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旨味が強い野菜って、思った以上に多いのでは

旨味が強い野菜って思った以上に多い気がする、と最近思っている話。

インドのベジ料理を食べていると、「なんでこんなにシンプルなのに美味しんだろう」と思うことが多々あって、スパイスの使い方なのかな、と思っていたけれど実は野菜そのものの味の引き出し方なんじゃないかと考えていた。

というところで、なんともタイムリーな話題のまとめが。

いやー、まさに考えていたことが語られていて、思わず膝を打つ。

「日本人はダシに頼りすぎ」というのは、痛いところ突かれた感覚だけど確かにその通りだよなあ、と思う。カツオと昆布の出汁が美味しすぎて、それだけで満足してしまっている。あるいは、それらを伝統的な見地とも組み合わせて「至高のもの」としてしまっていないか? そこで思考停止してしまっていないか? というのは改めて問いたい。

カツオと昆布だけじゃなくて、味噌も醤油もそうかも。(消費者にとっては)手軽にこれだけ旨味のしっかりした調味料類が潤沢に揃っているせいで、調味料任せにしてしまえばだいたいOKな世の中。だからこそ、そうでない世界の料理の味がわかりにくくなってしまっている気がする。

これは良い悪いの問題じゃなくて、気づく気づかないという問題なので、選択肢や視野の広さを考えるなら、気づいていた方が良いことだと思う。

というような感想が、大きな枠としてはあって。
個別の話としては、そう、野菜ってかなり旨味というか出汁みたいな味、出るよね、と。

そう思ったのはついこの間、ブロッコリーとカリフラワーとロマネスコが並んでいて、しかもどれもなかなかに安かったので思わず全部買ってしまった。どういう料理にしようかと逡巡して、とりあえず全部普通に茹でてみようかと。全部まとめてじゃなくてそれぞれの野菜ごとに。

そうして出来上がったそれぞれの茹で野菜と、その煮汁をちょっと舐めてみたときの感想としては、「ほとんど同じ分類の野菜のはずなのに、全然風味が違うな」というものだった。

ブロッコリー : 一番旨味が強い。この中では一番慣れているせいかちょっと発見が少ないのだけれど、植物の青みがかった味とは別軸の、動物性の旨味に近いものを感じる。

カリフラワー : ナッツみたいな風味があるように思える。あと、鰹節のような燻製感も少しあるような。

ロマネスコ : なぜかエビの出汁のような風味を感じる。茹で汁の方に特に強くて、ビスクの風味に近いような…? という気分になる。

ほんとに三者三様。それぞれ個性があって、どれも美味しい。面白い。
少し塩で味を付けただけでも良いし、2種類くらいのシンプルなスパイス仕立てにしてもよさそう。どれも野菜の中では旨味が強いほうだと思うので、全部混ぜると味が濁ってしまいそう。

キノコはちょっと反則級なので置いとくとしても、他の野菜全般についても、割とよく言われているように出汁として使いやすい野菜は多いと思う。香味野菜として分類されるような玉ねぎや人参などはかなり味が出るし、その他ちょっと意外な所だと

大根 : おでんとかだと味を吸うものとして考えられてるけど、実際にはかなり出す方だと思う。大根おろし99%に出汁か醤油1%くらいのつゆですする蕎麦とか、実はかなり美味しい。

ジャガイモ : これも独特の出汁が出る。ミニマル料理で載っていたシチューはまさにこの旨味をシンプルに味わえる料理のひとつだと思う。

キャベツ : 茹でたときの汁とかは、味は強いんだけどちょっと青臭さが強くて使いづらいかな。旨味自体はかなりあるのだけど。

白菜 : これもかなり旨味が強い。冬だと素材の甘さとも相まって、とても美味しい出汁が取れる。キャベツほどは青臭さが出ないのもいいところ。

ごぼう : 独特で使いづらいけれど、あの個性の強さは凄い。幾つかの煮物や炊き込みご飯などは、ごぼうの出汁が無いと求める味にならないのでは。

こういうことは料理人の方々はもちろんご存知なのかもしれないけど、もっと知られても良いことだと思うし、自分もまだまだ知らないこと、気づいていないことだらけだと思う。その理由のひとつとしては、冒頭にもあげたようにカツオと昆布の出汁の存在が大きすぎるから、というものがあるのかな、と。

ときどき、普通は買わないような野菜を徐ろに買ってみたりするのは、こういう新しい出会いや気付きみたいなものをなんとか取り込んでいきたい、と無意識に思っていたからかもしれないな。

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