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SASAnote Vol.35 新型コロナウイルスを乗り越えて伝えたいこと-ザスパクサツ群馬 舩津徹也選手【後編】

新型コロナウイルスに感染したものの、4月15日に無事退院したザスパクサツ群馬の舩津徹也選手が、リモート取材を通じ、現在の状態や入院中の様子、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた思いを語ってくれました。

今回は、4月17日に、オンライン会議ツール「Zoom」を使ったリモート取材で行われました。

後編では、感染した立場から新型コロナウイルスという感染症について、そして、舩津選手の立場から呼びかけたい部分を中心にお伝えします。

退院した舩津選手は、Twitterを使い自らの体験や感染拡大防止に向けた呼びかけを行い、今回は、報道各社に対しても取材の機会を設けてくれました。

積極的に発信することについて舩津選手は、「こういう事でメディアに取り上げられるのは喜ばしい事ではないし、出ずらい。」と話す一方、「入院していた時に、治療にあたってくれた先生が、『発信してもらい、ちょっとでも新型コロナウイルスが少なくなってくれれば嬉しい。』と言っていた。新型コロナウイルスにかかって、今自分ができる事は、こういう事だと思い発信している。」とその理由について説明してくれました。

そんな舩津選手が伝えてくれる新型コロナウイルス感染症について、そして、感染して感じたこと、伝えたいことを語ってくれました。

(*新型コロナウイルスに感染した方の中には、味覚や嗅覚を失うという報告があり、舩津選手は、一時、味覚を失った事を受けて)
-味覚障害はどんな症状だったか?
3月26日の夜に体調不良になり、数日は、うどんなど味の薄いものを食べていたので、いつからかは定かでないが、その後、体調も戻ってきて、元気になり、味の濃いものを食べたくなり、自宅で、麻婆豆腐を食べて初めて味覚障害を感じた。全く味がしなかった。熱さも、食感もあったが、味はしなかった。PCR検査をした後だったので、自分が新型コロナウイルスかもしれないという感覚になった。

-味覚が回復したのはいつ頃?
3月30日から味覚障害が出始めて、1週間ぐらい続いていたと思う。病院の食事は、味が薄目なので確定はできないが、1週間しないぐらいだと思う。

-発症からの様子について
3月26日夜、寝る前に多少の違和感というか、風邪のひきはじめの様なものを感じた。翌日に、体温が37度1分になっていて、いつもであれば練習に行ける感じだったが、新型コロナウイルスが流行り、37度以上になったら報告するというチームの方針もあり、チームに連絡した。その日の練習は休むことになり、夜に38度を超えたが、体調は熱が上がった様なもののだけで、翌日には熱が下がったので、風邪だったんだろうなという感じだった。一応、ドクターと相談して、検査を受け、陰性となった方が行動しやすいという事で受けた。PCR検査の時にレントゲン獲ったが、影も映らず、肺炎の症状もなく、大丈夫だろうと言われたが陽性になってしまった。

-辛かった症状はあったか?
新型コロナウイルスとわかるまでは薬が飲めないというのはあったが、僕の場合は軽症だったと思うので、息苦しさや、呼吸のしにくさなど、体感する症状はは無かった。

-入院中、投薬や治療などはあったか?
薬や治療などはなかった。処方薬が見つかってないし、ダメな薬もあるそうなので処方されなかった。個室で入院し、人にうつさないという対処だと思っている。

-入院してからPCR検査は何回受けた?
退院までに3回受けた。まず、4月6日に受けて陽性となり、少し時間を置こうという事になった。その後、4月9日に受け、初めて陰性になり、13日に受けた検査結果が15日の朝にわかり、陰性となり、退院となった。

-発症してからPCR検査を受けるまでは、早いと感じたか、それとも遅いと感じたか
正直、全く知らない一般人ということで言うと、検査を受けたくても受けられなかった。ちょっと様子を見てくれという事だったので、ちょっと長いなと思った。もし、自分が、普通の社会人で、今回の様に、チームのスタッフに止められていなければ外に出てしまったと思う。そういう部分では遅いと思う。自分は、すぐに熱が下がり、倦怠感も無くなり、普通の生活ができていたので、もし会社員だったら普通に仕事に行っていたと思う。

