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縫製依頼の際の流れ まとめ(簡易版)

こんにちは こんばんは。
今回は実用的なものをだします。役立ててくださるなら幸いです。あくまで簡易版ですが簡素化してもこの程度は必要な流れであって必須な最低限です。これを元に自身にあわせたフローチャートを作るもよし、依頼の際の判断基準にするもよし。

 なんでこういったものを公開するか(本当は無償公開は控えて欲しいと言われましたが)というと、昨今各方面で『素人』(言い方はアレですが)の方が製品を販売・またはプロデュースされるのが見られます。経済的には活性化して良いと思う反面、依頼を出す側の無知、それを無知と知らずに目先の旨みをみて受ける側に起こるトラブルも散見します。そう言った際にお互いの身を守ることを何かしらでしていかないといけない。その参考になればと思います。
 あくまで各内容は僕基準ということは念頭に置いてください。ではどうぞ。


【縫製依頼フロー】

 縫製のご依頼に関して簡易ではありますが流れをまとめたものになります。
ご一読くださいますようお願いします。
デザイン・パターン(型紙)・材料各種の手配状況でも変わりますので、ご依頼の状況を実働の際はお教えください。下記はデザインからの対応の場合も踏まえた流れになります。ブランドの構築~に関しては完全に別物になりますので下記とは別として扱います。


1.デザイン提案

・依頼日起算で期間14日間・費用100,000/型~
修正の回数や内容(当方の提案でOKなのか、顧客の希望に合わせて変更かけていくのか)によって大きくコスト変動あり。
14日間を超えての変更は1日単位で10,000/型上乗せ。
発注いただいた日からデザイン制作に入ります。
【発生コスト】
デザイン費用


2.パターン・仕様書製作

・デザインありきで製作可能。各サイズ感などは指定ください。
費用はデザインによって変わります。都度デザインに合わせてお見積もりさせていただきます。(参考程度にスタンダードなボタンダウンシャツ1型1サイズ作成で20,000程度。仕様書は10,000円程度)
【パターン製作の流れ】
デザイン入校
  ↓10日間
トワル(仮縫い)確認
  ↓資材揃い投入後14日間
1点縫製サンプル作成(ここで2度3度やり直しがあると大きくずれます)
  ↓10日間
マスターパターン作成
  ↓7日間
サイズ展開グレーディングパターン作成
  ↓仕様書も同時
パターン納品

【最短45日程度必要】となります。確認や変更・現場の繁忙状況によって都度時間を要します。その場合は都度ご確認ください。
【発生コスト】
パターン&仕様書代・サンプル費用・材料支給でない場合は材料費。

3.サンプル製作

上記パターン制作にサンプル製作工程が入っています。(1STサンプル)
そこから修正などを反映した正式パターンが完成後に再度サンプル作成をします。(工場サンプル)
工場サンプルは量産を前提として制作しますが、あくまで1着の生産となり量産とは微妙に品質に違いがあります。(使用するミシンや縫う人間が変わること、1着を一人の人間で丸縫いするなどに起因します)
工場サンプルにて問題がなければ量産準備に入ります。
※問題点・修正点あればこの段階で解決してください。以後サンプルからの修正などは基本的に不可。仕様の最終確認を取れるサンプルとして最終となります。

【10日間(材料投入後)程度】
修正などでやり直しなどが発生時は都度確認ください。現場の混み具合によっても変わります。
【発生コスト】
工場サンプル費用・場合により材料費×着数分

4.量産見積もり提出

 工場サンプル確認後、量産見積もりをご提示させていただきます。
材料を支給いただけるか、弊社手配か、納期の確認、場合によって契約書含めこのタイミングでご確認いただきます。
※覚書など必要な場合も含みます
 仕上げの有無、仕上げ方法(ハンガー納品・袋詰め)、ブランドネームや品質表示なども確認させていただきます。
 見積後に納期変更・材料投入の遅延・縫製等の仕様の変更は基本的に不可です。どうしても変更が必要な場合は、単価・納期など変更させていただくことがあります。

5.発注書確認 

 4の見積もりにて確認後(サインや書面・メールなど文面にて)に発注書を発行ください。
お支払条件・納期もこの時点で確認させていただきます。
※新規取引の場合は前払いや、半金前払い納品時に残金ご入金後出荷が基本
※掛け売りの場合は末締めの翌月末払い(手形などは不可)

6.量産進行

 まずは生産に必要な材料の確認を取らせていただきます。
支給いただく場合は材料が【全て】揃い次第進行となります。材料を弊社手配の場合は、発注いただきました時点で各材料発注となります。
※この時点で材料の不揃いや、在庫状況によっては納期のずれが生まれることもあります。

下記が大枠の流れとなります。
( )で括っている箇所は必要に応じての部分ですので必要なければ省けます。

【量産の流れ】
・材料投入
  ↓
・(裁断前1点サンプル確認)
※完全先上げといいます
  ↓
・裁断進行
  ↓
・(量産品より先上げサンプル確認)
※先上げといいます。この時点では量産も進行しながらの提出です。
  ↓
・納品前抜き取り確認(サイズごとや色毎に)
※納前といいます
  ↓
・量産品を指定箇所へ納品

※工程の途中での作業停止(先上げの際の変更など)がある場合は大きく変動します
※万が一納品後に不良品などがあり修正・修理の必要がある場合は
納品後2週間以内にお伝えください。当方責任の問題に関しては無償にて修正いたします。以降は修正・修理に関しては有償となります。
 やむを得ず、先上げなどの製作途中でのキャンセルの場合などは基本的に進行の状況(割合)にてご請求させていただきます。
※7割進行済の場合はお見積もりの7割

【約45日】
※数量やデザイン・現場の状況により変動しますのであくまで目安。
【発生コスト】
完全先あげ費用(サンプル費用同等
先上げ費用・納前費用(量産費用同等)
量産費用(材料弊社手配の場合は材料費込みや別など伝票記載方法は合わせます)

7.支払いに関して

上記フローに準じますと
A.デザイン費用
B.パターン・仕様書・1STサンプル費用
C.工場サンプル費用
D.量産費用

の順番のように都度段階的にお支払いいただくのが基本となります。
※掛け売りの契約の場合は月ごとに締め払いとなります。

8.最後に 

 縫製という加工・製造業における注意点を数点記載させていただきます。
弊社での縫製や裁断は人が作業して作られますので、商品毎に誤差があります。量産の場合は工程を分解して作業進行が基本となりますので、完全に全てが同じものにはなりません事ご理解ください。(パーツによって縫う人間が変わるということもあります)
 ミシンの種類や針、糸などは素材によって使用するものが変わる場合もあります。ミシンは同じ本縫いやロックミシンの機能のものでも個体差がありますので、ミリ単位でのステッチなどのブレやサイズのブレをなくさないといけないような商品は弊社ではお受けしかねます
※一例ですが初回サンプルが職業用ミシン、以降工業用ミシンなどの可能性もあります。

以上。後ろ向きにも捉えられることも記載しておりますが、丁寧に綺麗にを意識してご対応します。基本は人の手で作るものとご理解いただきましたら問題ありません。


といったものになります。
 なかなかシビアなことも書いていますが、それくらい縫製等の依頼を受けるということは、加工する側にリスクが高いということです。
オートマチックな製品ですら不良品は0ではなく、ましてや人が多く工程に関わるのが縫製ですので、その点重々お考えいただき、各取引先さんと良好に気持ちよく仕事をできますように。


ではまた。

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