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QRコード決済プラットフォームビジネスの競争戦略 ~PayPay~

QRコード決済はいくつかありますが、現在のところ最も普及しているのはPayPay(ペイペイ)ではないでしょうか?まずはPayPayについて紹介したいと思います。

PayPayとは

PayPayとは、QRコード・バーコードで支払うスマホアプリ、モバイル決済サービスのことです。ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合弁企業、PayPay株式会社が運営しています。インド最大の決済サービス企業、Paytm(ペイティーエム)と提携して、QRコード・バーコード決済システムを構築しています。

お約束ですが、QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

支払い方法

PayPayの場合は一般的なQRコード決済サービスと同様の支払い方法になります。

1.スマートフォンにQRコードを出し、店舗がQRコードを読み取る
2.店舗QRコードをスマートフォンで読み取り、自分で金額を記入する

店舗側も従来のクレジットカードやSuicaやPASMOと言った非接触ICカード決済の場合に必要だった読み取り機を用意する必要はありません。店舗専用のQRコードをレジ前に置いて、消費者に読み取ってもらい、決済画面を見せてもらうだけです。

手数料

1と2のどちらの決済方法でもPayPayでの支払いにかかる消費者側の手数料はすべて無料です。消費者はキャンペーンに関係なく0.5%のキャッシュバックが常に発生します。クレジットカードの場合は多くの場合0.1%なので、それよりも良い返金率と言えます。現在のところ、加入にかかる手数料や年会費も必要はありません。

加盟店側も導入費用も設置負担もなし、決済手数料は2021年9月30日までは無料です。ヤフーの子会社、ジャパンネット銀行への入金手数料は無料、翌日入金、その他の銀行への入金も2019年9月30日までは無料、翌々日入金です。

Alipayとの協業

訪日中国人向けにAlipayにも対応しています。Alipayはソフトバンクが出資しているアリババグループが運営している世界最大のモバイル決算サービスです。中国では、このAlipayかWeChatPayがあればほぼどこでも買い物が可能です。

深圳で雨が降ってきたときに現れる行商人から傘を購入したことがあるのですが、そのときは同行していた中国人の同僚がAlipayで傘を購入していました。行商人はQRコードを持っているだけで、現金のやり取りも発生しないので、非常にシンプルでスマートに傘を購入することができました。傘は25元のぼったくり価格で、雨がすぐに染み込んでくる白物でしたが…。深圳のタクシーは初乗りが10元ほどなので、タクシー乗って目的地に行った方が安かったほどです。

それくらいにAlipayは中国で浸透しているので、訪日中国人客からのインバウンド需要を狙うことも可能なサービスと言えます。

100億円あげちゃうキャンペーン

PayPayを有名にしたのは、2018年末に行った100億円キャッシュバックキャンペーンと言っても過言ではないでしょう。このキャンペーンで一気に利用者数でシェア1位に踊り出たほどです。

利用金額の20%、月上限25万円のうち5万円までがキャッシュバックされました。10~40回に1回は全額キャッシュバックされたことで、ギャンブル性に拍車がかかり、10日ほどでキャンペーンは終了となりました。490万人ほどがキャンペーン中にPayPayアプリをインストールしていることから、その効果が驚異的だったことがわかります。

現在は第二弾として、利用金額の20%還元は変わらずですが、1回の返金額が1000円までとなっています。20%の還元を受けるためには銀行口座を登録して、PayPayに入金し、そのPayPay口座から支払う必要もあります。

利用店舗

多くの家電量販店、ファミリーマート、居酒屋チェーン、ドラッグストアなどで利用することが可能となっています。

店舗拡大の施策

利用できる店舗拡大も重要な点です。店舗拡大のために上記のような大手小売店飲食店への営業活動もさることながら、商店街組合などへの営業活動も行っています。

導入した店舗にインタビューしたところ、その店舗では組合からではなく、PayPayの営業マンが直接店舗を訪れて営業活動を行って導入を決めたそうです。近所の店舗で話して一緒に導入を決めたとも言っていたので、商店街の中で一緒に営業活動を行う効果があるようです。

消費者側に利用店舗拡大のためのアプローチを行っているのも特徴的です。アプリを開くと「PayPay使いたいお店リクエスト募集中」というアイコンが出てきます。そこから近くのお店を選択できるようになっていて、リクエストを送れるようになっています。消費者からリクエストがあったというように営業されると、店舗側も導入しやすいし、せざるを得ない場合も出てくるかもしれません。

店舗側へのキャッシュバックキャンペーンも行われています。3月末までですが、オンラインフォームから導入することで15000円が1屋号毎にキャッシュバックされるキャンペーンが行われています。

まとめ

ソフトバンク系列のQRコード決済PayPayについて紹介しました。PayPayはQRコード決済としても後発ですが、巨額なキャッシュバックキャンペーンで一気に利用シェアを伸ばしました。

消費者側だけではなく、店舗側への積極的な営業、キャッシュバックで店舗網も拡充させています。

加盟店舗拡大施策の充実は、ヤフーBBでADSLのモデムを配ったり、ボードフォン買収後に端末キャッシュバックでソフトバンクモバイルのシェアを拡大した経験を持っているソフトバンクならではないでしょうか。

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