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劣性遺伝

ポーランドの北東地域にマズーレ(湖水地方)と称される風光明媚な観光地があります。ここは3000の湖が水路で繋がっているパワースポットでもあり、ユネスコの文化遺産に登録されています。地理的にはロシアの飛び地カリーニングラードとの国境近くです。陸には絶滅が危惧されているヨーロッパバイソンが保護されながら生息しています。

狩りは厳禁、冬には人間が餌箱に餌を補給して回ります。アメリカバイソンの様に天敵の狼の群れもいません。しかしその数は年々減っています。これは遺伝子の劣化が原因だと言われています。そしてこれはパンダや多くの日本の政治家達にも当てはまります。

世襲が悪癖とは言い切れません。ただし多くの場合二世、三世は政界ならば傍流、経済界なら町工場の出で、大切に育てられて来たとは言えない人々です。生まれた時から親の仕事を見ながら育ったためにその方向の情報量では圧倒的に有利な立場にあります。肌で感じてきた生きた情報を親から継いだ仕事に生かす事ができます。

この場合、世襲は改革の原動力になります。トヨタ自動車の社長の場合はこの例だと思います。つまりこの場合は優性遺伝になったという事です。

魚は頭から腐ると言います。歴史上の国家や民族の衰亡は指導者が腐った結果で、一般庶民はその後しばらくの間は健全を保ちます。ただし頭が腐るとそれは内臓に及び、身体もいずれは腐りますが、それではなぜ身体よりも頭が先に腐るのでしょう。

北の三代目の例の様に、大切に育てられてきたと言う事は世間の風から守られてきたという事です。しかし風は酸素でもあります。風に当たらなかったという事は、酸素欠乏つまり酸欠のまま育ったという事になります。そして酸欠によって脳の働きは鈍化します。

これら酸欠脳で育った人はうまく行っている時にはその欠陥が現れませんが、壁に突き当たった時にはあっけないくらい簡単に崩れます。これは挫折に慣れていないからです。

挫折に慣れすぎるのは逆恨みとか屈折した性格につながるので困りものですが、挫折した事がないというのはもっと困りものです。抵抗力というか免疫が全くないという事ですのでなるべく若い時に挫折を経験するといいというのは、それによって自分に疑いを抱く事を学ぶようになるからです。次の跳躍はこれまでのやり方に疑いを持つ事なしには訪れません。

ポーランドの湖水地方

忍耐力

わずかな人が失敗の経験から忍耐力の重要性を学び取ります。彼らは失敗したとしてもそれは成功を生む為に不可欠な陣痛にすぎないと受け止めます。その様に受け止めて、そして再びすぐに立ち上がっていきます。

忍耐力の強い人だけが最後に失敗を勝利に転換できます。ほんの少数の人だけが失敗を『努力の糧』と受け止めます。これは一つの習慣と言ってもいいでしょう。習慣によってそのような心構えが形成されます。またそのような心構えによってその思考習慣は強められます。

そのような人だけが人生の後戻りをしなくてすみます。絶望的な場面に遭遇した時でもそれに対抗する不思議な力が自然に湧き上がってきます。心の中にそのように考える回路が出来上がっているからです。しかしその力を見た人もその存在に気付いた人も少ないものです。その力は忍耐力と呼ばれています。

そしてその力はもっと伸ばしていかなければなりません。忍耐力が無ければどのような分野においても大きな成功はできません。

忍耐力を習慣として身に付けた人は、たとえ失敗しても、あたかも失敗そのものを保険にかけているように涼しい顔をしています。その様な人こそ、どんなに失敗を重ねても最後には梯子の最上段に登り詰める事ができます。時には何者かが陰に隠れて、様々な種類の失敗を経験する事で忍耐力のテストをしているように思える時すらあります。

しかし、その失敗にもめげず、挑戦を続ける人だけが目標地点に到達できます。これで劣性遺伝を優性遺伝に変換できたことになります。

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