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アートの思考過程

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現代美術活動の中で考えるたこと。
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2018年6月の記事一覧

カロル・タロン=ユゴン著『美学への手引き』

カロル・タロン=ユゴン著『美学への手引き』

カロル・タロン=ユゴン著『美学への手引き』(上村博訳/白水社文庫クセジュ/2015)を読みました。書店で「あ、美学の本だ。薄いしすぐに読めそう…。」と、やや不謹慎な動機で手に取ったのですが、内容はすごくしっかりしていました。プラトンから始まって、分析美学まで解説されており、美学史がぎゅっと詰まった一冊です。18世紀以降の流れもカント、ロマン主義、ヘーゲルなど、なかなか丁寧です。ただし、カントなど、

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マルクス・ガブリエル

マルクス・ガブリエル

京都大学で行われたマルクス・ガブリエルの講演に参加しました。いやぁ、思った以上に難しかった。「皆さんご存知の通りヘーゲルは〜、ハイデガーは〜」とか言われても…って感じです。でも大変楽しい時間でした。目の前でマルクス・ガブリエルが授業をしている。これは現実なのか?と目を疑いたくなりました。

そういうわけで内容はともかく、それ以外で気づいた点を思い返すと、印象的だったのはガブリエルが非常にエネル

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永井均著『マンガは哲学する』

永井均著『マンガは哲学する』

永井均著『マンガは哲学する』(岩波現代文庫2009年刊)を読みました。マルクス・ガブリエル入門の打ち上げで哲学界の方々から勧められた本です。内容は著者が好きなマンガを取り上げて、哲学的な視点から解説しているものです。著者はあとがきで、マンガを例に挙げることでしか説明できない哲学的問題を扱ったと告白しています。

その内容が衝撃的な面白さで、しかも僕のいま抱えている問題を解決するヒントになるよう

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