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【第30話】 海辺の行商🇲🇲

当初はヤンゴンから出るつもりはなかった。しかしある程度取材が進んでくると、切羽詰まった感覚は薄くなる。「気分転換にいいではないか、行った先でまた撮ればいいのだから」と言い訳をして、やはりビーチに出かけることにした。

ガパリの定宿に着くとさっそく海で泳いだ。海に入っているのは自分一人だ。波のない海と空。やはりここは静かだ。

オフシーズンなので浜には観光客もほとんどいない。物売りも暇そうにしている。こちらにとっては格好の獲物だ。そのうちの一人に狙いを定めて声をかけてみた。

遠慮がちに了承してくれた
大きなナタでココナッツをむく
客はほとんど通らない
手製のアクセサリー
すべて彼女が作ったもの
夕暮れまで静かに座っていた

彼女にはもっとたくさん話してほしかったが、それはこちらの問題だろう。言葉を引き出すことができなかった。カメラを構えながら、もっといいインタビューのやり方、もっといいカメラの撮り方というのがあるんだろうなぁとも思った。光り輝く海。日陰に腰を下ろして佇む行商の女性。こんなに映像映えしそうなロケーションを生かせていないだろうことはわかっていた。

「撮ればいい、とにかく撮ればいい」こう思うことにして、とにかく撮り続けた。

私は売り歩きの仕事をしています

水のボトル ココナッツ 焼き魚 エビ
一日ずっと浜辺で働いています

朝6時から夕方5時までです
夏ですね 夏
夏はたくさん売れるので稼ぎ時です

お金を稼ごうと思ってただ始めたんです
こうやって働けば家計の足しになりますから

それにこの仕事は好きですよ
私にもできるんだからやろうと思えばすぐにできる仕事ですよ

Coconut and Souvenir Seller in Rangoon MYANMAR summer 2018
www.monologue365.jp

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