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アサヒビール "スーパードライ生ジョッキ缶 " に学ぶ「売れる」の成功事例

 ◆ スーパードライ生ジョッキ缶とは!?

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 2021年を代表する大ヒット商品、アサヒビール " スーパードライ生ジョッキ缶 " 。コンビニエンスストア限定商品として4月6日に先行販売を開始すると、ニュースサイトやSNSで大きな話題となった。販売数量はアサヒビールの想定を大きく上回り、発売2日後の4月8日には商品供給が追い付かずに出荷を停止した。4月20日にはスーパーマーケットなどの全業態で一般販売を開始したが、翌21日には再び出荷停止を発表した。

 「スーパードライ生ジョッキ缶」は、上面のふたが全開にでき、開栓するとキメ細かい泡が自然に発生し、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる。また、缶のふたが全開することで、麦芽の香りが感じやすくなるとともに、口に流れる液量が多くなり、” 生ジョッキ " のような感覚で飲むことができる。


◆ ” 売れる " ポイント① ~ マーケティング戦略 ~

 生ジョッキ缶の発表は1月の年初、発売の4月まで3か月のマーケティング期間。まず、アサヒビールはワイドショーやバラエティ番組で商品を取り上げてもらうように動いた。実際、いくつかの番組で商品が取り上げられており、この情報を視聴者が口コミやSNSで拡散し、販売前から洗剤需要が広がっていった。

 また、この商品は『おいしい』という特徴よりも、泡が出るなどの『動き』に特徴がある。そのため、ビジュアルや動画による情報発信に注力したことによるマーケティング戦略の成功によるものが大きい。


◆ ” 売れる " ポイント② ~ インフルエンサーによる拡散戦略 ~

 現在、消費者が情報を調べたり得るためのツールはSNSである。SNSでいち早く情報を拡散するには、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーへの訴求が欠かせない。そこで、アサヒビールはツイッター、インスタグラム、ユーチューブなどで活躍するインフルエンサーなど影響力のある2000人に発売前の商品を送り、先行体験者になってもらった。

 SNSを活用したマーケティングには注意点がある。過去にない飲み方を提案する商品であるため、否定的なコメントを拡散させない工夫が必要である。例えば、12℃以上で開封すると泡が吹きこぼれることがあるそうだ。実際にそうしたコメントが配信された事例もあるとのこと。その対応策として、缶に大きく『生ジョッキ缶の楽しみ方』を表示している。

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 また、QRコードを印刷し、スマホで読み込めば飲み方解説の動画が流れるようにもした。


◆ ” 売れる " ポイント③ ~ " 体験 " を売る ~

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 昨年のコロナ禍の影響で多くの人が外出を控えるようになり、その状況は今現在も続いている。私自身もそうで、昨年の年始を最後に外で生ビールを飲む機会が無くなり、仕方なく家でビールを飲んでいる。しかし、日々、早く仲間たちと 外で” 生ビール " をジョッキで「乾杯~!」と飲みたい衝動に駆られている。(同じ気持ちの人が多いのではないでしょうか・・・)

 その生ジョッキで味わえる価値と体験を、自宅で気軽に実現できるようにした、そこに大ヒットの理由があると考えている。もちろん味も重要であるが、今回のポイントは " 体験 " を絶妙なこのタイミングで消費者に提供したところがこの大ヒットの最大のポイントだと考えている。

◆ " 売れる" ポイントは " 体験 " を提供すること

 様々な類似商品が並んでいる今、商品自身の本来の価値(味、用途など)はもはやMUST条件だと思います。その中で " 売れる " ためには、その本来の価値+α の何かを提供する必要があり、またそれをいかにして消費者に伝えるかが重要だと考えています。

 その+α の1つが " 体験 " ではないでしょうか。

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