数をこなす本当の意味
野球の指導側に回ってから子供たちからよくバットは1日何本振ればいいですか?という質問をよく受けます。僕はいつもこう答えています。「無意識に自分のフォームで打てるようになるまで」と。
よく指導者の中では1日に最低200は振れなどスイングの本数について言及しているのを耳にします。僕自身も昔は1日2000本バットを振ったりしていました。しかし、この数は一体何を根拠に言われているのかと疑問に思ったことはありませんか?
今回の記事はなぜ練習量を上げていかなければいけないのかという点にフォーカスして書いていきたいと思います。
1 ただ練習量を増やせばいいわけではない
まず最初に間違えないで欲しいのは、練習はただ数を増やせばいいということではありません。よく高校野球では、「〇〇高校はバットを◯◯◯本振っている」と記事にされたりしますが、この数字には根拠が必要になります。なので闇雲に練習量を増やしてもそれが必ず結果に結びつくとは限らないですし、時にオーバーワークで怪我につながることもあります。
実際に僕が世界5カ国でプレーしてきましたが、日本人よりもスイングしている人種をみたことがありません。それでも外国人の方が鋭いスイングをしたり、インパクトも強かったです。練習には量も大切ですが、質やその意図を理解して取り組むことが大切だと自身の経験を通して感じました。なので練習量を増やすときには、その意図を考えて取り組むと効果が生まれやすくなります。
2 練習量を増やす本当の意味
練習には質と量が必要になります。特に器用な選手に比べて不器用な選手はその量がさらに必要になります。残念なことに不器用な選手の割合の方が多く、僕も典型的な不器用な選手でした。
不器用な選手は変化するのに何度も繰り返してようやくできるようになるので、器用な選手に比べて練習量が必要になります。しかし僕は今では自分が不器用だったことがよかったと思っています。なぜなら不器用だったことで時間がかかる分、いろんな知見が増え、よく考える癖がついたからです。そうすると気づけないことや見落としていたことに気がつけるようになりました。もうわかると思いますが、練習量を増やす理由はできないことをできるようになるためです。
新しいフォームに取り組むときや自分のフォームを固めていく時など何度も繰り返して覚えていきます。すぐにできる選手は少ないからこそ数をこなして量を増やして体に染み込ませていきます。そうすることで自分の選手としてのレベルが上がり、活躍できる幅を広げることができます。
3 無意識でできて始めて試合で実行できる
ではどれくらい練習量を増やせばいいという点が一番気にかかる点だと思いますが、これは結論から言うと、明確な数字は個人によって違います。なぜなら個々によって身につけるスピードが違うからです。ただ一つ目安があります。それは、無意識にできるようなるまで行うことです。
何かを変えるときには必ず人は「変えよう」と意識しますよね。この意識がなくなってもできるようになるまでというのは一つの基準になります。ここまで落とし込んで始めて試合で試せる段階までいきます。それでも試合でできるとは限りません。それだけ野球というスポーツは難しいんです。ただそれでもできなかったらやり方を変えてみたり、人に意見を求めたり、また新たにトライしていけばいいんですけどね。またこれだけ難しいからこそできた時は本当に嬉しいですし、それが野球の醍醐味でもあります。
最後に
練習はこれだけやればOKというものはない、目標を達成したらさらに上へ上へ登っていくことを意識してみるといいと思います。僕自身も本当にこれを繰り返してたくさんの階段を登ってきました。公立高校のベンチ外から海外プロリーグでプレーできた理由の全てがこれです。練習は質も量も大切ですが、しっかりとその意図、目的を決めて取り組むだけで結果は大きく変わっていきます。今週も頑張っていきましょう!
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