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伊邪那岐の遺書

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短編ホラー小説です。 兄を愛した妹の、情念がたどり着く先は……。
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記事一覧

伊邪那岐の遺書①

あらすじ  兄さん、お元気にしていますか?  妹から兄へと綴られる手紙。  仕事熱心で妹想…

火呂居美智
1か月前
6

伊邪那岐の遺書②

 ものごころがついたときから、わたしの家族はあなた一人でした。体が弱くて泣き虫だったわた…

火呂居美智
1か月前
2

伊邪那岐の遺書③

「那美子、なにか欲しいものはないか?」  あと数日で、わたしが十六歳の誕生日を迎えるかと…

火呂居美智
1か月前
2

伊邪那岐の遺書④

 小学生のころからクラスになじめずにいたわたしは、中学、高校になっても、親しい友人ひとり…

火呂居美智
1か月前
3

伊邪那岐の遺書⑤

 約束してからの数日は、とても長く感じました。  その日のことを考えては、眠れない夜が何…

火呂居美智
1か月前
4

伊邪那岐の遺書⑥

 ぶつぶつとか細い声で一言つぶやいてから、あなたはそのままあ仰向けになって寝入りました。…

火呂居美智
1か月前
1

伊邪那岐の遺書⑦

 人は、死んだらどうなってしまうのでしょうか。  魂は漂うのでしょうか、消えてしまうのでしょうか。  わたしのこの想いは、どうなってしまうのでしょうか。  今でこそどうでもいい些細なことに感じられますが、当時はそんなことばかり考えていました。  あなたは、わたしを妹としてとても大切に扱ってくれました。しかし、いざわたしが一人の女として、愛情を込めてあなたに接すると、尻込みするようにこわばった態度をとりました。  自分が甘やかしすぎたと考えたのでしょうか、ふだんから冷たくなり、

伊邪那岐の遺書⑧

 それからさらに五日間、わたしは体調不良を理由に学校を休みました。  事実、最初の数日以…

火呂居美智
1か月前
1

伊邪那岐の遺書⑨

 その結果なのかどうかわかりません。  数日後、あなたは病み上がりのわたしよりもさらに蒼…

火呂居美智
1か月前
1

伊邪那岐の遺書⑩

 あれは、早春の矢先でしたね。  一日に何度も気持ち悪くなり、わたしは嘔吐をくり返すよう…

火呂居美智
1か月前
1

伊邪那岐の遺書11

 そのあとのことはあまり思い出したくありません。こうやって筆を動かしている今も、頭に血が…

火呂居美智
1か月前
2

伊邪那岐の遺書12

 その帰り道に、クマのぬいぐるみを買ってもらいました。  かわいらしい、とぼけた表情をし…

火呂居美智
1か月前
2

伊邪那岐の遺書13

 それからのあなたは、わたしから逃げるように、ますます仕事に没頭しましたよね。  毎日の…

火呂居美智
1か月前
3

伊邪那岐の遺書14

 そんな日々が一年近くもたったある日のことです。  わたしは天気も良いのに、昼間から雨戸を締め、部屋を暗くして過ごしていました。 「那美子さん、いらっしゃいますか?」  突然ドアがノックされ、玄関から女性の声が聞こえました。  日子を抱きながら物思いにふけっていたわたしは、視線だけを玄関に向け、黙ってやり過ごそうとしました。  しかし、声の主はわたしがいる気配を感じ取ったのか、かまわず自己紹介をはじめます。 「三上涼子といいます。那央樹さんと、結婚を前提にお付き合いをしていま