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「コーチ」と「コーチング」を区別したい

コーチは支援する人のこと。役割。
人の成長を手伝うことが目的。手法は問わない。

コーチングは、スキルや関係性のこと。
コーチングはもともと優れたコーチの手法を分析して体系的に学べるようにしたものと言われているが、あくまで手法の域を出ない。

つまり、コーチがやっていること全てがコーチングではない。

コーチはクライアントのために、ティーチングも使うだろうしカウンセリングも使うだろうし、コーチングも使う。
スポーツのコーチは、技術的な指導も行います。

巷でたまにでてくる「こんなコーチングを受けました、がっかりです」みたいな話は、大概コーチングじゃないっすよという話が多い気がします。
コーチの価値観の押し付けだったりひたすらコンサルティングだったり。
コーチは誰でも名乗れるので、その人はきっと紛れもなくコーチなのでしょう。
でもそれはコーチングではない。

コーチングは、人の成長や変容を支援するスキルです。
ですが、逆は正とは言い切れません。
人の成長や変容のための関わりとして、それが必ずしもコーチングである必要はない。

例えばイチローさんを尊敬している野球少年、クリスティアーノ・ロナウドが大好きなサッカー少年が、それぞれが尊敬するスターから声をかけられてアドバイスをもらったとする。
少年たちは一切の質問もされず、自分からは一言も話すこともなく、ひたすら励まされ、握手し、ハグしてもらい、別れたとする。

これはコーチングでしょうか?
スキルや関わり方としては、違います。コーチングではありません。
でも少年たちはめちゃくちゃ勇気づけられて、ガンガン目標に向かって行動するようになるかもしれません。
ちょっと心が折れそうになっても、ヒーローに直接励まされた宝物のような時間を思い出して、自らを鼓舞して進み続けるかもしれません。

コーチは最終的にクライアントに価値を提供できればよい。
手法にこだわるべきではない。
このように言っている人もいます。

それはもちろんそのとおりだと思います。
なぜならこれはコーチに限らずで、つまり「サービス提供者は受益者に対して、その人が求める価値が提供できていればよい」と言っているからです。

ただ、その場合は、コーチングとそれ以外の手法を、受益者側も意識できるようにしないといけないと思います。
コーチングの正しい認識を広めて、その可能性を追求して、それが世の中に認められて、ちゃんと役立つように普及するために。
そのためにICFもしっかりと能力基準倫理基準を定義しているわけですから。

ここまで書いていて、さらに思うことを2つほどあげてみます。

やっぱコーチングだけじゃダメなの?

今の世の中のコーチングの認知は、まだそんなに広がってないと思います。
どちらかというと、答えを引き出すコーチングのようなアプローチより、答えが得られるアプローチの方が求められやすい傾向がある。
コスパの良い情報や指導、コンサルなど。

これまでの教育で、教えてもらうことに慣れているので、教えてもらうことに価値を感じやすいのかなと。

自分と向き合うことの価値や可能性にイマイチ納得していない、そしてそこに対するコーチングの有効性が示せていないことなどが原因かもしれないです。

だからといって世の中のコーチが、コーチング以外の手法でクライアントの課題解決をすることに容易に流れていくのは、とてももったいないことだと思います。

米国での事情を知っている人から話を伺う機会があったのですが、米国では内面的なことを他者に相談し、自分の中で解決策を見つけるための支援を得ることが、日本よりも一般的に広がっているということを肌で感じられたとのこと。要するにカウンセリングやコーチングが浸透しているということです。

内面と向き合い、状態を整えて、前に進んでいくことを支援できるコーチングという手法は、とてもパワフルだと思うので、その有効性を示してもっと一般的にしていきたいと思います。

コーチングはコーチの数だけ価値が異なる

コーチングは特定のテーマに限られた手法ではないので、コーチが全く経験したことのないテーマでも扱うこともできます。

ただ、コーチのそれまでの人生経験、深く理解している文化や価値観によって、築かれるラポールの深さや、共通言語で話せるかどうかによるやりやすさには、違いが出てきます。

そしてここはコーチングの質的効果に大きく関わってくるところです。

コーチングは表面的なスキルだけではありません。
人と人との関係性のうえに成り立つ協働関係なので、質問と回答による機械的な言葉のやりとりとは全く体験が異なるものです。

別のコーチに対して、同じテーマで、同じ問いかけのやりとりをしたとしても、クライアントの内面に残るもの、そこから導かれる行動、その継続性などの、いわゆるコーチングの成果は、全く同じになるわけではないのです。(余談:こういう観点で、AIがコーチをやるというのは、当面は事実整理などの一部のテーマに留まるんだろうと思っています。もっと先に、人がAIに対して人間的な感情を持てるようになったら変わるのかなーとも。)

なので、コーチとコーチングを混同しないように、コーチングというものをちゃんとそれとして捉えた方が、うまく世の中に浸透していくのではないかと思った次第です。

多様な人がそれぞれのバックボーンと組み合わせることで、新しい価値を生み出していけるのがコーチングだと思うので、本質は見失わず、柔軟に広がっていくことを期待して、これからも探求を続けようと思います。

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