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IR部門の目標設定…どうしてる?

株式会社うるる(東証グロース/3979)の近藤です。
IRを担当しております。

IR系 Advent Calendar 2022、前夜祭含めると26人中16番目の本投稿です。真ん中くらいに名前載せて他の人の記事を見ながら書き始めるのがいいかな~、なんてお気楽に考えていましたが、気づけば前にも後にもそうそうたるメンバーが名を連ねており、まさに前門の虎後門の狼状態…良記事だらけでプレッシャーが凄いです。

昨日アップされたKxShareさんまさんの記事も素晴らしすぎましたね!
IRへの提言ということで、私自身、肝に銘じたいと思います。。。


色々な立場の方がIRアドベントカレンダーの各エントリを読んでいると思いますが、どちらかというと私と同様に日々悩みながら業務に取り組まれているIR担当者の方々向けの内容です。

師走の慌ただしい中で、ほぼ推敲できていない文章であることをお許しくださいm(_ _)m

■他社IRの方からよくある質問

さて、私自身の中でIRを意識的に取り組み始めてから1年半ほどが経過し、ありがたいことに様々な企業のIRの方からご質問をいただくケースが増えてきました。特に中小型株の方々からはほぼ例外なく、「流動性ってどうやったら増えるんですかね?」と聞かれます。

うるるの流動性は虫の息なので聞く相手間違えてるぞ!
流動性を増やすということは、自社の株式をたくさん売買してもらえるようにすることなので、まずは自社の存在を投資家に知ってもらうこと、が一つ大事かなと思います。まさにマーケティングですね。ちょうどこのアドベントカレンダー2日目ご担当のバシマエさんがIRマーケティング論を書かれています。

上場企業は国内だけで4,000社近くありますが、各社の内容まで把握されているかたは極めて少ないはずです。そもそも社名も知らないような会社の株式を売買しようとする人はまずいませんよね。
投資家が株式を売買するまでの流れを超ざっくり書くと、「①企業を認知→②売買の検討→③売買」となりますが、IRとしては、まずスタートラインとなる①に辿り着いてもらうようなアクションが必要になります。

アドベントカレンダー3日目ご担当、湘南投資勉強会主催のkenmoさんが書かれているように、IR資料上に「投資家が期待するKPIが開示されており、投資家の疑問に思う点が既に明記されている」のであれば、より投資家はその企業の株式の売買の検討をしやすいはずです。逆を言えば、よく状況がわからない企業の株式はわざわざ買わないですよね。IRが正しく情報を伝えることの重要性はここにあると思います。


冒頭ご紹介しました、昨日ご担当のさんまさんの記事で書かれていたことも、これに近しいかなと思います。投資家に業績予想をしてもらえるような情報を開示することが、流動性を引き上げる要素だと解釈しました。

もちろん情報をわかりやすく開示するだけでは足らず、業績や外部環境、マーケット、株価値動き、色々な要因が②のフェーズで影響を及ぼすのが、IRで無力さを感じるところの一つかもしれません。
いずれにせよ、②においてもIRの役割は重要と思います。

本当は今回、IRと投資家カスタマージャーニーについての記事を書いたら面白いかなと思っていたんですが、バシマエさんに先を越されて二番煎じ感があって悲しいので、今回はちょっと違うテーマで書きます。

■IR部門の目標設定ってどうしてますか?

ご質問をいただくこととして、流動性に次いで多いものの一つが、「IR部門の目標設定ってどうしてますか?」

これ、私もIRに本腰入れて取り組もうと考え始めてからいろんな企業のCFOやIR担当の方におんなじ質問をしたんですが、目標は特に定めていない、という回答が実は一番多かったような気がします。
ちなみに、目標を定めている会社さんだと、そのものズバリ株価・時価総額から、出来高・売買代金、機関投資家との1on1件数、ベータ、など各社各様の目標が出てきました。

結局、目標はゴール・目的に合わせて設定されるべきよなあ、と考えて、目標設定の上で1年間活動した内容と結果を過去のnoteにまとめていますので、このエントリを読み終えていただいた後に、よろしければご笑覧くださいませ。前編と後編です↓

■IRの目的

株式会社の取締役は株主から株式価値を増大させるために委任を受けているのでその責務としてIRを行う、というのは基本のキなんですが、「IRやっても会社の業績が上がるわけじゃないしさあ」と経営陣から言われてしまうんですというIR担当者からのボヤキはよく耳にします。
まあ確かに自社の株価が倍になったって、売上も利益も一円も増えないですよね。

