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呼吸&リラクぜーション講座第2回目~息こらえで呼吸パターンを整える

先週に引き続く、呼吸&リラクゼーション講座第2回目です。
私がカナダのロングCovidクリニックのリハビリテーションプログラムで受講した内容をさらに、医学的になんで効果があるのかを付け加えた上で、
シェアします。

先週の内容はこちら↓

簡単に先週の復習をすると。。。

”呼吸パターン、ロングCovidの多くの患者が知らずにやっている、特に肩や胸郭上部を使った浅い呼吸によって、ロングCovidやME/CFSのブレインフォグや筋肉痛が引き起こされている可能性があるので、横隔膜と胸郭全体を使った呼吸、さらに深く呼吸するために、鼻呼吸にしよう”
ということ。

そのためには、

  • 吸う<吐くを意識して、できるだけゆっくりと呼吸する

  • 鼻呼吸にする。最初から両方鼻呼吸が難しかったら、まずは吸う時だけでも、鼻呼吸を意識する。

  • 気がついたら肩が上がってしまっているひとは、意識的に肩を下げる

肩を下げるというのは意外と難しいので、
肩甲骨を下げる、または、肩甲骨を寄せる意識
で行うのが簡単です。

また、慣れるまでは寝た姿勢で手を少し広げ、手のひらを上、やや外に向けるようにすると自然と肩が下がりやすいです。

さて、第二回の項目は、
呼吸自体でなく、

『呼吸を”調節する機能”を正常化しよう!』

呼吸とは、『そもそも酸素を取り込んで、二酸化炭素を排出する』ために行っています。なので、呼吸の調節には、血液内の酸素と二酸化炭素の分圧がセンサーされて、調節されます。

1.酸素のセンサー
  血液内の酸素濃度モニターが頸動脈にあります。
  酸素濃度が低下すると呼吸数を増やします。
2.二酸化炭素のセンサー
  二酸化炭素がたまっていないか、脳の延髄にあります。
  脳内の二酸化炭素濃度高まると、呼吸数を上げます

基本的には、メインの調節機構は、やはり脳なので、
健康な人では、二酸化炭素の濃度上昇が、呼吸をより深く、より速くするような指令を送る最も強力な刺激です。
反対に、血液中の二酸化炭素の濃度が低くなると、脳からの指令により、呼吸は浅く、遅くなります。

ロングCovidの多くの患者でみられる肩での浅い呼吸では、呼吸数が増加した状態になっています。つまり、定常的に二酸化炭素の排出がアップして、血液内の二酸化炭素濃度の正常域が普通の人より低く保たれています。

別の言い方をすると、
「二酸化炭素が低いことに体が慣れてしまっている」
=二酸化炭素が溜まっていくことに体が慣れていない
つまり、ロングCovidの患者では、
脳における二酸化炭素センサーが、少しの変化でも異常と感知しやすい、過敏状態になっている。

何らかの活動をして酸素消費量がアップして、二酸化炭素濃度が増加すると、健康な人よりも、すぐに呼吸数アップさせる司令が出てしまう。


その上、ロングCovid患者では、既に肩呼吸で浅くなって、呼吸数が増加しているので、簡単に息切れ、呼吸困難感とつながるわけです。

それでは、実際、本当に呼吸が過敏になっているのか。。。。

【脳の呼吸調節機能が過敏になっているかを調べるテスト】

(身体が二酸化炭素が溜まっていくことにどれくらい耐えられるかを調べる)
をまずしてみましょう。
1.楽な姿勢で、落ち着いて、普通の呼吸を繰り返す。
2.息を吐いたら、息を止めて、息を吸いたくなるまでの時間を計測する

【判定】
30秒以上 :正常範囲
10秒以下の人:呼吸状態にかなり問題あるため、息こらえトレーニングの前に呼吸自体を改善する必要あり!!
(注意:酸欠になる可能性があるので、絶対に息こらえトレーニングをしないでくださいで、主治医と呼吸の改善をしてください)

10~30秒だった人は、
次のステップの呼気時呼吸トレーニングで改善呼吸調節センサー過敏を改善するトレーニングを行うことをおすすめします。

【呼気時息こらえトレーニング】

健全な人より、低め安定になってしまった二酸化炭素濃度の濃度をもう一度正常域に戻すことで、呼吸センサーが過敏になってしまっているのを修正することを目指します。
やり方は、簡単。
先程のテストのように、楽な姿勢で普通の呼吸をして、吐いた後に、
先程のテストで自分が息こらえできた時間の半分以下の時間だけ息を止めます。例えば、先程のテストで、息を止めてその後、息を吸いたくなった時間が15秒の人であれば、15÷2=7秒以下、無理のないように、最初は5秒くらいの息こらえから始めます。
特に問題なく行えたら、2,3回続けて息こらえをします。
一度息こらえをして、頭がクラッとしたら、なにか症状が出るようであれば続けて行うことはさけてください。

絶対に無理せずに、頭痛やふらつきなどが不快な症状が少しでも出た場合には直ちに中止してください。

【吸気時息こらえトレーニング】

先程の二酸化炭素が溜まっていくのを身体に慣れさせるトレーニングが呼気の後に行うものですが、反対に吸気で息こらえ(息を止めてホールド)するのも呼吸トレーニングになります。
ただし、この場合にトレーニングされるのは、横隔膜

吸う時と吐く時の横隔膜の動き

呼吸は横隔膜と胸郭の筋肉の動きによって、行われます。息を吸う時には、横隔膜が収縮して下がり、息を吐く時には横隔膜が緩んで、元の位置に上がります。
この呼吸で肺を動かすのに一番働く横隔膜も筋肉!(焼肉のハラミを見れば筋肉なのは一目瞭然ですよね!)
というわけで、横隔膜も筋トレをすればよく力強く動くようになるのです。
いわゆる筋トレは、筋肉を収縮させて保持することで、筋力を増加させるというのであれば、横隔膜が収縮している時=吸った状態でホールドすると横隔膜が鍛えられると言うわけです。


最近、流行りの四角呼吸などの瞑想法でも、途中息をホールドするものが多かった理由もわかりますね!

皆様にも参考になれば嬉しいです!



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