-病院の様子はどうだったか
直には見ていないが、先生から『病床が一杯だ。』と聞かされた。他の病院も一杯だし、群馬県は、ほぼほぼ一杯だと聞いた。

-振り返って、新型コロナウイルスに感染した心当たりは?
いわゆる三密(感染しやすいとされる「密閉」、「密集」、「密接」の状況)と言われる様な所には行っていないし、飲み会にも行っていない。正直、心当たりはない。治療で東京に行ったので強いて言えばその時か、、、前橋でもご飯に出かけたりもしたが、、、誰と接触してというのは心当たりがない。

-新型コロナウイルスの怖さをどう感じているか
誰が、どこで、感染しているかわからない。感染して思うのは、自分が保菌者だと思って行動するしかない。感染した場合は、保健所の方に、行動歴を聞かれるので、責任もって、正直に答えるべきだと思う。それで、感染拡大を抑えるようにして欲しい。

-サポータやファン、県民への注意喚起をお願いしたい。
まずは、医療関係者に感謝したいという気持ちでいっぱい。医療現場でも必要な物資が届いていないと聞いた。必要物資が届かないと、今言われている医療崩壊にもなってしまうと思う。必要物資が届いて欲しいと思う。

それと、自分の周りでもちょっとあったが、感染者や濃厚接触者の周りで誹謗中傷があったというのを聞いた。まずは、正確な情報を得て、行動をとって欲しいと思う。自分自身は応援のメッセージがすごく多かった。全く関係ない人に誹謗中傷がいって欲しくないと思った。濃厚接触者の子どもに、『学校来ないで欲しい。』と言われたという事も聞いた。そういうことはやめて欲しい。

今は、新型コロナウイルスの事で、不安や心配があって当たり前だと思う。少しでも早く収束して、元の生活が戻るよう、僕も精一杯できる事をしていきたい。

-リーグ再開に向けた思いは?
自分自身、チームの力にならないといけない。まずは、体力を戻して、今まで以上のパフォーマンスを出さなければいけない。チームにも恩返しして、ファン、サポーターにも戻ってきてよかったと思ってもらえるようにしたい。

新型コロナウイルスは、誰にでも、どこにでも感染する可能性があるというのは、よく耳にする。今回、舩津選手の話を聞き、「本当にそうなんだ」という事を改めて考えさせられた。

また、時に、感染したとしても、症状が出ない、重症化しないと言われるが、舩津選手もそうだったように、風邪や一時的な体調不良と誤認してしまうケースもある。日頃、「休めない」という生活環境にいる方だと、感染したまま街中に出て、知らないうちに、感染拡大させてしまう可能性は十分あると感じた。

現状、特別な対処法が見つかっていない。その中で、これまで通りの生活、そして、大歓声に包まれたJリーグのスタジアムを取り戻すには、ひとりひとりが、やるべき対策に取り組み、協力し合う以外に道はないと思った。

また、首都圏だけでなく、群馬県内でも感染者が増え続けている。舩津選手も話しているように、医療現場はひっ迫している。自分や大切な人が、万が一感染した場合、十分な医療を受けられるか。もはや他人ごとではないのだ。

そして、ウイルスという見えない感染症に、恐怖心や警戒心、不安感に包まれてしまう部分もあるだろうが、噂やデマに惑わされず、互いに支え合いながら冷静に努めていきたい。感染症を乗り越えても、誹謗中傷による大きな傷やひずみを残しかねないだろう。

退院直後にもかかわらず、自らの経験を届けようとしてくれた舩津選手メッセージから、皆さんも新型コロナウイルスを乗り越えるために必要な事を考えて欲しい。

舩津選手には、まずはコンディションを整えてもらいたい。そして、リーグ再開の際には、献身的で、責任感のある舩津選手らしいプレーを届けてもらいたい。なにより、みんなの心を温かくしてくれる舩津選手の明るいキャラクターと笑顔も早く見たい。

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