うるるではIRを、「株式価値の最大化を目指すことで、将来の資金調達の選択肢を増やすファイナンスアクションの一部」として位置づけています。
現在は手元資金も潤沢で資金調達は必要ないのですが、将来大きなチャレンジを行う際に大きな資金が必要になるときが来るかもしれません。そのときにデットもしくはエクイティ、あるいはその両方を活用するシーンが来た際のオプションを作る仕事と捉えると、IRが企業成長に必要なピースの一つと言えるかなと思います。

目的があって初めて目標設定がなされるはず、ですので、目標設定に悩んでいるIRの方は、まず自社がIRを行う目的から整理されるのが良いんじゃないかと考えています。

■ちなみに今のうるるのIR目標設定は?

IRに本腰入れ始めた当初は、目的を明確にした上で現状の自社の立ち位置を振り返り、↑に貼り付けた拙著noteの通り、流動性向上を目指して目標立てて動いていたんですが、今現在は業績進捗とともに株価が反応することを目先のゴールとし、ウォッチリストに入れてくれる投資家を増やす、ということを目標においています。ただ、これを数値目標化するのは難しいので、そこは感覚に頼ることにしています。
(金かければできないこともなさそうなのですが、今はそこまではしていません)

加えて、これを書くのはちょっと恥ずかしいのですが、マーケット認知を上げることに加えて、IRのブランディングを進めることも目標に掲げています。
「情報は発信するところに集まる」という言葉を信じて、IR積極的ですよアピールをすることで、「うるるのIRは凄いらしい!」と想起してもらえるようなブランディングを図っていくことで、IRに関する情報が自然に集まってくるような状態を目指しています。情報は大事です。

うるる社員に向けてIR方針を説明した際の資料の1コマ

投資家の資金は有限ではあるものの、発行体間の投資家の奪い合いなんて(特に小型株においては)誤差みたいなもんです。なので、優れたIR手法があればパクりあい歓迎だと思っていますし、私も他社IRの方々に積極的に情報を提供するよう心がけています。
(情報収集兼ねてIR界隈の飲み会にも積極的に顔を出しております。飲みのお誘いはいつでもお待ちしております)

こんな数字もないゆるい目標設定で舐めてんの?と言われてしまいそうで恐縮なのですが、数字を見ていないわけではありません。数字を見る上では比較が大事だということで、例えば↓表のような数字を時系列で毎月チェックし、取締役会で状況と分析結果をコメント付きでレポーティングしています。例えば株価は各指数との比較、売買代金・売買高は過去との比較を行い、分析を行っています。常に現状把握を行うことが肝要です。

下3つは恥ずかしいのでモザイク


うるるには明確な競合上場企業が存在しないのですが、競合が存在する場合は、株価推移などの比較と要因分析を行うと色々気づきがあるんじゃないでしょうか。
その代わりとして、SaaS指数というのを独自に作って、その推移を比較したりしています。

起点日を100としてSaaS企業の株価を指数化し、ウォッチ

■まとめ

勢いに任せて一気に色々書いてしまいましたが、迷えるIRご担当者の方々にお伝えしたかったことは2つです。

  • そもそもIRを行うことの目的・ゴールはなんですか?

  • 目的・ゴールに向かうための目標になっていますか?

これ、IRに限らずどんなことでも共通する話だったりしますが、ことIRになると抜け落ちがちな気がします。IRの目的・ゴールがおぼろげになっちゃいがちだからなのかなと思っていますが。

偉そうに書きなぐっておりますが、私自身手探りで色々な取り組みを行っている毎日です。IRを担う皆様、是非情報交換しましょう!
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明日12/17のアドベントカレンダーはROBOT PAYMENT新藤さんがご担当です。
お楽しみに!

■12/17(土)神戸投資勉強会告知!

そしてそして、このエントリ投稿日の翌日となる12/17(土)、うるるは第31回神戸投資勉強会にオーケーエム様とともに参加いたします!
皆様にお会いできるのをとても楽しみにしております^^

(神戸投資勉強会主催のキリンさんは、クリスマス・イヴ12/24にIR系 Advent Calendar 2022エントリ予定です。こちらも今から楽しみですね👺)

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