が活躍している

***以上メモ***

あとがき

経営って大分科学されており経営にセンスはいらないし転ばぬ先の杖はいっぱい既にありますが、時代性やテクノロジーの進化でやれることが増えてどんどん複雑・高度化している印象を受けます。センスはいらないけど知性ないと経営できない。定期的に自分自身の理解をアップデートしていきたいなと改めて思いました。

おまけ

ツクルバでは早期にフィロソフィーを策定しました。ツクルバのミッションは、「場の発明」を通じて欲しい未来をつくること。

そしてツクルバに集う人たちの行動指針(クレド)を定めました。
どこかでまたアップデートすると思いますが。

ご参考までに。

[最後に告知]
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