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物語をひねる

ゲンロンでのもうひとつのご質問「ひねるってどうやればいいんでしょう」に、お答えしていきます。

「膨らませる」と「ひねる」は違う

 ひねりが足りない、とお伝えすると、中には加筆して膨らませてしまう人がいます。
 足りない、というところに反応してしまうんでしょうかね?

 膨らませる、というのは、乱暴に言うと「詳しく書く」「周辺事情を足す」です。

 ひねる、というのは、これも乱暴に言うと「単調な物語を複雑にする」です。
 乱暴すぎるので付け足すと「もっと意外性を持たせる」ということでもあります。

ひねり-01

 膨らませるのは「詳しく書く(詳細)」で補足することであり、ひねるというのは「意外性で価値観などを反転させる(実は~だった)」ということなんです。

 ですから、例に挙げた民話「桃太郎」の場合、左側のオレンジ色の部分のようにいくら詳しく書いても、ひねったことにはなりません。
好きを表現できますか?」でやったシンデレラ曲線=起伏は変わらず、ただ読者に「なるほど、よく判った」と思わせるだけの効果です。

ひねり-02

 仮に「動物たちがキビダンゴに惹かれる様子」ではなく「惹かれる理由」であれば、ひねりっぽく見えるかもしれません。
「おっ(意外性の感嘆詞)、そういうことで団子がほしかったのか」と思えますからね。
「とてもお腹がすいていた」程度では、まだ「なるほど」の域を出ませんが。

起伏を反転させて読者を引っ張る

 ヒーローが悪をやっつけた。
 スパーーーーーーーン。
 ドがつくストレートな話ですよね。

 そこに、「桃から生まれた」「キビダンゴに惹かれてサル・キジ・イヌが仲間になり」という彩りが加えられ、

・桃から生まれた←川流れ。どんぶらこ、の魅力的な擬音
・キビダンゴ
・サル・キジ・イヌ
・「鬼ヶ島」←魅力的な固有名詞

 上記が、桃太郎を桃太郎の物語として成立させている特徴となっています。

 ここにひねりを加えるとしましょう。
 単純すぎる例ですが、ふたつほど要素を足します。

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