同窓会

まだコロナなんて聞く事もなかったお正月明けにあった同窓会。同窓会というほど大規模なものじゃなく12、3人程度の内輪の飲み会だけど、中学時代の同級生と会った。

まだ子供時代を引きずっている中学生ってのは高校時代とは違う。他人を認められないし、個性を受け入れられない。そんな頃に机を並べてたりボールを一緒に追いかけていた顔ぶれは本来のその人自身の素を知っているように思う。子供から聞き分けの良い大人になる前のほんの数年。 

初恋の人に再会した友人はあの頃と変わらない目をしてはにかんでいた女友達。ままごとみたいな付き合いだったけれど、それでも突然の別れ話に傷付けられたはずの彼女にときめく男友達。毎日学校に行ったら当たり前に会えてた時間に、それぞれが15歳に戻っていた。

中年を過ぎると昔を懐かしく思うというが、それは本当だ。責任も無く未来は自分が描くまま実現すると信じていた頃。本当に戻れるわけじゃないから、思い出はより輝きを増す。それぞれの記憶の断片を繋ぎ合わせれば、忘れていた人や情景を思い出す。伝えられなかった気持ちや今ならなんの気負いもなく話せる思い。誰かを傷付けた事や傍観者でいた後悔。その作業は同じ時を過ごした人としか分かち合えない。楽しくもあり、切なくもある。

店を出たら、母であり、父であり、妻で夫で誰かの上司で。いろんな顔を持つ大人に戻る。それが寂しいわけじゃない。待つ人がいる場所に帰るってことは大人になるのも幸せなんだと実感するのだ。 

店を出たのは朝に近い時間だった。若くもないのに朝帰りなんて、頑張ったねとみんなで笑った。

また会える日を楽しみにしてる。


 





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