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時代の変化を40年・80年単位で見るとおもしろい(2024/5/29 #58)

ちきりんさんのVoicy、「日本の今後について」というテーマで「暗い話」と「明るい話」が挙げられていて、とても共感できました。

放送の中でも触れられていた「日本が動く時には大きな外部からのショックがかかる」という話はその通りだなと思います。

ちなみに「ボトムの状態から動きだす」のと「ピークの時から落っこち始める」のを明治維新から大体40年サイクルで繰り返しているという説があり、以下のように図示してみると確かに大体そんなイベントが発生していて面白いなと思います。

時代の登り坂・下り坂の推移

(…この絵を自分で描いた後で「あれ、これどっかで見たような」と思ったら、ちきりんさんご本人が似たような図を書いてました。しかも13年も前に!)。

この40年サイクルについて考えてみると色々面白いので、今回はそんなことをツラツラと書いてみます。


40年でサイクルが変わるのは「構成員の入れ替わり」?

40年の期間というと、20歳前後で就職した人が60歳で現役を退くまでの期間です(最近は定年延長もありますが)。
そもそも、昭和30年あたりまでの平均寿命は60歳半ばということで、成人してから40年程度でこの世から去っていくということになります。

出典:内閣府ホームページ

40年間で社会を構成する人達が徐々に入れ替わるので、特に社会が停滞気味になっている時ほど「世の中これで良いのかな?」と思う人の割合が増えるのではないでしょうか。
そこに大きな外圧がやってきて、それまでの体制が揺らぐと、そういった人たちが躍動し、新たな社会を作っていく。
他方、社会が昇り調子だと先人達が築いた路線に乗っかり、何か変調を感じても、それまでと同じ軌道に乗せようとしてうまくいかない。結果、社会が停滞していく。そんな感じなのかなと。
(これはあくまで全体のトレンドとしてそうなのではということで、どの時代においても、躍動する人というのが個別に出てきます)

今回、コロナ禍を機にリモートワークほかデジタル化がようやく進みつつあるのは技術発展もさることながら「失われた30年」など、「一体どれだけ失われるの?」という社会の停滞感を抱いていた人たちが、新たなワークスタイルを前向きに受け止めたこともあるのではないでしょうか。

来る2025年には、ユーグレナ(ミドリムシで有名な企業)の出雲社長が指摘している通り、生産年齢人口の過半数がミレニアム世代(1980年前半生まれ)以降の世代になるようです。

人口そのものが減っているという一見逆風に見える要素もありながら、人がいないのですから「人がやるべきでない(機械でもできてしまう)仕事」を、この機にどんどん手放していくべきなのでしょうね。

新たなトレンドは80年以上前の世界観から螺旋的に発展?

もう1つ、最近起こり始めているトレンドを見ると、80年以上前の世界観と共通する部分がありそうな気がします。

以下は大正~平成半ばまでの産業別人口の推移です。
80年以上前(昭和15年より前)は、第1次産業で働く人が全体の半分近くいました。

産業別 15歳以上就業者割合の推移
出典:統計局

何が共通してるのか?という話なのですが、第1次産業のうち、遠洋漁業などごく一部の分野を除けば自宅周辺で仕事をしているのですよね。
80年以上経過して、リモートワークする人も増えてきた、つまり自宅で仕事する人も一定数いる。
これを「生産活動が自宅に帰ってきた」とみると何だか面白いです。

また、明治・大正期には政府が「副業を奨励していた」という話もあります。

明治後期から大正期にかけて,農政で頻繁に使われた 用語として「副業の奨励」がある. I副業の奨励」政策 は,概ね明治30年代に入ってから登場した.大正元年に は,農商務大臣から帝国農会へ「農家副業ノ発達ニ関ス ル件」が諮問され,その答申(註 1)を受けて,施策と してより拡充された.更に,大正 6年,行政組織規程上 の拡充がなされ,副業課が設置された. I副業の奨励」 政策は,大正中期以降もその政策方向が引き継がれている

荒幡克己「明治後期からの「副業の奨励」政策について
出典:農業経済研究第68巻,第 4号, 1997

翻って現代。企業に勤める人は、会社が副業を認めていないケースが多かったと思いますが、徐々に解禁され、結果的にに副業(複業)をする人も増えてきました。

副業者数と副業者比率の推移
出典:第一生命経済研究所

現代では若くして起業する人も増えています。
ちきりんさんの放送でも触れられていましたが、大学に入らず起業するという人も増えつつあるようです。

出典:2024年版中小企業白書

こちらについて80年以上前のデータは無いものの、最近私が読んだ戦前から活躍していた経済人の伝記から拾ってみると「セメント王」と呼ばれた浅野総一郎は20歳で最初の店舗を設立していますし、自動車メーカー・マツダの事実上の創業者と言われる松田重次郎もまた20歳で独立起業しています。

働く場所・働き方・そして起業。
思いつく範囲で拾ってみても80年以上前のトレンドが、現代に違う形として戻ってきたのかも、というのは螺旋的発展(※)の1種かもしれず興味深いです。

サイクル通りになるかは分からないけど、持ち場で変化を起こしていこう

ということで、ちきりんさんのVoicyに着想を得て、40年・80年サイクルについて書いてみました。

実際のところ2025年を節目に再び社会が上向くのかわかりませんが「世の中これで良いのかな」と思うひとりではあるので、自分の持ち場で変化を起こしていこうと思います。

2065年にも平均寿命的には、まだ世の中にいると思われるので、歴史を繰り返さないよう、その時点なりのふるまいができればなと。
(やなせたかし氏のように、そのあたりで人生のピークが来るかもしれませんが・・・)

では今回は以上です!


※螺旋的発展:世の中の変化や発展、進歩や進化においては、古く懐かしいものが、新たな価値を伴って復活してくるという、ヘーゲルが提唱した考え方

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