見出し画像

こころの静寂と時が止まるとき

極限に集中しているとき
心に静寂がおとずれます。

このことをアメリカの心理学者
チクセントミハイは、『フロー』と
名づけました。

空腹や疲れを感じずに
時を忘れて
何かに没頭しているような状態です。

では、どうやって
フローに入るのでしょうか?

実は、フローに入るためには、
そのことに対して
ある程度の習熟が必要になってきます。

そして、そのことを始めるにあたってなんらかの
ルーティンが出来上がっている時
フローに入りやすくなります。

僕は、20代30代と、マリンスポーツの
ウインドサーフィンに没頭していました。
練習に入るとすぐに集中した状態になれるように
ルーティンを決めていたのです。

それは、ウインドサーフィンの
技術の中で一番基礎的な技である
タッキングの練習を繰り返すというものでした。
それをすると、自動的に集中モードにはいり
心に静寂が訪れたのです。

誰かに教わったわけではなくて
膨大な練習時間から
自然に導かれた方法でした。

この手法を見つけてから
練習密度
が濃くなり
技量もどんどん上がっていきました。

そして、ある時、フローの上位の状態である
ゾーンに入ることが出来たのです。

ゾーンというのは
時が止まるような感覚になることです。

「時間を忘れる集中」のフローから
「時が止まる」ゾーンへです。

それは、なんの前触れもなく起こりました。
西オーストラリアの秘境
ニンガルーリーフで
ライディングしていたときのことです。

その場所は、
世界最高の波が立つゲレンデで
高さが10m
長さは数キロに及ぶほどの
完璧な波を体験できる場所です。

その巨大な壁のような波にトライするために
5年近く特別な練習を続けました。
毎日のように
イメージトレーニングを繰り返し、
特別に開発したメニューで練習していたのです。

その日は超巨大な波がセットで入っていました。
僕は、その中でも一番大きな波を選びました。
十分に引きつけてからテイクオフ。
いままでに体験したことが
なかったような
巨大な波でした。

波の斜面を降りる時は恐怖で
髪の毛が逆立ちました。
死を感じたのです。

その直後、
時が止まりました。

巨大な波の全てが分かりました。
頭の後ろでオーバーハングしている波も
ヘルメットに落ちる水滴すら
全てが知覚できました。

身体の隅々まで神経が行き渡り
ボードの先端が何センチ海面から
離れているかも認識していました。

神様の領域。

普段の自分の力では
絶対にできないような動きが
自然にできてしまいます。

『ゾーン』

脳科学者の茂木さんは、
ゾーンのことをこのように評しています。

「最高に集中して、しかもリラックスしているフローは、比較的日常的に起こすことができる。一方、アスリートのキャリアの中でも、2、3度しか訪れない、最高のメンタルを、「ゾーン」と呼ぶことにすると、スペクトラムが正確に記述できるように思う」

フローを続ける中に
神様の領域ともいえる瞬間を
体験することができます。

そして、一度それを体験すると
決して忘れることが出来ないような
ものが『ゾーン』なのです。

©ヒロカズマ2018-02-18

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?