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マーケティングで一番好きなものはSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)

10何年もマーケティングの世界で生きてきていろんな言葉を学び実践してきましたが、その中でも一番役に立っているのはSTP。さらにその中でもセグメンテーション。その理由は「イケてるセグメンテーションができると行動レベルを変えることができる」からです。

一目惚れというよりはだんだんジワジワと好きになってきたと思います。「セグメント」という言葉を聞くだけでワクワクしてくるレベルです。コトラー先生には本当に感謝してもしきれません。

ちなみに学問としてのSTPというよりは私の経営や営業、あるいは新規事業立ち上げにおいて有効なやり方だと思っているだけなので他の方に有効かどうかは知りません(笑)学問として、専門職としてはイチからコトラー先生の著書に当たられることをお勧めします。

STPとは何か(一般論)

以下のようにwikipediaに書いてあります。

セグメンテーション(segmentation、セグメント化)
市場における顧客のニーズごとにグループ化する、市場をセグメントする。様々な角度から市場調査し、ユーザ層、購買層といった形であぶり出し、明確化していく。簡単に言うと切り口という意味。マーケットセグメンテーションも参照。
ターゲティング(targeting、ターゲット選定)
セグメント化した結果、競争優位を得られる可能性が高い、自社の参入すべき市場セグメントを選定する。選定には、複数のセグメンテーション軸を組み合わせて行なうことが一般的である。その際には、ターゲットの経済的価値(市場規模、成長性)やニーズを分析することが重要である。
ポジショニング(positioning)
顧客に対するベネフィット(利益)を検討する。自らのポジションを確立する。そのためには、顧客のニーズを満たし、機能やコスト面での独自性が受け入れられるかがポイントとなる。

つまり、STPはセットで考えられるべきです。市場を細分化し、自社の参入市場を定義し、顧客に対する自社の価値を決める。私がセグメンテーションを好きな理由はそこにこそリーダーのセンスが現れると思っているからです。

セグメンテーションでよく使う二つの図

大きく分けて二つの図をよく使います。ピラミッドとマトリックス。一体何度この二つを使ったことか。今回はピラミッドを使います。

ピラミッド

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マトリックス

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よく見るやつです。特にピラミッドでは一般的な市場をいろんな切り口で切って自社が参入するべき市場を定義していきます。

私個人としてはこの市場の定義は「後付け」であることが重要だと思っています。つまり、先に自社が参入する市場はなんとなく頭にあるのです。「あんな顧客の、こんな課題を、こうやって解決したい」というのが先にあって、それを説明するためにこういう図を作る。

それがいいことなのかどうかは知りませんが、過去の自分の経験においては大体先にありました。でもそれを人に伝えるためには整理しないといけません。ただし、恣意的にデータを変えてはいけません。恣意的にするといきなり説得力を失います。

よくあるセグメンテーション例

例えば、私(ロケットメイカーズ)の現在の事業である「中小企業の新規事業を資金調達とマーケティングで支援する」という事業内容から中小企業をセグメンテーションしてみます。中小企業ってものすごく数が多いので、いろんな切り口が存在します。

ぼーっと出してみた中小企業市場

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中小企業白書、小規模事業白書を読むと以下の通り書いてあります。資本金と従業員の規模によって定義されます。数だけでいえば日本企業はほとんどが中小企業と言われる所以です。

○中小企業の定義
製造 資3億↓ 300人↓
卸売 資1億↓ 100人↓
サービス 資0.5↓ 100人↓
小売 資0.5↓ 50人↓
○中規模事業者
20人超
○小規模事業者(小企業以外)
6人〜20人
○小規模事業者(小企業)
製造 20人以下
商・サービス  5人以下

これだけだとほとんど何もセグメントしていないに等しい。一番最初に述べた通り、「イケてるセグメンテーションができると行動レベルを変えることができる」のです。これだと300万社に営業することになるので行動レベルは変わりません。

自分(自社)がサービス提供したい人を具体的にイメージしてセグメンテーションする①

「中小企業の新規事業を資金調達とマーケティングで支援する」ということは顧客のイメージは「なんとか苦しい状況の中で新しい設備投資をして新事業に取り組んでいる社長」なんです。

僕がイメージしたのは、社員は一人ではない、すでに既存事業の設備がある、新規事業に取り組む意欲がある、という感じです。

そうすると新しいセグメンテーションの切り口が生まれます。中小企業庁のデータを過去5年分くらいさかのぼるといろんな切り口の調査があることに気がつきます。

常勤雇用がいる→約55%
新規事業に取り組む意欲がある→約20%

ここはor条件ではなく、and条件ですので、全体の約11%ということになります。370万社のうち、11%ですので、約40万社です。それでもまだ多い。。。

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自分(自社)がサービス提供したい人を具体的にイメージしてセグメンテーションする②

これでもまだ40万社ありますし、外に説明するにはまだまだ顧客イメージがボヤッとしています。

中小企業である→370万社
常勤雇用が有る→55%
新規事業に取り組む意欲がある→20%

これで随分近づいているのですが、私のイメージでは「設備投資に悩む」社長の姿です。新しい設備に投資して新しい顧客に提供したいのです。ですが、なかなか銀行が貸してくれない。そうなるとすでになんらかの設備を保有している可能性が高い。これもデータがありました。

中小企業の平均総資産→4.6億円 ※中央値6900万円

平均と中央値にかなりの解離があります。これは広範囲にデータがばらついている可能性が高い。資産の大きな少数の企業と資産の小さな企業が大量にあるということですね。

恐らく「大企業に近い中小企業」と「中小企業らしい中小企業」があるということですが、私が支援したいのは大企業に近い中小企業ではありませんので、中央値あたりから平均値の間くらいをイメージしてみます。

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これでさらに半分にできました。恐らく10万社から20万社の間くらいなはずです。

既存事業があり、新規事業に挑戦しているが、金融機関との折衝に悩み、本当に今のやり方でいいのだろうか、と悩む社長の姿がイメージいただけるのではないでしょうか。

セグメンテーションにこそリーダーのセンスが現れる理由

ということで、私のイメージするセグメンテーションができました。あとは本当にこのマーケットセグメントに私たちの提供するサービスの価値があるのかを確認していくことになります。

この切り口次第で私個人、もしくはチームメンバーの行動レベルが相当変わってくることが想像できます。良くも悪くもこの切り口次第です。これが間違っていたら社員を露頭に迷わす可能性が高い。だからリーダーのセンスが問われるのです。

さらには、一度決めたセグメントも毎日悩み少しずつ修正していきます。大胆に変わるというよりも少しずつ顧客からのフィードバックを受けながら微修正を繰り返していく感じです。それによって当然提供する価値も変わります。

毎日磨いていきましょう。ずっと現在進行形です。

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