見出し画像

[きょうの映画紹介] ハミングバード(2013)

 ハミングバード(2013)

出演:ジェイソン・ステイサム、アガタ・ブゼク他

個人的おすすめ度:★★★☆



 PTSDに苦しむ酒浸り系脱走軍人の世直し系アクションスリラー映画。GYAOにて視聴。

Wikipedia
Filmarks





 冒頭10分ほどのストーリー展開が激しく、現在地の把握が難しい。どういうキャラ設定なのかもハッキリしない。主人公が序盤しばらく言葉を発しないのもあり、難解なスタート

 ジェイソン・ステイサム系アクション映画は敵対する存在とのわかりやすい構図があることが多いんだけど、この作品はそういうものではなく、軍人時代のPTSDを抱える自分と付き合いつつ、シラフでいると自分でも何をするかわからない(何でもやれてしまう)ので酒を手放さず、軍人時代に悪いことをした罪滅ぼしをするかのように底辺で苦しんでいる人たちの為に出来ることをする(施し等)、わずかなことでもお世話になった人たちへ恩返しをする(一宿一飯の恩義)、みたいなことをしながら社会となんとか繋がって付き合っていきたい男を描いていたように思えた。

 こんな主人公を支えるイイ女が身近に2人いたこともあり、「(クソだらけの世の中だが)捨てたもんじゃない」と思っていたのかもしれない。





 この作品を観る前は、言うてもジェイソン・ステイサム映画だから「いつものあぁいう感じなんでしょ?」と思って観てたんだけど、そもそもアクションは少なく(アクション映画とは呼べない程度)、徒手空拳の達人という設定も無く、「シスターや社会との関わりを描いたドラマなんだ」「いつものやつじゃないんだ」と気づくまでかなり時間がかかった。





 主人公のキャラクターにしても、「深い心の傷を負い死に場所を探し求める自罰的な退役軍人」といった複雑な感じ。

 自分が過去に犯した軍規違反により裁かれようとしていたところを脱走し、そのおかげで苦しい生活を強いられている元妻と幼い娘(たぶん正式な離婚はしてない)に必要十分な生活資金を渡す、脱走中に助け支えてくれた2人の女性たちに受けた恩を返す、といった理由を旨に自分も苦しいながらも周囲と首の皮一枚で繋がって生きていく。金を作って恩を返すまでは死んでも死にきれないが、タスクが全て整ったその先はどうなるんだろうね、っていう。

 こうしてちゃんと考えてみると、一口では語れない深みのある作品だということがわかります。ジェイソン・ステイサム映画の中ではかなり異色。

 珍しく、ジェイソンのガチ泣きシーンもあるし。ウルッとすることも珍しい人だからね。その辺も見所の1つかと思います。





 PTSDに苦しむ酒浸り系脱走軍人である主人公役にジェイソン・ステイサム、慕う人間から"天使"と呼ばれるシスター役にアガタ・ブゼク

 このシスター役のアガタ・ブゼクという人はすごく雰囲気のある人で、表では"天使"と呼ばれる完璧なシスターを演じつつ、裏ではすごく重い悩みを長年にかけて抱えていたり、シスター業から一旦開放された時の変身っぷりだったり、自分の大好きなものの為にちょっと神様にも遠慮してもろたり、ひょっとしたら主人公以上に色んな側面のある難しいキャラクターだったと思うけど、それを見事に演じられていたと思います。





 観終わった時に「はぁ~こりゃスゲぇ~」ってなるような派手な作品ではないけど、「やらない善」と「やる偽善」のどちらが正しいか、みたいな、自分の人生や考え方を見直すキッカケになるかもしれません。

 正解を選べない作品ではありますが、感じ方は各々あると思いますので、気になった方は是非。






この記事が参加している募集

#映画感想文

66,651件