お花見①

小さな秘密基地の
階段の途中と上の壁を写した
二枚の淡い幻燈です。

一　月明かりに照らされた夜
「不思議なものを見つけたよ、おねえちゃん。」
妹が言いました。
秘密基地前の桜の大木と美しい月の光。
そのコラボで作り出しされた影が、しずかに壁をすべりました。

二　街頭の明かりに守られた夜
妹は影絵の仕組みに気付き、少し葉が出てきた桜に注目していました。
眠らないでカメラを構えて、いろんなアングルで壁の方を見ていました。
影はいよいよ桜の姿をくっきりと映し出しました。
それはまた、花の名残を残しているようでした。

春の夜の幻燈は
これでおしまいであります。