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「論語と算盤」を読んでみて。

読書習慣の二冊目として
「論語と算盤」渋沢栄一著を読んでみての感想を
記することにする。
こちらの本も以前に購入し一回は読んだことはあったのだが、
改めて熟読すると、「孫子」と共に学ぶことは多い良本であった。


「渋沢栄一」とは。


2024年発行予定の新紙幣一万円札の顔になり、
実業家としての実績は言うまでもないが、
最初から実業家への道を歩んでいた訳ではない。
17~30歳過ぎ迄は 武士及び政界へ進出を目指していた。
しかし、自分が向いていないことを悟り、
33歳から実業家への道を進むことになる。
自分にとって、その道が不相応だと感じたならば撤退し、
方向転換することもまた勇気であると教えてくれる。

そんな渋沢栄一が書いた今回の著書、
「論語と算盤」であるが、
一貫として、道徳と経営は密接に結びついていることが
書かれている。
そもそも渋沢栄一は、孔子の教えを尊信すると同時に
孔子の記した「論語」を処世の金科玉条として、
常に座右の銘としていた。
その冒頭において、
仁義道徳、正しい道理の富でなければ、
その道を完全に永続することはできない。
と記している。
論語と算盤というかけ離れたものを一致させることの
重要性を終始この本で説いているのである。

それではこの本で私が、印象に残った文節を
記していこうと思う。

大丈夫の試金石

人が逆境に立たされた時、
絶望感、焦燥に襲われることもあるだろう。
そんな時は、自己の本分であると覚悟するのが
唯一の策である。
足るを知りて分を守り、これを天命であると
あきらめるならば、いかに処しきがたき逆境においても、
心を平穏に保つことができる。
後に来るべき運命をまちつつ弛まず屈せず勉強するがよい。
また、己の所業にて逆境に陥った場合には、
自分に省みて悪い点を改めるより他はない。

義理合一

孔子の教えに「義理合一」がある。
仁義道徳によって利用厚生の道を進めていく、
即ち、道徳と経済の調和を渋沢栄一は記している。
己の私利私欲ばかり追い求めると、やがては身を滅ぼす。

孔子の貨殖富貴観 「お金を稼ぐは悪なのか?」

論語の中に
「富と貴とはこれ人の欲する所なり~
その道を以てせずして之を得れば去らざるなり」
とある。
卑しい方法で得る位なら、寧ろ貧乏でいい。
正しい方法(道理)で得たお金であるならば富を得ても差し支えない。
道を得たる富貴功名は孔子もまたこれを得んとしていたのである。

道理ある希望をもて

孔子曰く
「仁者は己れ立たんと欲して 先ず人を立て、 己れ達せんと欲して先ず人を達す」 経営事業において、 最も重要なるは 「商業道徳」
約すれば「信」の一言である。
道徳と経営は密接に結び付いている。
最も難しいことではあるが、 それを忘れてはいけない。

失敗らしき成功

世のいわゆる成功は必ずしも成功ではなく、
世のいわゆる失敗も必ずしも失敗ではない。
成功する為に他人を蹴落としたり、不正な方法で
成り上がったとしても誰からも賞賛、協力を得ることはできない。
それは、人生の失敗である。
逆に、巨万の富を得なくても、
仁義道徳の道を歩めば、自ずと賞賛、協力を得ることができよう。
その為に、渾身の努力をさえ尽くしておけば、
精神的事業においての失敗は決して失敗ではない。

人事を尽くして天命を待て


天命は、人間の意識に関わらず、
百事百物の間に行われてゆくたるを覚り、
これに対する
「恭、敬、信」
を持ってせねばならない。

最後に

最後に、
直接「論語」や「論語と算盤」
に記されてはいないが、
私が、大事だと思う言葉を書いておく。

「仁」:人を思いやる心
「義」:正義を貫く心
「礼」:礼を尽くす心
「智」:智徳を磨く心
「信」:人を信じる心



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