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体感!言語リズム

 言葉とリズム、と並べて一番最初に思い出すのが、かなり前にネットで流れていた天才的な発見。「だんだんなんか簡単になった」。この文章が見事に音楽になるというものです。

 言語学者でも国語学者でもないので、今日は個人的な「言葉のリズム」について書きますね。

音節とモーラ

 それを解説する前に、Wikipediaの「音節」と「モーラ」の項をごらんになるといいかもしれません。
 読むのが大変なら、下記の表だけでもok。

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引用元 Wikipedia「モーラ」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%A9

 注目点は、拗音(キャキュキョなど)促音(きッとなどの小さいッ)撥音(ン)をどう数えるか、ということですね。
 学級新聞のところをみていただくとぼんやり違いが、

判るかもしれない。
判らないかもしれない。

 ガッキューシンブンの音節とモーラは、なんとなく四分音符的に4拍でガバッととらえるか、八分音符的にこまごま刻むか、の違いみたいに感じます。

 感じるだけ。
 残念ながら私は国語学者でも言語学者でもないのです。勉強は奥が深い。

だんだんなんか簡単になっ

 では、最初に書いたヤツへ話を進めます。
 発音してみてください。少し早めで。
 こんな具合になりませんでしたか?

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だ(ン)だ(ン)|な(ン)かか|(ン)た(ン)に|なっ た

 かんたんに、というところが、撥音ンのせいで裏打ちのリズムになっているところがミソですねえ。

 これを繰り返して言っていると、どんどん音楽になるんです。
 さあ、やってみて!

 さとうささらさん(最初期の無料版)に歌ってもらい、リズムを合わせました。
 クィーカーを入れると、いっきにサンバになると思います。

 気付いた人は、ほんとうに素晴らしいですね。

俳句の不思議

 今回、音のリズムについてけっこう長い時間考えてました。
 音楽の話もしたくって、中身がばらばらになりそうでどうやってまとめようかなーと。
 結果、曲に関しては半プロ程度、しかももう何年も作ってない状態なので、ここはイッパツ、やっぱり国語の話題に戻っておきます。

古池や蛙(かわず)飛びこむ水の音

 はい。定番です。コレを知らない日本人はまずいないんじゃないでしょうか。表記は現代語に改めていますし、揺れは許容してください。

 さっきのように声に出してみましょう。「声に出して読みたい日本語」にならって。

 休符をまた(ン)で表すと、私はこのようになります。

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 俳句の発音の仕方って、なにか決まりがあるのかしら? 無知ですみません。
 とりあえず私は知らず知らずのうちにどうも「かわず」「とびこむ」と切りたかったらしい。なので気分的なブレスに合わせようとして最初にンが入っちゃうんですね。

 この手の7文字部分が「三文字+四文字」のタイプには、こんなのがあります。

菜の花や月は東に日は西に ……ン月は
閑さや岩にしみ入る蝉の声 ……ン岩に
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 ……ン鐘が

 私とは、違う人もいらっしゃったかも。

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 または、途中でブレスをとる。

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 個人的には後者のほうが好き。日本語にはノリがあるので、へんなところで切れるのは嫌いなんです。

 これらとは違って、七文字部分が「四文字+三文字」の場合は、小節頭からポンと入れる。
 例えばこんなものがありますので、発声してみてください。

梅一輪一輪ほどの暖かさ
夏草や兵共がゆめの跡
降る雪や明治は遠くなりにけり
痩蛙まけるな一茶是に有

 話は逸れますが、ここらへんのことを話そうとしたきっかけのひとつに、前世紀からのポップスやボカロ曲の存在があります。
「今何時、そうねだいたいね」と、突拍子もない歌詞をメロディーにぴったり乗せてきたサザンオールスターズ。
 その後には「おやこれはうまくないメロ先(メロセン/メロディが先にしあがって、あとから歌詞をつける)ですな」と苦笑いしてしまうほど、曲に日本語が乗ってないものが出現。
 かわずと|びこむ で平気な人が作ったんでしょうね。
 ボカロが登場してからは、誰もが曲を作れるようになったので、この曲と歌詞がうまくマリッジしていない仮面夫婦的な曲がけっこうたくさんあったりします。

 それらがまたヒットを飛ばしたりするから、人気というのは私の価値観とは関係ないのだなあと、歳を取ったことを嘆く日々でございます。

七五調は四拍子

 さて。他の人の音楽愚痴から本論に戻って。

 七五調と呼ぶとそれ特有なリズムと思われがちですが、上記のように休符や区切りをうまく連想させる四拍子だと感じています。

 俳句の場合は最後が5文字ですので、一拍まるまる余る(四分休符)。ここが余韻っぽい感じを受けます。四分休符のところのウンに「ボチャン」とか擬音を入れちゃうのも、文字通り「調子に乗った」感じでふざけてて楽しいです。

 自論極論強引論。日本語の三五七調は、四拍子に入れた時の休符こみで味わうこと。それこそが余韻。

 てなことを考えてるわけです。はい。

 七五調が四拍子、というのはかなり早くから気が付いていて、80年代に「KBS京都 タイムリー10」というプライムタイムのニュース番組の曲をグロス受けしたときに、こんなスポーツテーマを作っていました。

 シーケンサーなし、クォンタイズ(音符の長さを揃える)機能なし、という電子オルガンの手弾きなので、そこんとこはご容赦ください。よくこんなの放送してたよね。とほほ。

 一番最初のハンドクラップ(手拍子)が三三七拍子になってます。(正確には、1:08あたりが整った三三七拍子です)。スポーツ → 応援 → 三三七拍子! という単純な連想で入れました。

 曲はかなり長いです。スポーツの結果をアナウンスしているあいだずっと流れるから3分以上という指定でした。最初だけ聞いてもらったらもう閉じてしまってください。恥ずかしいんで。

天才小学生発見

 最後は、娘が小学校へ行っていた時の、同級生男子の話。

 音楽の時間だかなんだかに、「ミッション:インポッシブル」を聞いたそうな。私の年代で言うところの「スパイ大作戦」ですね。

 これは五拍子で有名な曲です。

 五拍子なんてあるの! と思った人は数えてください。
 たんツたんツたんたん というリズムでちゃんと5拍の繰り返しになってます。分解すると、3拍子+2拍子。
 他にも「テイクファイブ」という曲が5拍子の(スイング?)ジャズです。

 で、ですな。その同級生男子が、こんなふうに歌ったそうな。

 シシャモの串焼き
 シ・シャ・モの|く・し・やき

 天才だ! この子は天才だ!

 どうしてくれる、天才君。私はそれ以来、ミッション:インポッシブルのテーマを聞くたびに、シシャモの串焼きで歌ってしまう呪いにかかっちゃってるんだよぉ。
 自分一人がそうだと悔しいので、ここでみなさんにも呪いのお裾分け。
 これ以降、この曲はシシャモの串焼きにしか聞こえなくなりますよーん。

みなさまのお心次第で、この活動を続けられます。積極的なサポートをよろしくお願いします。