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第1期Policy Design Schoolを終えて

2021年12月18日にDay10を迎え、ポリシーデザインスクールの第1期が終了しました。Day10では、これまで経済産業省の行政官と民間企業の有志による4つの混成チームが、これまで半年間隔週で練ってきた政策プロトタイプの発表を行いました。また、午後は有識者と事務局メンバーによるパネルディスカッションと交流会を行いました。

自分の内発的な動機から問いを立て、未来からバックキャストして、ユーザー視点でそのはじめの1歩となる政策立案をしようというのが本プログラムのコンセプトでした。経産省のデザインスクール修了生による団体Studio Policy Designメンバーと、多摩美のTCL修了生、第ゼロセクターメンバーなどの有志で企画・運営し、全10回の講義+ワークショップで実施しましたが、プログラムをやってみて分かったことも多かったです。以下は個人的な感想になります。

デザイン及び行政のトップランナーによる講義からの学び

午前中の講義は事務局メンバーがこの人はという方々にお声をかけて実施しました。トップランナーの方々の考え方、時にはワークショップを交えた内容は事務局である我々にとっても勉強になりました。また、今回事務局が関わる他の団体の方々にもお声かけし、多くの聴講参加もいただきました。講義をいただいた皆様には改めて感謝申し上げます。講義を通じてデザイン専門の方の考えるデザインプロセスと、行政官の政策立案プロセスの中でも共通点が見出されたことは大きな意義があったと思います。

官民双方に学びのあったワークショップ

午後のワークショップは、個人的には行政官が民間企業で働く方々とフラットな関係の中でデザイン思考に基づいて政策を考えてもらうトレーニングの場であり、民間企業から参加いただく方々よりは行政官の方が学びが大きいと考えていました。一方で終わってからの参加者の感想では、民間企業の方々にとっても公益という視座での議論や、政策手段に関する知見など学ぶところが多かったということでした。これまでの行政主導の政策立案ではなく、官民共創での政策立案を学ぶという点でも意味のある取組だったということかもしれません。参加した経産省職員からも自分の本業の現場においても学びを活かしたいといった前向きな声がありました。

政策のストーリーとその表現のあり方の重要性

なぜそれが社会の課題なのか、目指すべき未来はどんな姿で、どうやってそのための一歩を政策で実現するのかということを、外部に対して示すことはもちろん、それに携わる人自身が心からそう思っているかということが実際の実現の推進力につながると考えます。政策立案に取り組むチームの中でそのストーリーに腹落ちしているかが、非常に重要だと感じました。加えて、現状多くの行政機関の政策に関する説明は、行政側の論理を文書で示すが故に、ユーザーである市民に十分届かないといったことがあります。
どのタイミングで、どんな接点で、どのように伝えるのか、といったことを考え、政策の意図をうまく表現することが重要であることも元デザイナーの方が入ったチームでの表現などから、多くの学びがあったと思います。

政策Xデザインの思考にいつでも戻ってこれる場所に

Day10の午後に行われたパネルディスカッションの際にパノラマティクスの齋藤さんから、「どの部署に所属していても継続してデザインの観点から政策を見られる視点に戻ってくる場所としてPolicy Design Schoolを続けて欲しい」といった趣旨のコメントがあり、共感しました。
現状では、大量の業務の中でなかなか政策の届け方やユーザー視点に立てないまま、目の前のことを進めなければいけないシーンが行政官には多くあります。自分も取組む行政デジタル化の一部は、非効率な業務を低減し、本来行政官が行うべきユーザー中心の政策、行政官が自分の信念を持って進められる政策の立案実施に集中できる環境を作ることだと考えていますが、一朝一夕にそのような状況に到達できないのも事実です。こうした中でデザイン思考を忘れない、同じような考えを持つ仲間と集まれる場が常にあることは非常に重要だと思います。

第2期についてもこれから検討を進めていきますが、そのようなともにデザイン思考で考えられる「場」作りにつながっていくと良いなと思っています。ご関心ある方は今後の活動も応援ください!



引き続きご関心あればサポートをお願いします!